ジェイラボワークショップ第36回『情報科学部オリエンテーション(?)』【情報科学部】[20220725-0731] #JLWS

けろたんにとっての啓蟄がやってきました。もう少しおそくなっていたら虫は虫でも蝉になっていたところでした。以下、オリエンテーションのログを公開します。

Day1 発明について

■けろたん
皆さんごきげんよう。けろたんです。
本日から1週間情報科学部のオリエンテーションWSを行います。
今回のWSでは科学技術と社会の関わりについてのアンケートを実施しながら、そのあいまにコンピュータ技術史を紹介してゆこうと思います。
アカデミックな情報科学というよりも実社会を動かしてきた産業としての側面をみつつ、今日の情報化社会について考えましょう。全体的な流れは以下の通りです。
1日目:大きな問い
2日目:コンピュータ技術史 インターネット以前
3日目:情報技術と社会1 (ネタ本:『唯脳論』)
4日目:コンピュータ技術史 インターネット以後
5日目:情報技術と社会2 (ネタ本:『デジタルネイチャー』)
6日目:???
7日目:???それでは初日のアンケートです。

■アンケート

人類史上最大の発明はどちらか?
有形物    4
@YY 12, @Takuma Kogawa, @Daiki,@ingen
無形物    15
@匿名希望, @Naokimen,@チクシュルーブ隕石,@蜆一朗,@ゆーろっぷ
,@コバ,@ジパング,@Tsubo,@chiffon cake,@Yuta,@シト,@Yujin,
@Shun, @Hiroto, @イスツクエ

■けろたん
有形物/無形物と選択肢を2つに絞りました。「どちらともいえない/どちらでもある」と言いたいような発明・発見もあると思いますが、個々の発見・発明の価値判断以上に、モノとしての側面、コトとしての側面どちらを重視するかの立場の違いもディスカッションのネタですのでどちらか一方に決めて投票してみてください。

それぞれ例を考えてみました。投票後に確認してみてください。 
・有形物
火
車輪
ネジ
望遠鏡、顕微鏡
火薬
活版印刷
蒸気機関
薬・化学物質類
貨物船
エアコン、冷蔵庫、洗濯機
パーソナルコンピュータ
スマートフォン
・無形物
二足歩行
言語、話し言葉
書き言葉
農耕
数字
宗教
貨幣
複式簿記、そろばん、保険
法・制度
権利概念
国家、法人
映画、ラジオ、テレビ
インターネット

■匿名希望
無形物に投票しました。
理由を述べます。
数学や物理などの、有形物を生み出した元になっている理論があるからです。これらの理論の発明によって、素晴らしい発明が生み出され、ものになったと考えたからです。
一方、有形物として、火おこしが思い浮かびました。あんなもの猿でも経験則でできると考えたからです。
無形物である理論をベースに、有形物である発明ができたのだと考え、上記のように選択しました。
(確かに、経験則からとりあえず形になった有形物があり、そこから理論によって原理がわかってきたという例もあると思いますが)

・けろたん
理論が先にあってその応用物として発明がなされるという考えは、職業技術者、職業研究者が量産されるようになった近代以降、「頭でっかち」の人材が工業、産業界に供給されるようになって発生した科学と技術の関係に基づく発明観なのかなーと思いました。理論が先立って生まれた発明といえば、原子爆弾・原子力発電を思いつきました。技術的にははるかに高度ですが、攻撃・破壊にも使えるエネルギー源を調達する意味では火起こしが壮大になったものといえなくもないですね。発電については、水を沸かしてプロペラを回すときの熱源を別のものに取り替えるという発想なので、理論自体が全く新しいものを予測した結果生まれた発明に比べると発明としてのパンチは弱い気もします。原子力によって使用可能なエネルギーが飛躍的に大きくなったのは確かですが、それはあくまでも量的な増大であって、沸かした水で物を動かす、という発想をより革新的に感じます。
匿名希望さんは高度な有形物の発明、またそれつながった理論として具体的にはどんなものを想定されましたか?なんとなく、火起こしをする原始人のイメージはあるので技術レベルとしてはそこまで高くないのは理解できます。猿にもできるかは知りません笑。
ただ、火起こしに限らず、現代から見て高度ではない紙や鉛筆などもできた当初は高度なテクノロジーだったのではないかと思います。製品などの形でありふれているので使われている技術のレベルを過小評価しがちな心理はあるような気がします。

