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『フリーランス大全』を読みながら、主人公をアンチヒロインに変えていく

12/13
朝起きれない。冬だということもあるが、氷河期をテーマにしているせいだろうと思う。就職氷河期とは単に若者が就職できなかったというだけでなく、若者たちが暴力をふるわれ、ネグレクトされ、さらに(よくあることではあるが)加害者に都合のいい歴史修正をされたという、経済史上に刻むべき事件だったと理解している。しかも、それに加担した大人たちは普通の企業人たちで良き父親たちで、おそらく今も同じようなことをしている。一日二時間やるのが限界で、あとの時間はイーロン伝記を読むなど楽しいことしかできない。

12/14
午前中は書く。本棚の棚を追加注文したくて建設会社に来てもらった。建設会社はすぐ近くにあってちょっとした工事をお願いするとすぐやってくれる。とはいえ建築業界は人手不足らしくていつも忙しそうだ。

12/14
午前中は書く。パートナーが出社していたので習い事の送迎をやる。待ち時間はマックに入ってちょっとだけでも原稿に触る。何度書き直しても面白くならないシーンをどうしようか頭から煙が出るほど考える。マックの近所の八百屋がすごく安い。でかい白菜が半分百円だった。ハッピーな気分。

12/16
午前中は書く。デスク環境が完璧でないにせよ整ってきた。機能性と審美性の両方を持ちつつあり、仕事中のストレスが軽減された。しかし機能性が大事なのはわかるとしても、審美性まで必要とは思わなかった。キーボードメーカーの文章を読むと「デザインを美しくする」ことは「ノイズを除去すること」なのだと書いてあり、なるほど、それだかと思う。デスクを片付け、美しく整えることは余計な情報を省くことなのだ。
そんなこんなでデスク環境だけ整えてもだめなことに気づきはじめた。仕事場の改善はこの辺で止めておいて、家全体に機能性と審美性を備えて、家全体に仕事の応援をしてもらいたい。かなりの大仕事だが「寝室からやるといい」という記事を読んでその通りにしてみることにした。おそらく寝室が最も機能が少なくインテリア初心者向けなのだろう。
小説家界隈で最もインテリアに詳しいと思われる高殿円さんに汚い寝室の写真を送ったところ「寝室は左右対称にするのが基本です」と言われた。
「本当かな?」とインスタで寝室のインテリア実例をみてみると、たしかに左右対称なのである。ひとつないし二つ並んだベッドの枕元の中央には絵が飾られており、ベッドの両側には同じサイドテーブルとサイドランプがある。左右で変化をつけている例もあるが、見事に左右対称の事例ばかりだ。

https://www.instagram.com/p/CxklCPJojTt/?img_index=1

それまでは二人分のシングルベッドを壁際にくっつけていて、私は壁際担当だったため足元まで張っていかなければならなかった。この時点で左右対称ではない。そこで方向を変えて左右のベッドサイドにスペースができるようにしてみた。二つのベッドの中央には窓があるように配置してみたのだ。すると、なんていうことでしょう、「うわ!リラックスする空間になった!」のである。見た目が違うだけでこんなに変わるんだ。
審美性はここから整えていくとして、次は機能性だ。ちなみに今のベッドサイドにはサイドテーブルもサイドランプがない。ベッドの枕元にスマホを置いたり、本を置いたりしていて「十分」と思っていたのだが、よく考えると殺伐としている。学生の一人暮らしじゃないんだから。頭のすぐ脇にスマホがあるのもよくない。たまにピカッと光って睡眠を邪魔する。たとえばだが、我が家にエリザベス女王が泊まりにきたとして「スマホは枕の横に置いて寝てください」とは言わないだろう。サイドランプをつけて読書ができるとか、サイドテーブルに読み差しの本とか時計とかが置かれているとか、エリザベス女王の寝室が持っているラグジュアリーな機能が、中年のベッドサイドには必要なのだ。
サイドテーブルとサイドランプは追って買うとして、左右対称になったベッドで眠ったらびっくりするくらいよく眠れた。寝具を変えたわけでもないのに。

12/17
最近パフォーマンスが落ちてきた。走ってないことに気づいた。走ってから午前中は書く。四十代はメンテナスさえすれば三十代くらいの体力は保てるものの、このメンテナンスの時間がすごくかかると誰かが言っていた。パートナーにベッド下収納を組み立ててもらい、無印の透明ケース(賃貸マンションにいたとき押入れで使っていたもの)を寝室から追い出した。

