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コロナ禍のドイツにおける支払い行動調査結果

グーテンターク!皆さまこんにちは。フランクフルトのYokoです。

今日はドイツ連邦銀行が3年おきに調査しているドイツでの支払い行動調査の2020年版をご紹介します。

以前、(現金信仰の強い)ドイツ人がどれくらいキャッシュレスを望んで、実際進んでいるのか調べたことがあり、そのときこの調査の存在を知りました。

2020年調査は今年2月くらいに発表かなと思っていたら、すでに1月に発表されていました。今回は特にコロナ禍における調査ということで調査方法も内容も中々興味深いので早速ダウンロード。

ドイツの前提ですが、基本的に物理的に触れる現金に価値を置いてきました。小銭は2セントなんてそんなの無駄切り下げよとたとえばオランダでは言いそうでもドイツではきっちり端数を厭いません。ジャラジャラを厭いません。ただジャラジャラはホームレスやストリートパフォーマーにあげたり、寄付したりしてお財布を軽くする人はいます。

また信用買いは商慣習上なじまず、クレジットカードの普及率は低いです。代わりにデビットカードやLastschriftラストシュリフト(direct debit) による銀行口座の引き落としによる決済が好まれています。また最近ではクレジットカードはもたないけれどPayPalは口座を持っているという人も増えています。

これがざっくり前提です。2017年と2020年を比べると見た目はよりビジュアルで直感で掴めるようにグラフが多用されています。一方で2017年版にある表紙、イラスト、偉いおじさんの笑顔写真と、はじめに、みたいな前段は消えており、パワポ資料をPDF化したようなフォーマット。コロナ禍における調査方法の変更や、サマリーから入っており、挨拶抜きになっていました。

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調査は5000人に支払い日記をつけてもらい、また質問を対面で行うという地道な調査ですが、今年は電話やオンラインフォームに切り替えたそうでこの調査変更のインパクトがどれほどあるのかは検証が必要と記していました。真面目…。

内容は、私も消費者として感じましたが明らかにキャッシュレス、特に非接触決済が増えています。少額のやりとりが多いパン屋さんにも端末が導入されました。ただいっときの緊張はなくなり、また少額については現金を出すようになっています。私個人はパン屋さんと行きつけのアジア食品店では華人系のお姉さんはいつも現金を希望するので出来るだけ現金、あとのスーパー、ドラッグストア、薬局は全てデビットカードで、デビットカード利用時は非接触。20ユーロ以下はPINなし決済可能です。

以下レポートのサマリーです。

コロナウイルスのパンデミックの際には、多くの市民が支払い行動を変え、日常的な支出におけるキャッシュレス決済手段、特にカードの重要性が増した。小売店、レクリエーション活動、オンライン商取引のPOSで記録された支払いのうち、30%がカードを使われ、2017年の支払い行動調査よりも9%ポイント高くなっている。一方、現金での支払いが占める割合は60%で、3年前の74%と比べると低下。

またガソリンスタンドや薬局、小売店での支払いの30%がgirocard(デビットカード) で行われています。決済額で見ると、girocardのシェアは48%となる。つまり少額の支払いには紙幣や硬貨を使うことが多いものの、20ユーロ以上の支払いにはカードを使う傾向が見られました。一方で現金は61%の取引で使用され、金額ベースでは店舗での支払いの38%を占めている。

非接触型カード決済は、コロナ禍においてますます一般的となった。非接触型デビットカードを持っている回答者の78%と、非接触型クレジットカードを持っている回答者の3分の2が実際の支払いに利用。また非接触型カードによる支払いを行った回答者の5分の1以上が、コロナウイルスのパンデミックで初めて非接触型カードによる支払いを試したと回答。理由としては回答者の約半数が、店側の非接触推奨ディスプレイや衛生状態の改善のためと回答。非接触型決済への移行で顕著なのは55歳以上の人と女性。

非接触カード決済とは異なり、スマートフォンを使った決済はまだ一般の人には定着していないことが判明。調査対象となったスマートフォン所有者のうち、店頭での支払いにスマートフォンを使用したことがあると答えたのは、平均で13%にとどまり、モバイル決済を行っていない回答者の70%は、その必要性を感じていないという結果。しかし45歳以下の若年層は、よりオープンな態度を示し、頻繁にスマートフォンを使って支払いを行っていることがデータで示されています。

ドイツでは、当座預金が依然として決済の中心的な役割を果たしており、調査回答者の99%が当座預金を保有。そのうち79%がオンラインバンキングを利用。そのうち76%が銀行のウェブサイトを、48%が銀行のアプリを利用しています。サードパーティのオンラインバンキングアプリは、まだニッチ市場。また暗号通貨の利用は少ないながら、将来使いたいという若年層に対して高齢者は使わないという回答が多く差が顕著。ステーブルコイン(リブラ改めディエム)の知名度は全世代かなり低いという結果に。

グラフもあって読みやすいレポートなのでご興味のある方は全文を読んでみてくださいね。

https://www.bundesbank.de/resource/blob/858022/648f4ff4f75ba2fe61a32ffd373ce34d/mL/zahlungsverhalten-in-deutschland-2020-data.pdf

グラフの例

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コロナ禍は現金信仰のドイツがキャッシュレスに移行するスピードを上げています。次は2023年調査。特にステーブルコインのディエムに注目します。単一の法定通貨に連動したステーブルコインがスイスで発行されていたりするのか、ドイツの支払い行動にどんな影響があるのか…。次が楽しみです。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

Bis dann! Tschüss! ビスダン、チュース!(ではまた〜)😊









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