■Tsubo
発明云々について
ユヴァル・ノア・ハラリみたく,人間が発明したというか獲得した能力の中で一番大きいのは「抽象化」だと思います.あらゆる思考体験は抽象化から始まり,抽象化に終わるからです.抽象化するという発明,能力がなければ言語も生まれ得ず,社会も成立しなかったでしょう

・けろたん
ビッグヒストリーと呼ばれるような代物の常として、ハラリの話はお話としては納得しかけるのですがあまりにぼやんとしていて反証が難しそうなので警戒感があります。(ハラリの言ってることは結構雑だという指摘も出てきたようです。。)
言語使用や社会の高度化と脳のハードウェア的な進化に何らかの相関があるのは否定しがたいのは確かだと思います。

Day2 アンケート 道具について

■けろたん
皆さんこんばんは。けろたんです。
WS2日目はいきなりアンケートです。

1. 思考の道具として依存している度合いがもっとも高いものはどれですか?
1: 紙とペン    6
@Takuma Kogawa, @YY 12, @蜆一朗, @ていりふびに, @Tsubo, @イスツクエ
2: スマートフォン    1
@Daiki
3: タブレット    8
@Yujin, @Hiroto, @Shun, @匿名希望, @chiffon cake, 
@Naokimen, @チクシュルーブ隕石, @シト
4: ノートパソコン    2
@コバ, @ゆーろっぷ
5: デスクトップパソコン
6: その他

■けろたん
<昨日のまとめとアンケートの意図説明>
「史上最大の説明は有形物/無形物のどちらか?」に対し、無形物と答えた方が多いですね。
「発明」というと、具体的な発明物を想像しがちですが、思考や思想、理論体系などの無形のアイデアは一度理解されさえすれば、物理的制限に制約を受ける有形物よりも社会的なインパクトがスケールするため重要性が高い、と考えて投票した方が多いのではないでしょうか。<思いついた無形物の発明を4つに分類してみました>
1.単純な行為
具体例:二足歩行、言語・話し言葉2.人の行為についての社会的取り決め
具体例:農耕、複式簿記、保険、宗教、法・制度、権利概念、国家、法人3.有形物を道具として用いてアイデアを実現する
火、書き言葉、貨幣、そろばん4.それ自体が目的であるような人間の活動
数字・数学、映画、ラジオ、テレビ1.生物種として人間が備えていた性質が発揮されるもので、人間が発明した、というよりも、進化が発明したとでも言うべきものでしょう。
2.実体は無いながらも、社会制度として実際に維持・管理されていることと、多くの人がなんとなく当たり前だと感じていることで相補的に成立しているものですね。個々人に不便を強いることがあっても、人間集団が統一的に守る・守らせることで社会全体としてのコストが削減することに価値があるものではないでしょうか。
3.はじめは素朴なかたちで開発された道具が技術の発展によって改善されてゆき、より効率的な形でアイデアが実行されるようになる。効率化でうまれた余剰が投資され、道具がさらに改善されてゆくというループがはたらくのが3の発明ではないでしょうか。有形物・物的発明として想起されるものは、多くの場合タイプ3の発明のように特定のアイデアを実現するために、言い換えれば、具体的な問題解決の手段として生まれ、発展してきたものと言えそうです。この点、コンピュータも、人力では不可能な量・速度の計算処理を行いたいという欲望がきっかけで作られたものが、高性能化を機に事務処理や娯楽といった他の用途にも転用され、それによって需要が高まったためますます技術発展のためのリソースが投入されるようになる、という歴史に重なるものがあります。
4.知的生産物/情報コンテンツを産むしくみとしてざっくりまとめてみました。数字・数学は、3的な発明が成熟して応用先が見つかりにくくなった結果、それ自体が人間の目的になっているものとして、映画・ラジオ・テレビのようなコンテンツプラットフォーム的な性質をもっているものとして半ばむりやりのグルーピングしてしまいました。本日のアンケートのテーマは、デジタルデバイスをどのように使用しているかです。コンピューティングの歴史をなぞって、マジメな用途である思考の道具としての使用体験をアンケートしてみたいと思います。

