無題

迫る
離れる
焦る
食らいつく
動悸と
微かな眩暈と

凪の海が荒れる
波が寄せる すくむ体
それは唐突で
荒天はもう過ぎたと
一時の気のせい

小さな波は
ささやかな波は
知らぬうちに大波に

いつかまた海は凪いで
いつかまた海は荒れる
平穏も動揺も
永久には続かない

目を閉じて 耳を塞いで
砂地を踏んで 息を吐いて
その時を待つ
次の晴天を

洗われた空は
きっと今より美しい。


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