猫又の日がな一日

 今日も人は朝から慌ただしくしている、上へ下へ籠をもって行き来する、あの中は服か…。
この家では私の事はクロと言うそうで、ご想像の通り毛は真っ黒で蒼と間違える程に真っ黒い。
 同居人は中年か青年かよく分からない少し筋肉質な男とやたらめったら外見が若い女であり、親子というよりは師弟に近く、女の方は家を空けるのが多いようだ。
 さて二階へ行き男に飯の催促でもしようか、グーッと伸びをして階段を駆け上るとベランダの方から服を干す男にニャーと催促してみる。
 男はこちらをみて
 「なんだクロ、飯ならもう少し待ってくれ」と忙しそうに答えたが、待つのは猫らしくないので少し強めにニャオンと鳴いてやる。
 「はいはい、全くお猫様はきままだね」と一言いうと階段を降りていった。
 猫だから当たり前だ、きままではない猫など何処に居ると自分も続く。
 「ほらよ」と皿の上には乾燥した飯を貰い、頭を撫でられるとまた男は二階へと上がった。
 飯を食べ水を飲み気ままに寝、たまに外に行くのが日課だ365日中特別な事が起こるのは10日も無い暑ければ涼しい場所へ寒ければ暖かい場所で寝る、寝る子と書いて猫なのだ。
 たまに人や動物以外も目に映るがそれは、また今度、今はヒンヤリとした木陰の縁側が自分の1番の場所なのだ。

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