『POP×STEP⁉』感想

『POP×STEP⁉』がメチャクチャ良かったので感想を書きたい、と思い続けてからもう一週間近くが経ってしまった。お前はいつでもそうだ……動き出しが遅い……。
というわけで、簡単にではあるが一曲ずつポプステの感想を書いておきたい。とは言っても私は音楽の知識を持ち合わせない人間である。
『POP×STEP⁉』という名前のアルバムが出るにあたって、ポップスの定義を調べてみたりしたのだが結局よく分からず早々に諦めた。お前はいつだってそうだ。諦めだけは常に早い。
だから最近のJ-POP界隈の音楽ムーブとか、ジャニーズ界隈がどうだとか、ここのコード進行がどうだとか、編曲がどうだとかそういう話は当然できない。というか耳の悪い人間なので、未だに各曲の歌割りの把握すら危うい有様である。
ということでここは、曲がりなりにも字を書いてきた二次オタとして歌詞中心にポプステの感想を書いておこうと思う。

1.極東DANCE
今回のリード曲。極東DANCEはもうMVの世界観の時点でオタク一本釣り!!!!!君たちの勝ち!!!!という感じなのだけれど、Mステ前に公開された以下の記事がとても腑に落ちる。

個人的には1番の「間合いの果て」、2番の「合い言葉」の辺りは「愛」とかかっているのではないかなぁなんて思う。
あと何がずるいかって、あれだけ若くて鮮やかなアイドルたちに「花の色うつりにけり」と歌わせておいて「美しさは心に在り」と続けるところだ。はぁ~~~~~ずっるい……。あと後半でふまけんのパートが入れ替わるところ。
現状でも大好きなのだが、他の方の感想などでも触れられていたけれど、歌詞自体はもう一捻り二捻りあるともっと楽しかったなぁ、と思うところはある。
極東DANCEで一番トンチキだなと思うところは「時は今 運命の Merry-go-round」である。もうここメチャクチャに好き。聴く度に笑顔になっちゃう。

2.恋のモード
もう~~~~これ絶対にラブコメ少女漫画がアニメ化したときのOP曲!!!
「僕は恋のモード」から始まるサビの部分で絶対画面右に正面向きのヒロイン、画面左に背中向きのヒーローがいて、ちょっと走ったり最後に向き合ったりするやつだ。分かるんだよなぁ……。私に力があったらこれで偽のOPのMAD作ってるから………力がなくてよかった……。
サビの「君に夢中 ベイビー きっとラブリー ポップ クール セクシーセクシー ベイビー」のところがどう考えても歌っているSexy Zone本人たちを形容する表現すぎて、恋のモードを歌っているのはSexy Zoneなのに、それを見つめる私たちのことを歌っている、そういう不思議な合わせ鏡的感覚を得ることができる。何を言ってるんだ?? さぁ……。

3.禁断の果実
出だしのイントロで何故かいつも昔のKAT-TUNぽさというか、修二と彰みを感じてニコニコしてしまう。ちょっと古くさい感じがする(褒めている)。
この曲のタイトル、そして試聴のときから、この曲のずるさは関ジャニが「DO NA I」ですばるさんに「マチガイの恋でも素敵やん?」と歌わせるずるさと共通していると思っていたのだが、一曲通して聴くとむしろ「DO NA I」よりは「JAM LADY」のずるさだなぁと思う。
これでもか!というほど歌詞が韻に乗っていて、聞いていてワクワクする曲である。あとこれだけ「ワルい男」の曲のような感じでいて、歌詞を見ると意外と女の子にしてやられている男の曲でちょっと微笑ましい。
私は曲を覚えるのが苦手すぎる人間なのだが、ポプステにはイントロから独特で「あっ、あの曲だ!」と間違いなく分かる曲がいくつかある。禁断の果実はそのうちの一曲だ。

4.Honey Honey
このアルバムの中に入っていると、シングルで聞いていたときよりも一際、いい意味でアイドルらしい曲だなと思う。
対等な両片思いラブコメっぽい「恋のモード」、悪い男女の恋愛っぽい「禁断の果実」のあとにこの曲が入っていると、余裕のある男の人視点の甘いラブソングという感じがすごく安心する。
マジで余談なのだけれど、この曲をシングルで聞いて以来好んで蜂蜜を買うようになっている。毎日おいしい。

5.タイムトラベル
この曲、全体にオシャレすぎて、こういう曲にあまり触れてこなかった身としては何だか気後れしてしまう(?)。
あとサビ部分の音が高くてびっくりするな……。Sexy Zoneのライブ円盤を初めて見たときに「全員高音が綺麗だなぁ」と思った覚えがあるのだけれど、その気持ちは今でも変わっていない。
「名脇役」なんかもそうだけど、相手が恋愛としてこちらを意識していないけれど、こちらは仄かに恋をしているのだ、という状況の曲が不思議と彼らに似合ってしまうのは何故なんだろう。どう考えても片思いしないでしょ!みたいなメンバーばかりなのに。