■けろたん
ちょーざっくりインターネット以前のコンピューティング史。・メインフレーム(商用・科学技術用の大型コンピュータ)の流れ
パンチカード:国勢調査などに用いられた。
アナログ計算:都市設計などで用いられた。
戦時中の計算機:主に数値計算、弾道計算目的
メインフレーム:コンピュータの商用利用がはじまった。事務処理、科学計算、石油発掘や気象学のシミュレーションに用いられた。
リアルタイムシステム:ハードウェアの性能向上によって、飛行機のシミュレータ、予約サービス、ATM、バーコードなどリアルタイム性が重要な用途にも用いられるようになった。
FORTRAN:科学計算などで人間が理解しやすい数式を記述できるプログラミング言語として開発された。
COBOL:ビジネス向けプログラミング言語として開発された。・パーソナルコンピュータの流れ
タイムシェアリングシステム:一つの大型コンピュータを多数のユーザーで共有することが可能になった。
BASIC:FORTRANやCOBOLよりさらに理解しやすい言語。大学教育でよく用いられた。
UNIX:移植性(ソフトウェアを異なるハードウェアで動かすこと)にすぐれたOS。プログラムの結果を別のプログラムで利用できるパイプというしくみを持っていた。
半導体技術の高度化:電卓やビデオゲーム機の開発につながった。CPU装置が小型化しマイクロプロセッサと呼ばれるようになっていく。
アルテア8800:貧弱な入出力環境しかなかった初期のパーソナルコンピュータ。
GUI:ゼロックスのアルト・コンピュータやマッキントッシュ、Windowsなど、マウスなどを用いた直感的な操作が可能になった。

・匿名希望
テレビがなぜそれ自体が目的である発明なのかがよく分からなかったです。

・けろたん
何らかの目的のために手段として使うものではない、という意味でテレビをこの区分に入れました。
要は娯楽や暇つぶしのためにあるものということです。
最先端技術として発明されたメディア装置・環境が、実験的なものとして生まれ、公共的な目的を担う時代があり、そして新たなメディアの登場とともにその役割を終えてゆくという過程の中で、目的を達成するための道具としての側面が強かったものが娯楽や暇つぶしのためのコンテンツプラットフォームとしての役割だけが残ってほそぼそと維持管理されていく、という観点から映画、ラジオ、テレビとまとめてあります。

・Tsubo
やっぱり乗り鉄の僕からすれば,インターネット以前のコンピュータシステムで一番印象に残っているのは国鉄/JRの指定券予約システム「マルス」ですね

■Takuma Kogawa
フリーハンドで適当に書ける環境が自分にあっており、人に見せないものは裏紙や落書き帳に書いています。最終的には文章や図にし、そのメモは廃棄します。自分がタブレットを持っていれば変わってくるかもしれません。
・僕の場合、タブレットを購入したことで手書き自体の頻度が減りました。
紙がとっちらかって片付かないのでペーパレス化が当初の目的でしたが、ペンデバイスの重さや書き味がどうもしっくりこず、手書きの必要があるかどうかを吟味するようになった結果、書かずに済ませるようになりました。
手書きしたものは、手書き文字の認識精度が十分ではないので再利用することもできず、ソフトウェア内のノイズになっていますが、さらに蓄積していけば思い出になると信じて削除せずにいます。
清書が完成すれば用無しになるものをスパッと捨てることができず、あとでなにか役に立つかもしれない、、と思ってゴミが溜まっていくのはデジタル化の罠かもしれません。。