12/18
家にずっといて子供たちと一緒にいすぎると拘禁反応が出てくる。脳が働かなくなるのだ。二人目が生まれたとき、七ヶ月ほどわたしのスケジュール表は真っ白だった。ほとんど外に出なかったのだ。出産前後も連載を休まず、育休もなかったせいだが、その結果、希死念慮を発生させて二年間苦しむことになった。そのことを脳が覚えていて、一定期間閉鎖環境が続くとストライキを起こすようになったのだろう。「腸って私の意思とは別に動くな」と感じることがあるが、脳もそうなのである。学校に送り出した後、喫茶店で朝ごはんを食べて書くことにした。無印ではプラスチック製品を回収してくれる。午後は自転車のかごに無印の透明ケースを積んで運んでいった。

12/19
旗振り業務があったのでパートナーに行ってもらった。旗振りのシフトを作っているのは地区班の世話人である私だ。パトロールもそろそろ始まるのでそっちのシフトも始めないと。雑務が多くてしんどい。だが鬱っぽい小説を書いてる時はこのくらい雑務にふり回されてないと正気が保てない。午前中書いて、午後も少し書いた。

12/20
社会から暴力とネグレクトされてきたサバイバーという設定で主人公を描いている。最初はどの世代にも友愛の心を持つ主人公にしていた。担当してくださった方がバブル世代だったこともあり「幅広い年代に愛される物語を」と希望されたためだ。「(部下が上司に歯向かうなど)怖いのはやめて」とも言われていた。
しかし、担当が同世代の編集者になったとたん変わった。「同世代だけが面白ければいいんです」と言ってくれて自由になった。考えてみれば、お前は要らないと社会に言われ続けて生きてきた人が社会の安定なんてものに貢献するはずがない。それはお前は要らないと言い続けてきた側の人たちがさらなる搾取のために必要としているファンタジーだ。人であることをやめたヒロインを描きたいと先輩作家に相談したら「ホラーだと思って書け」と言われた。鬱な気分が少しずつ消えてきた。ホラーは楽しい。
ネトフリドラマの「クイーンメーカー」の主人公も心がない。恵まれた側の人たちがよくいう「這い上がってきた人の方が性格が悪い」という言葉があるが、そこを逆手に取ったダークヒロイン。ただし彼女が擁立する市長候補は正義の人なので、そのバランスがよかった。この記事のタイトル画像もクイーンメーカーです。

12/21
午前中は書く。なるべく外で仕事をするようにしたら拘禁反応がおさまってきた。一年休んだせいと、労働環境の改善のために設備投資をしているのと、口座残高の減少と戦い続けてきたのだが、復帰して一年、ようやく資金繰りが楽になってきた。と言って、すぐに年金と健保と住民税の支払いが来る。税理士さんへの支払いも。
最近読んだ『フリーランス大全』おもしろかった。どちらかというとこれからフリーランスになりたい人や、副業を始めたい人向けの内容だった。でも、フリーランスがなんとなく目を背けがちな「老後の資金計画考えてます?」のあたりは現役フリーランス向けかも。

税金対策のために小規模共済もiDeCoも満額やっているため、国民年金基金までやる余裕はない。NISAはその気になればキャッシュにできるそうなので始めようかな。毎月入金があるかどうかわからないフリーランスにとってキャッシュがあることは大事なのだ。

12/22
子供達を学校に送りだし、軽くランニングをしてから、午前中は書く。面白くないなーと思ってた部分で、登場人物Aの性別を変えた。同じセリフでも異性に言うのと同性に言うのとではニュアンスが変わってくる。
午後になってnovel-writerが強制終了してしまった。自動保存もできてなくて午前中に書いた文が全て飛んだ模様。novel-writerの更新をした後、再起動していなかったせいか。
気を取り直して消えた分を書き直す。すで書いているシーンを脳からモニターにアウトプットするだけでは退屈なので遊びを入れていく。登場人物Bと登場人物Aが仲間だったことにしてみたらどうだろう。試し書きしてみたら、二人のストーリーが交錯していい感じになった。一部分を変えただけでストーリー全体に血がドバッと流れることはよくある。構成はより複雑になるが面白い。難しく面白く生きていきたい。