為替市場介入について日銀が久々に行ったので忖度なしに解説してみる

昨日の2022年9月22日に日銀が久々に為替市場に介入してきた。
筆者は証券会社ではアナリストなどに従事し、運用会社ではファンドマネージャーなどに従事してきた中で金融市場に接してきた。
市場介入というのは日銀という政府機関が行うものだが、証券会社であれ、運用会社であれ、それぞれ利害関係を持っているので公平な解説が出来ず、単なる自己の利益のためのポジショントークを行ったり、忖度した解説がなされる。
そこで今回は、「そもそも市場介入って何?」という読者の疑問にもお答えしつつ、今回の市場介入について考察してみたい。

金融市場というのは株式や債券、為替など、様々な金融商品に対して私人が自由に取引を行う場である。
ここで「私人が」としたが、公人である政府も取引に参加することが例外的にあり、これを政府による「市場介入」と呼ばれる。
例えば政府によって株式が買われた場合は政府がある企業の株主になるわけである。
政府という公的機関が企業を完全に支配すると、そういった企業は「国営企業」となる。
安易に政府が企業の支配権を持つと、企業同士の公平な競争が阻害される。
そういった意味もあり、「政府による市場介入は控えられるべきである」というのが大原則なのである。

だが、金融市場というのは自由に競争をさせると、強者だけがより強くなり、弱者が生き残れなくなるという不公平で不健全な市場が形成されてしまいかねない。
そういった観点から、例外的に政府介入がなされることがある。
しかし、どの水準であれば市場の公平性や健全性が維持できるかを判断するのは非常に困難である。
その観点から、それぞれの市場介入が「適切であった」とか、「不適切だ」などと評価される。

ここで注意してもらいたいのは、その「適切だ」とか「不適切だ」と評価する者が誰であるかによって評価は変わるということだ。
例えば、日本政府が市場介入した結果、米国政府にとって不都合であったり、不利益となる場合には大抵、米国政府は「不適切だ」と発言するのだ。
実際に歴史上、日本政府は過去に日本円の為替市場を安定化させるために為替介入をすることがあったが、そのたびにアメリカ政府は「不適切だ」と批判してきた。

市場介入をどこかの国の政府が批判した場合は、大抵はその国の利害が一致しない場合が多いとみてよい。
他人の目を気にするのは世界の中で日本人だけであり、日本人以外の国の者はほぼ100%を自分の利益のためだけで行動する。
よって、海外の政府が批判してきた場合は聞き流す程度で良い。

ただし、日本政府は大抵、日本人のための政策を行ってくれないことに注意が必要である。
お花畑の日本人の脳内では「政府は(少なくとも)日本人や日本経済などにより有利となるように行動してくれるはずだ」と思ってしまうものなのだが、政府は大抵、日本のためには動いてくれない。

政府が市場介入するときの財源は大抵、税金が使われることが多く、そうでなくとも、日本という国の財産を使っている。
なので、われわれは政府が行うことを日本人の利益を中心にみて行かなければならないのである。

という視点で、次回、今回の市場介入について考察していきたいと思う。

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