■Tsubo
思考に依存しているデバイスについて
普段のメモ書きやお絵描きは大体ipadに移行しましたが,やはり紙とペンが一番書いていて「気持ち良い」んですよね…そして,気持ちよく手を動かしている時が頭が一番よく動いている実感がします.なので,年度計画や研究のグランドデザインなど抽象度が最も高い事項を考えるときはどうしても紙とペンを使いながら考えます.

・けろたん
紙とペンが一番気持ちいいというのよくわかります。人体に対して刺激が丁度いいのか、幼い頃からの単なる慣れなのかどっちなんでしょうね。
Apple Pencilの使い心地の微妙さは、ペンと画面の摩擦の違いを疑っていましたが、ペン自体の重さが主犯ではないかと思うようになりました。書き味をうまく分析できないので数値化しやすい指標に惑わされているきらいはあります。

■Hiroto
思考デバイスについては、僕は完全に紙とペンを放棄しました(テストのときのみやむを得ず使っています)。手書きのアウトプットはもうiPadとApple pencilですね。テキストメインならpcで、手書き(というか数学)はiPadという棲み分けになっています。数学を便利にできるキーボード的なデバイスが発達すれば、僕は手書きすら放棄するかもしれません。

・けろたん
現在ほぼHirotoさんと同じ運用で紙のノートを使わなくなって久しいです。紙とペンはショートカットキーを覚えるのに付箋を使っているぐらいです。
テフは清書用で、それをいじりながら考えるというようなものではないですよね。
数学に限らず、俗に言う左手デバイス的なものがあれば記号の入力もはかどりそうですね。なぜないんでしょうか。

Day3 アンケート 都市について

■けろたん
みなさんごきげんよう。けろたんです
WS3日目もアンケートからのスタートです。
テーマは「都市化」です。

都市は、
:1つの: 暮らしやすい    16
@Hiroto, @YY 12, @チクシュルーブ隕石
, @蜆一朗, @Tsubo, @匿名希望, @chiffon cake
, @Shun, @Naokimen, @Takuma Kogawa, @コバ, @ていりふびに
, @Yujin, @ゆーろっぷ, @シト, @イスツクエ
:2: 暮らしにくい  0

都市の人口は、
:1: 増やすべき   0
:2: 減らすべき    9
@チクシュルーブ隕石, @蜆一朗, @Naokimen
, @Takuma Kogawa, @コバ, @ていりふびに
, @匿名希望, @ゆーろっぷ, @シト
3: 維持すべき    7
@Hiroto, @YY 12
, @Tsubo, @chiffon cake, @Shun, @Yujin, @イスツクエ

