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AI教習の導入で指導員がいなくなる?未来の自動車教習所の行方

永きに渡って続いた安倍政権が終わり菅政権が新たに始まりましたね。そして、菅政権ではデジタル庁なるものが創設されて国のIT化も一層進んでいくのでしょう。

そんなデジタルな話は教習所業界でも話題になっています。なんと指導員いらずの【AI教習】が研究開発されています👇

少し前にインドでAI教習を試験運用しているニュースがあったり、近畿大学もオムロンが高齢ドライバーの安全運転を支援するためのリアルタイム運転技能診断システムの実証実験を開始して2020年には教習所など事業所向けに提供するというニュースもありました。

教習所にもデジタルの波がもうそこまで来ているのだなぁと感じています。将来AI教習が導入されることでどんなメリットや疑問点があるのでしょうか🐸❓

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◯メリットと感じる所

◇教習内容の画一化

教習所に届くクレームやアンケートなどで多いのは『指導員によって言っている内容が違う』です。

例えば、走行する時にある指導員は【車道の左寄りを走った方がいい】別の指導員は【車道の右寄りを走った方がいい】と全く逆の事を言われる。といった感じです。

しかし、大体は本当に全く逆の事を言っている訳では無いです。
普段何も無い時は車道の左寄り、フラフラしている自転車が走っている時は危ないから右寄りといった様に様々な交通状況を加味して『この時は〜』『あの時は〜』と教えています。
ただ理由を言わずに教えてたり、教習生が理解できてなかったりすると『全く逆の事を言われた!』となってしまうのです。
この場合は指導員が状況を聞き出して丁寧に説明すれば大丈夫です。

問題は【指導員の長年の運転経験からくる強いこだわりやクセによる内容の違い】です。
所謂ベテラン指導員に多いのですが運転教本に書いている内容を否定したりもするので教習生だけでなく指導員の方も困っています。

運転経歴や指導年数も関係なく全員共通した内容を教習できるというのはAI教習の最大のメリットになりますね。
指導員から怒鳴られたり、セクハラされたりというのもなくなりますね(°▽°)


◇外国人教習生への教習

外国人教習生を教える時に言葉の壁はかなり高いです。
日常会話を覚えることも大変なのに運転に関する用語や学科の日本語独特言い回しなど日本人でさえ理解し難い部分は更に大変です。

指導する時は身振り手振りしたり図式化したり番号付けしたり色々と試行錯誤しながらやっているのですが、
必殺の『ニホンゴワカラナイ&ニホンゴムツカシイ』が炸裂して教習生の方が諦めてしまうことも多々ありました😱💦

AIによる多言語化ができるなら今後また増えていくであろう外国人労働者に向けて教習所の受け入れを拡大していけるのではないかと思います。

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●疑問に思う事

◆項目と違う内容のみきわめ

教習所によって技能教習の進め方はある程度決められています。技能5時限目は坂道、次の時限はバック、その次はS字コースといった感じです。

技能教習が進んでいく程、今までやった内容を複合的に教習していきます。その中で前回はできていたが今回はできなかったといったことも起こります。
そういった時は先に進めず復習に時間を割きます。

AIは坂道やS字コースなど項目ごとの評価はしっかりしてくれると思うが、それ以外の部分の評価や進め方はどう決めていくのだろうか。


◆項目の進まない教習生へのサポート

技能教習の理解度や成長度は人によってバラバラです。説明を一回するだけでできてしまう教習生や何度同じ練習をやっても中々上手くいかない教習生もいます。
しかし、そんな人でも指導員の鶴の一声で急に上手くいったりする人もいます。

教本の内容に沿った画一的な教習では補えない部分がでてくるのではないかと感じます。
行き詰まった教習生に対するサポートはどのようにしていくのか考えなければいけない。


◆事故時の責任と様々な交通状況への対応

将来路上教習もAI教習に任せるようになった時に事故が起きてしまったら誰が責任を取るのか?
自動運転車でも運転者か開発者かどちらの責任になるのか議論になったりしている。また、トロッコ問題といった話も持ち上がったりしますね。

私は路上教習では危険な場所や場面を教習生に先に教え、どう対処するか考えさせるといった形で実際に事が起きる前に予測や対策をさせたりしています。

危ない状況でいきなり警告音がなったりするだけでは教習生がビックリするだけで何の身にもならないと思います。
危険予測をさせ主体的な運転を練習させることをAI教習はできるのだろうか?

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●まとめ

AI教習は高齢者講習やペーパードライバー講習など既に免許持っている人や再取得者にとってはいいツールになると思います。
講習をAIに任せている分、教習に指導員を回せることは教習所の利益に繋がりますね。

ただ、全くの新規で運転免許証を取得しようとする人に指導員を乗せずにAI教習だけで教習を完結させようとするには難しいと感じます。

AI教習を導入する目的に指導員の負担を減らすとあったが、もし教習自体が負担に感じるなら指導員を辞めた方がいいと思うし、人とAIを混在させてしまっては『教習内容の画一化』の目的が薄れてしまう…

教習所に入学する段階でAIか指導員を選択してもらって、途中で変更できるようにして教習生自身にどちらが向いているか決めてもらうといったやり方がいいのかもしれないですね。

今現在指導員として働いている身としては、AI教習よりも事務手続きや教習原簿の判子押しなど手作業な部分をデジタル化して作業効率を高めて欲しい限りです🐸✌️

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