『ザ・ハイライト』

ザ・アリーナ、そしてザ・ドーム。我ながら幸運だなと思うのだけれど、今年のツアーどちらにも参加させていただくことができた。奇しくも両方ともツアー初日の公演だった。

Sexy Zoneのツアーにはいつもしっかりとしたコンセプトがあり、ストーリーがある。そういうところが堪らなく好きだ。
ただ今回のザ・アリーナのツアーはコンセプトこそはっきりと存在していたものの、ライブの頭から終わりまでを貫いて進んでいくようなストーリーらしきストーリーは最初から存在しないか、もしくはひどくうっすらとしたものだったように思う。

そういう意味で今回のザ・アリーナというライブをどう受け止めるのかしばらく考え込んでいた。
もちろんライブの演出自体はとても好きだ。今の彼らだからこそできる色とりどりの表情に、演出。初めての夏ツアーということもあってかどうしようもなくきらきらしくて、まるで夢のような時間だった。
思うにザ・アリーナというツアーは、ザ・ハイライトというアルバムからして『さまざまな年代の音楽のハイライトを詰め込んだおもちゃ箱』のようなツアーだったように思う。
ただ色々な音楽を楽しみ尽くすためのステージであり、時間だった。一夏の記憶に相応しい、鮮やかで泡沫の輝きだった。

そうしてザ・アリーナから続くザ・ドームで私の前に差し出されたものはここまでの十一年駆け抜けてきた彼らの時間というストーリーを踏まえて、ザ・アリーナから進化したステージだった。
おもちゃ箱から宝箱へと姿を変えたステージがそこにあった。
東京ドームに足を踏み入れるのは生まれて初めてだったし、声出しOKのライブも初めてだった。初めてこの場に立つ彼らのことを、初めてづくしの自分が同じ空間で目にできること。それをライブが始まる本当にギリギリまで信じられないなと思っていた。思っていたし、実際にライブが始まってオープニングムービーで早速めちゃくちゃ泣いてしまった。

ザ・ドーム。ザ・アリーナの延長線上にあり、同時に相補的でもあるステージだったと思う。アリーナもドームもどちらもDreamで終わるあたり、メッセージ性を感じて本当に好きだ。

ライブをするにあたって中島さんが「今の僕らが一番セクシー」という旨の発言をしていたと思うけれど、本当にその通りで、どの時点の過去と比較してもきっと今この瞬間の彼らこそが最高点に居る。それを感じさせてくれるライブだった。
そして同時に過去の彼らもまた、その時点での最高点に居続けてきたのだと思う。彼ら自身の全力を以て、いつだって歩みを止めないまま。

今日FCからメールが来て、マリウスの言葉で綴られたお知らせを見た瞬間、全然職場だったのに一瞬泣きそうになってしまった。
思えば10thのツアーのパンフを見た頃から、いつかこんな日が来るのではないかと思っていたような気がする。メンバーがマリウスの決断を尊重する準備ができているのだと、彼ら自身の言葉でそう綴ってくれていたから。
それでも聡ちゃんという前例が居ることもあって、きっとまたいつか5人でSexy Zoneとしてステージに立つ彼らのことを待ち望んでいたことも本心だった。

FC動画を見て、彼らのコメントを聞いて、寂しいことはどうしようもないけれど、それでもこんな風にポジティブな理由で『卒業』していくマリウスの姿を見送ることができるのを幸せだとも思う。
マリウスが自分のやりたいことをちゃんと自分自身で選択できたこと、メンバーがそれを尊重し、応援していること。ドームツアーを100%楽しむことができるように発表がこのタイミングになったこと。寂しいお知らせだけではなく、楽しいお知らせをいっぱい用意して伝えてくれること。そのすべてが嬉しいし、良かったと思えるようにしてもらった。

私はSexy Zoneを見つめ始めたのが遅かったから、5人で揃う彼らの姿というものをほんのひとときしか見られなかったように思う。それでも今自分が追い始めてからの彼らのことを思うと、どの瞬間も最高に輝いて、同時にファンに寄り添ってくれてもいて、不思議と『もっと早く彼らに出会いたかったな』という気持ちは少ない。きっと彼らが、彼らにとってその時届きうる最高点に居続けてくれたからだと思う。そういう意味で、Sexy Zoneの歩んできた道はどの瞬間を切り取っても正しく『ザ・ハイライト』だ。

この世にはきっと、アイドルでなければ出来ないこともあるだろうし、アイドルでいては出来ないこともある。
マリウスが、彼の選んだ道を健やかに進んでいけるよう、一オタクとしてこの日本の片田舎からずっと祈っている。

……余談だけれどSexy Zoneのおかげで生まれて初めてインスタグラムというものに触れた。寂しがっている暇もないくらいに楽しんでいる彼らの姿を見るのに忙しくて、本当にありがたいことだと思う。でもお願いだからインライのアーカイブは残してください。