■けろたん
<昨日のまとめとアンケートの意図説明>
「思考の道具として依存している度合いが最も高いのはどれですか?」に対し、「タブレット」、「紙とペン」、「ノートパソコン」の順に多く投票していただきました。
思考の道具として見ると、タッチ入力やディスプレイの小ささなど入出力環境が貧弱なスマートフォンは明らかに思考を制限していて、情報処理の母艦としては使えないと感じる方が多いのは当然だと思います。
また、デスクトップパソコンも使用場所が制限されるので、据え置き用の周辺機器が必須な作業や、負荷のかかる作業を一日中、日常的にやるのでもなければ、メインデバイスとしては使いづらさがあります。
これらに対し、十分な大きさを備えると紙とペン、加えてその使用感の再現を目指すタブレット(+ペンデバイス) は、可搬性も備えており使用感ではスマートフォンに比べれば遥かにマシですが、自由自在に思考できている感覚があるかといわれれば必ずしもそうとは言えない気がします。
入出力環境の充実、持ち運びやすさといったハードウェア的な条件と情報の保存、共有、編集のしやすさといったソフトウェア的な条件を満たす万能デバイスが現れるのはいつになるのでしょうか。。。
(デジタル)デバイスの使用体験については、インターネット以後のコンピューティング史を紹介するWS4日目に再び話題にします。話は変わって、都市化についてです。
1つ目のアンケートでは、都市が暮らしやすいかどうか?という個人の視点から、2つ目のアンケートでは、1つ目のアンケートへの態度を元にして人口を切り口に、都市のあるべき姿、機能がどのようなものであるべきかの発想につながることを意図しました。
2つのアンケートへの回答として、都市は暮らしやすい/暮らしにくいの2通りと、 都市人口を増やすべき/減らすべき/維持すべきの3通りで計6通りの答え方があります。
暮らしやすさ/暮らしにくさの原因はなんなのか、人口の増減が、暮らしやすさを増し、暮らしにくさを減らすことにどのように寄与するか考えていただければと思います。
一例として、「都市は暮らしにくい」+「人口を増やすべき」の立場で考えてみます。
素直に考えると、暮らしにくさの原因としては満員電車に代表されるような過密の問題があるので、この立場は成立しにくいように感じます。
一方で、暮らしやすさを構成する要因には人を集めることが必要な問題があるかもしれません。例えばインフラの建造や維持・管理には人手が必要なので、人口を減らしすぎると暮らしやすさを損ないます。
都市化の対極として、過疎化でどんな問題が起きるかを想像するをそれをそのまま適用できるかもしれません。
まぁこんな感じでさっくり考えていただければと思います♡

■チクシュルーブ隕石
ここで使われている都市はどの程度の規模を指していますでしょうか?気になったので質問させていただきました。

・けろたん
アンケート1では、暮らしやすさに直結するようなサービスを直接に提供する単位として、お住いになっている市町村を想定してもらえればと思います。アンケート2では、都市の規模をどの程度にすべきかそれ自体を問題にしたつもりです。
都市化という言葉には、都市機能の高度化以上に、開発によって農村部を飲み込んだり周辺都市の接続が強まりながら都市のサイズが大きくなっていくイメージがあります。郊外部ではなく都市部について、都市機能や暮らしやすさと人口の関係を考えていただければと思います。呼ばなくても人が勝手に集まってくるのが都市だと言われればそれまでですが、シムシティよろしくいちから都市設計するつもりで考えてもおもしろいと思います。
参考までに、歴史上では、吉野ヶ里遺跡は環濠内部で1000弱、環濠外部も合わせて5000人程度の人口だったらしく、古代、中世までには平安京の30万人を最大として、100万人都市は存在していなかったようです。
また、俗論では同時代の都市のなかで世界一の人口と言われている江戸は、人口数十万〜200万人とかなり幅があります。
少なくとも、数千万人都市は現代特有の現象と言えそうです。
食料供給やゴミの処理など、都市サイズの巨大化を可能にした技術要因がなにかを考えるのも面白そうですね。また、過密のような都市問題は人口と広さの2軸できまるものなので一概に人口だけで規模を決めることはできませんが、人口10人(過疎)〜人口3千万人(東京圏)ぐらいのスケール感が使えると思います。
平城京は10〜30万人/25km^2でざっくりと1万人/1km^2なのに比べて、人口密度が日本一の豊島区が2.2万/1km^2ですので、人口密度がせいぜい2倍程度なのはおもしろいですね。
近代以降の人口増の原因が都市のさらなる高密度化でははなく多都市化であると考えると、現時点での人口密度はすでに許容限界に近いものなのかもしれません。