6.Blessed
この曲と「One Ability」の二曲が、このアルバムにおける特異点だなぁと思う。ランダム再生でアルバムを流していて急にこの二曲が流れてくると毎回その異質さにびっくりして曲名を確かめて「ああ、やっぱりこの曲か」と思うのを繰り返している。いい加減曲を覚えた方がいい。
歌詞で一番好きな箇所は「世界は僕らを待ってはいないだろう」「それならもう少しだけ眠らずにいようか」の部分。大好きすぎていつか使ってしまいそうだ(?)。
この曲は彼らの声ありきの曲なのかな、と思っている。素っ気ないようにも聞こえるのに常に優しい響きがあって不思議な声をしている人たちである。

7.BLUE MOMENT
王道卒業ソング。この曲を聴く度に自分の高校生活に思いを馳せると同時に、あの頃もし自分が既にSexy Zoneに出会っていたら、という夢想をする。たらればを言っても仕方が無いのだけれど、そういう懐古を連れてくる曲だと思う。
青春と呼ばれる日々は過ぎ去ってから改めてその眩しさに気付くものだけれど、10代の頃からずっとSexy Zoneとして活動してきた彼らにとってのその日々はどこにあったのだろうと思う。初めから無かったのか、あったけれど今はもう失われたものなのか。もしくは、今もまだ青春という青い日々の中なのか。

8.○△□
ここに来て再度ポップス全振りみたいな曲が来る。素晴らしい。
「みんな違うからいい」というのは、ここ数年Sexy Zoneが歌い続けているテーマなのではないかなぁと思う。私はそんなに幅広くたくさんの曲を聴いてきた人間ではないのだけれど、Sexy Zoneが歌う「ありのままの自分を愛そう」みたいなメッセージは他の誰とも違う響きを孕んでいるように感じられて、何だか興味深いなと思う。
「ヘマすりゃ凹んで 歪な心」「自分らしさって デコボコの数かもしれない」というあたりの、嫌なことがあるのも、それで凹んでしまうのも、そういうの全部ひっくるめて「自分らしさ」だよね、と歌ってしまうアイドルが居るのだという現実に腰を抜かしてしまう。彼らが歌うのは応援ソングではなく、現状を認めるための曲なのだなぁ。

9.ダヴィンチ
色々なところで「今回のアルバムで唯一ロック調の曲」と言われているだけあって、これもまたこのアルバムにおいてオンリーワンの異色な曲である。曲調としては「ゼンゼンカンケイナイ」にちょっと近い気がする。
「外野なんて気にせずにいこう」の辺りが恋はじの「人生はパレード 自分が主人公」を彷彿をさせて大好きだ。私はたいした技能も持ち合わせていない割に基本的に自己肯定感だけは売りに行くほどある人間なのでこういう歌詞を聴いていると気持ちよくてしょうがない(?)。精神構造どうなってんの?
すごいどうでもいいんだけど歌詞カードのここのページの風磨くんのおててが綺麗すぎて手フェチではないはずなのに動悸が止まらなくなる。

10.まっすぐのススメ!
「恋のモード」が両片思いラブコメOPなら「まっすぐのススメ!」は幼馴染みサブCPとして作中で人気が出た二人のスピンオフOVAって感じがする。何を言ってる??? 「近過ぎると見えないど近眼ライフ」のあたりが少女漫画ラブコメ感があって大好きである。さすが難聴系ラブコメ主人公・一条楽を演じていた人間が所属するグループは歌詞に説得力がある(?)。
「花束持ってひざまずき」のあたりはライブでこの曲をやるならメンバーに絶対やってほしい演出……なのだが、PAGESでもしっかりそういう演出があるのでどうだろうなぁと思う。でも絶対似合うよ………。
「至近距離 my love」のフレーズが好きすぎて多分ここもいつか何かの機会で使ってしまう気がする。

11.Tokyo Hipster
作詞作曲陣が発表されたときから何の不安もなかった一曲である。
三浦女史のつくる歌詞はいつも女史にしかつくれないなぁと思わされるのだが今回もばっちりしっかり彼女らしさ、彼女の歌詞を歌うSexy Zoneらしさが溢れていて大好きだ。
「禁断の果実」と同じく、イントロだけで私が曲を聞き分けられる数少ない曲でもある。
試聴のときに「渋谷あたりは谷底で」を最初に聴いて何故か東京事変みを感じたのだが多分「新宿は豪雨」を思い出しただけで特に共通点はない。
銀河系のはじっこで5分程度の遅刻なんて何でもない!とか、ホモ・サピエンスそんなに生きてない!とか、とにかく歌詞のスケール感の大きさにいちいち打ちのめされてしまう圧倒的なパワーがある。
歌詞のスケール感はとんでもないのだけれど、耳馴染みのいい軽いポップ調の曲と、Sexy Zoneの歌声でランクアップされていて、単なるトンチキというワードはあまり相応しくない曲に仕上がっているなと思う。

