「麦本三歩の好きなもの」住野 よる・著

「麦本三歩の好きなもの」住野よる・著 出版社 幻冬舎 出版年 2019年3月                              おいおい、住野よるは、こんな本を書くようになったのかい、と思いながら読み始めた。「君の膵臓を食べたい」の印象が強く、言葉遊びのような、だじゃれのような、自己完結の話で始まる、特別なことのおこらない日常がだらだらと続くのかい、と思っていたが、読み終えると、何もない日常を描くことの難しいさ、生活が続くということのリアルさが、沁みてくる。「大学の図書館」という、公共図書館とは違う空間で、本と人との関係で日々を送る麦本三歩が、帯のうたい文句のように、キュートに見えてくる。事件になるようなことなど、そうそう起きるものではないが、心動くことが多々おこる生活の三歩は、その後の日々を知りたくなる。続編あり。


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