・チクシュルーブ隕石
都会で暮らしやすいということはサービス(教育、娯楽、先進的な情報技術、食事の選択など)を享受する機会が多いと言い換えられると思います。都会では数多のサービスが提供され、それを受け取る人々が多いという事実から都会は暮らしやすいのだろうと判断しました。同時に都会だから失われる住みやすさ(家賃が高い…)というものも当然存在していますが、都会に暮らしやすい要素と暮らしにくい要素を足し合わせた時に住みやすさが勝つのではないかと思いました。
2つ目の質問の解答は維持すると減らすべきのどちらに投票するか迷いましたが最終的に減らすべきに投票しました。というのも個人的な感覚として端からみていると首都圏の交通網はキャパシティを逸脱していると感じてしまいます。けろたんさんが指摘しているように人口増加に対する対処が多都市化によって行われていることもキャパシティをオーバーしてしまっている証左になるのかと思います。
また個人的な興味として一つの都市に人を何人まで詰め込んでしまうと都市機能が破綻してしまうのかが気になってきました。

・けろたん
都市に暮らしているとそれ以外の暮らしを想像しづらく、都会暮らしのプラスと田舎暮らしのマイナスを大きく見積もりがちなのはあるかもしれません。
人口を減らすと都会の暮らしやすさを支える様々なサービスが提供されなくなる気もしますが、そのあたりどうお考えなのでしょうか?
ちょー単純に考えると、仮に人口が2/3になると、美味しいお店の数も2/3になりそうです。
飲食業に限らず、消費者からみると過当競争のおかげで割の良いサービスが提供されているものは人口減以上に質の低下が進む気がしてます。

■Takuma Kogawa
都市は、郊外によって提供される基盤なしでは成り立たないと考えています。食糧や一次産業の供給元は多くが郊外だと思います。人口がもう少し分散して都市と郊外の発展度合いの差が小さくなり、郊外も公金に頼り切ることなく自力で運営可能になるとよいなと願っています。数年前に、小さい頃に住んでいた地方を訪れましたが、稼ぐ場が少ないのにバスの運賃は高く、飲食店も決して安くありませんでした。郊外にもある程度のスケールメリットを感じさせる設計が必要かもしれません。

・けろたん
上海のロックダウンは外からの流入が途絶えた都市がいかに脆いかを示す一例ですね。
地方交付金だけでなく一票の格差など、都市部の損が常態化していても都市部に人が住み続けるのは、不利益を上回る暮らしやすさがあるからとも考えられそうです。

・Takuma Kogawa
生活面も政治面も都市が優位ですと郊外で暮らすインセンティブが減ることもあり、地方創生などを謳うなら人為的に政治面での都市の不利を作り出すことはある程度の意味はあると考えます。自分自身もそうですが、都市の様々なインフラにのっかるだけ(費用を支払わないということではない)のことが多く、それなら焼け石に水でもいいから都市の仕事で稼いだお金を郊外に落として禊をしたいという気持ちはあります。

■Tsubo
滋賀県の県庁所在地である大津市中心部(浜大津)に住んでいる僕から見ても,圧倒的に都市の方が暮らしやすいです.その理由として,風光明媚な湖岸や古刹が多くあるという環境面の他に,お店や文化等の「人」の面を挙げます.特に大津では昔からやっているお店であったり利益を最優先するのではなく生活の糧として商売を営んでいるお店が多く,客を回転率や利益率など数字だけではない「人」として扱って商いを行っておられる印象があります.もう何十年も同じルーチンを繰り返していると思われる番台のおじいちゃんがやってる銭湯とか,100円から日本酒が飲めて毎日投げ銭ライブしてる角打ち屋さんとか,むしろ商売っ気がなさすぎてこっちが心配になるお店も多々あります(笑)そういうお店や銭湯に行って時間を過ごすと日々考えを巡らせている研究とか学問的なことが心底どうでもいい事象に思え,なんとなく気が楽になります.そういう「サードプレイス」的空間が成立しやすいのはやはり選択肢が多い都市だと思うので,都市の方が暮らしやすいと僕は思います.「サードプレイス」で言えば,いわゆる「トー横界隈」みたいなのが成立するのも都市ならではですね.自分と似たような境遇の人がいる可能性がかなり高いというのも都市の暮らしやすい一面かもしれません街の規模については,その場所に応じたものになれば良いと思いますが東京圏はやはり過密だとたまに東京行く時に思います.一応日本第二の都市圏である京阪神にずっと住んでいる僕ですらそう思うのですからやはり東京は人が多すぎる面があると思います.