12.MELODY
ここ一週間のSexy過剰摂取により、まだこのMVを見ていないのだが試聴動画の時点でその破壊力はよく分かる。そのうち覚悟をキメてから見ます。
ここまで加工が入っているアイドルの曲、というのも珍しい気がする。私は加工というか、電子的な響きに慣れたニコ動育ちのオタクなので逆にこういうのの方が馴染む部分はあるのだけれど。
「人に怒らず 無駄に焦らず 生きるのは難しいね」の歌詞を聴く度にどこかハッとするような心地になる。本当にどこに行ってもオフラインでもオンラインでも対人関係というのはいつも付き纏って私たちを時に悩ませ、時に喜ばせるものだ。そこでうまく行かないことがあっても、「君ならできるはず」と歌ってくれるSexy Zoneはこの曲独特の雰囲気も相俟って、一瞬冷たく感じるほどのさらりとした湿度の少なさでメッセージを丁寧に届けてくれる。

13.One Ability
「Blessed」と並んでこのアルバムを一筋縄ではいかないものにしている曲だなぁと思う。好きなのだけれど、この曲を一から十まで咀嚼するのは大分先のことになりそうだな……と思う。あまりに許容量の少ない人間なので……。
ライブでこの曲をやるのなら「CRY」的な演出をしてくれたら嬉しいなぁ、と思うのだが果たしてどうなるだろうか。
「愛することしか出来ない」の辺りが、MELODYの乾燥した感じとは打って変わった湿度の高さで、この二曲を前後で持ってくるチャレンジ精神に唸らされてしまう。振り幅が大きい。

14.それでいいよ
曲名からして「己を愛せよ」というメッセージがバシバシ伝わってくる。
この曲はどこの歌詞を切り取ってもすごく優しくて大好きなのだけれど、どこか一つを選ぶならば「まだ君が知らない 君に続いてく旅へ」かなぁと思う。
人生は重き荷を負いて旅路を行くがごとしと家康も言っているけれど(と言うものののどうも他人の言葉らしいですねこれ)(戦国あるある)、各々今から行く旅路については何も分からない中で、時にはこういう曲を聴きながら一歩を踏み出すのもまたひとつの指針として良いのかもしれないなぁ、などと思いました。半分以上何の話?って感じだ。

15.麒麟の子
あまりにもメッセージ性が強すぎて、ポップスをテーマに集めたこのアルバムの中に「麒麟の子」を混ぜるのはなかなかチャレンジャーだなぁと思う。でもこの曲もまた間違いなく「Sexy Zoneの歌うJ-POP」なのである。
何度か書いているとおり、Sexy Zoneの曲は基本的に「己を愛せよ」というメッセージのある曲なのだけれど、「麒麟の子」はそこから一つ進んで「他人と違うことを恐れるな」というメッセージであると思っている。
私はどこまで行っても凡夫なので主張するほどの個性を獲得しえないままここまで生きてしまったのだけれど、「BLUE MOMENT」とは違う意味で、この曲を中高生の頃の聴いていたとしたらどんな風に人生が変わっただろうか、と思うことはある。人生の多感な時期に、今のSexy Zoneが歌う歌に触れることってすごく大きな意味を持ちそうだ、と思うのだけれどどうだろうか。校内放送とかで流してほしい(?)。

16.HIKARI
イントロは「天空のロイヤルブルー」ぽさを少しだけ感じる気がする。
「何度も僕らは光り輝くそのたび 夜は教えてくれる」のところが本当に好きで、曲調は割と明るいのに歌詞は明るいだけのものではない、という良い意味での不均衡さが何度もこの曲を聴きたくなるポイントなのかなぁ、などと思う。
ここでもまた「頑張りすぎないで頑張って!」というド直球のメッセージを歌っているのだけれど、ここまでこのアルバムで己を愛せよというメッセージを伝えてきた彼らに「頑張りすぎないで頑張って!」と言われれば、まぁ明日もお仕事頑張るかな……帰ってきたら原稿に手を付けるかな……という気分になる。そういう気分になるだけで実際進捗が上がればいいんだけどそうもいかないのは私の不徳の致すところだ。
ありがちではあるのだが、「Are you ready?」で歌が始まって、「Ready to go」で終わるところが分かりやすくて好きだなぁと思う。様々な振り幅の16曲が収まったこのアルバムで、最後に聴く彼らからのメッセージは「Ready to go」であるという事実。うん、明日も頑張ろう、と思える。