・けろたん
人がたくさん集まることで平均的には集団として余裕がある状態を保てることが都市の利点の一つなのかなーと思います。安定性が確保されていると人柄経営のほうがお金儲け主義よりも長期的にはうまくいきそうです。
田舎で生活していた頃は、人的なサードプレイスがなかった代わりに、山川草木、花鳥風月に接することが日々の生活の相対化につながっていました。トー横界隈は危ないらしいので、体を鍛えてから見学に行ってみたいですね。
過密といえば満員電車ですが、これは、人が集まることでかえって集団的に余裕がない状態になってしまう例でしょうか。ふつうに復活しつつあるので乗っている人はギュウギュウ詰めなのが好きなんじゃないかと思い始めました。たまに乗る分にはアトラクション感があって楽しいです。

(編集後注)
キーワード:均衡ある国土の発展
 https://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/kaikaku/kikaku/2/shiryou3.pdf
全国総合開発計画 - Wikipedia

■Hiroto
都市についてはあまりに思考の基盤となる知識が不足していて答えられそうにないです、、。

・けろたん
都市を学問対象として扱う分野は、都市工学と都市地理学なるものがあるようです。「唯脳論」にもその傾向がありますが、都市/都市化の問題としてならばぼんやりとした大きいことを言いやすいのでそのパワーを期待してアンケートを作った感があります。 

Day4 アンケート (けろたん私事によりスキップ)

■けろたん
個人的なプチ事件が発生して手に付かない状態になってしまったのでWS4日目のアンケートはお休み&1日延期させていただきます。申し訳ありません。。

Day5 アンケート テクノロジーと政治について

■けろたん
みなさんこんばんは。けろたんです。
WS最終日です。最後のアンケートを唐突にやってきます。
テーマはデジタル環境と民主主義です。
何卒よろしくおねがいします。

アンケート1:触れる時間がもっとも長い受動的コンテンツはどれですか??
(選択肢にない場合は追加可能です。)
1: 活字(短い:ツイッター、ニュース、ブログ)    3
@Tsubo, @Takuma Kogawa, @Yuta
2: 活字(長い:ブログ、書籍)
3: 音声コンテンツ(喋り:ラジオやポッドキャストなど)
4: 音声コンテンツ(音楽)    2
@YY 12, @Yujin
5: 動画(短尺:数秒〜15分)
6: 動画(中尺:15分〜1時間)    10
@チクシュルーブ隕石,@Hiroto, @コバ, @Tsubo, 
@ていりふびに, @Naokimen, @蜆一朗, @シト, @Daiki, @イスツクエ
7: 動画(長尺:1時間以上。映画なども含む)

アンケート2:エンタメ、SNSのデジタルプラットフォームは民主主義にどれほど悪か?
1: 悪い。他の問題に比べ悪影響は大きい。
2: 悪い。他の問題に比べ悪影響は小さい。
3: 悪い。他の問題に比べ悪影響は同程度。    7
@チクシュルーブ隕石, @コバ, @Tsubo, @蜆一朗, @Yujin, @Yuta, @イスツクエ
4: 良い。良い影響は悪影響より大きい。
5: 良くも悪くもない。どちらの影響も同程度ある。    4
@Hiroto, @Naokimen, @YY 12, @Daiki
6: 良くも悪くもない。民主主義への影響力は小さい。    1
@Takuma Kogawa

■けろたん (WS後に追加)
<Day3のまとめとDay5アンケートの意図説明>
Day3のまとめ:
都市をテーマにしたのは、建築や流通などの技術が都市を可能にしたと同時に、都市が人間の交流密度を高め、それによってあらたな技術が生まれるという視点を導入したかったからです。問題の発生源=技術のニーズとしての都市と、問題解決の人的資源の供給源としての都市の相互関係によって、(都市生活者の一時的快適さを犠牲にして)あらたな技術を生産する機構が都市と言えるのではないでしょうか。また、人口密度の制約条件を考えることで、上限だと思っている現在の過密さもさらに上昇する余地がある(ひえ〜〜!)のではないかと考えています。

アンケートの意図説明:
情報技術の進歩によってコミュニケーションに起きた変化が政治にどのような影響を与えたか、またその程度はどれほどかを考えるために立てた質問です。民主主義へ悪影響がある「他の問題」とは、有権者の人口比に偏りがでる少子高齢化、恐怖によって政治的目的を達成しようとするテロ、利益団体と政治家の癒着の3つを想定しました。個人の評価としては、日本においてはエンタメ、SNSののデジタルプラットフォームが民主主義に与える悪影響はたいしたことがないと考えています。
個別の検討の前に、以下がTwitterでの政治議論に対する私の印象です。
まず、長文の閲覧性が悪く相手のツイートを「引用」する方式がいくつかあります。そのため内容的に高度な議論に向きません。それに加えて参加者の質も様々なので、議論の良し悪しの判定基準が、議論の仕方への文句と陣営の動員で決まってしまいます。暇つぶしに政治主張が強めの方々を左右を問わずリストに入れてたまに眺めているのですが、主張している内容にしても、主張の仕方にしても、まともな議論を目的にしているとは思えないので、暇つぶしやスマホゲームの代わりにやっているのだと思います。ガチャの代わりに言葉選び一つでいいねがたくさんついたりするのはそれはそれで中毒性がありそうです。
一例として少子高齢化について考えると、以上のツイッターの性質を踏まえても少子高齢化よりも悪影響が少ないと考えるのは数の問題です。ツイッターのユーザー層が高齢者層よりも少数である限り、Twitter上での質のいまいちな議論が投票行動に影響するにしても、悪影響は限定的、言い換えれば、高齢者層の影響力を覆すほどの悪影響は無いと考えました。


■けろたん
<締め(仮)の言葉>
この度は情報科学部初回WSにご参加いただきありがとうございました。
私的なゴタゴタで更新が滞ってしまい申し訳ありませんでした。
Discordの方では情報科学部のコンピュータサイエンス的な活動が始動しますが、WSではぼんやり大きめの話をしてゆきたいなーと思っています。
今アンケートは出揃い次第まとめを事後スレッドに投下し〼。!
1週間ありがとうございました〜

やってみての感想

アンケートが漠然としすぎていた。具体的な質問よりも何かしら思いつきやすいことを狙っていた。しかし、ぼんやり色々思い浮かんでもそれを言葉にしやすいかは別である。大きな質問こそ、事前に資料をつくるなどしてざっくりとした価値観を提示し、意見を議論のなかで位置づけやすくする配慮をすべきだった。できるだけ自由に考えてもらった後に解答してもらうことに気を取られすぎてアンケートの後に説明を加える方式にしたが、アンケートの意図がわからないと議論の射程を調整しにくいのはもっともだと思う。
テーマ選びとしては、漠然としているだけあって、それぞれのアンケートで2週間議論ができるぐらいの掘り甲斐がまだまだある。次回以降のWSでは、科学・技術史→都市設計・工学史→情報科学・情報産業史→さいごに技術と政治の関係と、段階を踏んで今回のWSでやったものをさらに深堀りしていく感じでやろうかなー。

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