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来年もまた、夢を見たい

5/8、SZ10TH 広島公演初日。
初めて足を踏み入れた広島グリーンアリーナは、思っていたよりも小さく見えた。人が少なかったからそう思ったのかもしれない。チケットを見つつ辿り着いた席は、センステ花道真横だった。

「いやこれもしかして神席なんじゃない????」

これが初回参戦ボーナスか……と思いながら席に着いた。フェイスシールドを着けて、少しだけそこに会場の照明が反射しているのを視界の端で見ていた。

正直、関東の状況を遠目に見ていたときはGWの横アリ公演が予定通り開催されるとは思っていなかったところもあって、なかば諦めていた広島公演だった。
ただ本当に横アリ公演が開催されて、Sexy Zoneの皆がブログでそれぞれに開催に協力してくれてありがとうと述べているのを見て、段々と「このまま本当に広島も開催されるのかもしれない……」と思い始めた。思い始めて、とあることに気がついた。

2020年、一度も遠征をしていない。イベントにも参加はしていない。仕事は制服だし、家ではいつもTシャツとジャージだ。服が無い。

もう本当に服が無い。冗談抜きで「服を買いに行くための服が無い」状態だった。
ライブ2日前の仕事終わりに、制服のまま服屋にかけこんで上から下まで一式揃えて参戦服を買った。上から下までというのは比喩でも誇張でもなく、トップスからスカートから鞄から靴下から靴まで全部この日のために新調した。多分運命の人とのデートでもこんなに一気にオシャレしないと思う。というか普段からちゃんと最低限身支度できるだけの備えをしておくべきだ。

久しぶりに外に出る準備をしていて、忘れかけていた高揚がじわじわと心に滲んでいくのを感じていた。もともとイベントや遠征がなければ服を買わない人間なので、こういう準備とワクワクが条件反射で結びついている。

当日の朝、普段は面倒なので絶対にしないマスカラをして、こちらも面倒なので絶対にしないアイロンをかけて、ワックスをつけて、何か我ながら気合いの入り方が違うんじゃないか!?みたいな仕上がりになった。実際、偶然出会った知り合いに「今日感じ違くない!?」と言われたので気合いの入り方は違ったんだと思う。

友人と共に向かった広島グリーンアリーナでOPが流れ始めたとき、正直かなり涙腺に来た。去年の配信ライブで、空っぽの客席を前に彼らがどれだけ寂しかったのだろうかと思うと目が熱くなる。こちらには笑顔ばかりを届けてくれたけれど、きっと寂しかっただろうし、虚しかっただろう。

開始数秒どころかまだ始まってもいない段階で既に真面目に泣きそうだったのだけれど、その涙を吹っ飛ばしにかかるご機嫌なスタートダッシュ。本当に素晴らしいと思う。
LET’S MUSIC→Celebration!→ROCK THA TOWNの繋ぎでテンションが上がらない人間、居ないでしょ。

しかもそこからNOT FOUND→極東DANCE→麒麟の子でたたみかけてくる。泣いてる場合じゃない。泣いてる場合じゃないしマジで割とそう遠くない場所をSexy Zoneたちが通るため、終始「これは…夢なのか……??」という気分になる。
あと今更といえば今更なんだけれど、聡ちゃんがいなかった時期の曲を、聡ちゃんが歌って踊っているところを目の当たりにして一人で胸をいっぱいにしたりしていた。こみ上げるものがある。

今まで見たことある、もしくは見たことのないライブを、SZ10THというアニバーサリーの舞台の上で見ることができる贅沢。
こんなことあるんだ………(感嘆)
今回のライブ、つくづくコンセプトも構成も素晴らしかったなぁ……。

そんなことを思いつつ、メンバーが会場のあちこちを移動するためマジで目が足りない。モニターも見たいし実物のメンバーも見たい。目というか顔が足りない。
パフォーマンス中はマジでこれは夢なのかな……って思うほど現実離れしているのだが、喋りだすといつものSexyたちで安心してしまった。いつも通りツッコミが誰一人居ない治安の悪さを誇るトーク。大好きだ。

今思い返してもなかなかの神席だったため、自分の見つめる先、本当に数メートル先に風磨くんが立っていて、しかもこちら側へ向けてファンサをする姿をはっきりと目にして、「もしもこれを直撃で受けていたら死んでいたな……」と死を覚悟した。流れ弾でも割と危なかった。
あと今回はライブの作法が分からなさすぎて団扇は持たずに参戦したのだけれど、ペンラだけ持っていると左手が相当に暇だということが分かったため、もしも次の機会があれば団扇参戦を検討してみるべきかもしれない。

今回の舞台セット、シンプルイズベストだからこその演出が際立っていて本当に良かったんだけど、中でもセンステの照明装置がすごかったなぁ……。最初に動いたときマジで何が起こってるのかと思った。あの演出何回でも見たいからもう既にディスクが楽しみである。

今回、SZ10THというライブで今までのライブを追憶させてくれる中で、ある意味確かに舞台の上には『5人のSexyZone』が居たし、そうであろうとしていたと思う。
パンフレットを読む限り、これからのどんな未来の可能性も覚悟の上ではあるんだろうけれど、この10周年アニバーサリーというライブの上でやっぱりSexyZoneは5人の姿を見せてくれた。それが美しい幻であろうとも。

SZ10TH、色んな意味でこの状況だからこそのライブではあったけど、初参戦の身としてはすごく快適で楽なライブでもあった。
物販のストレスが無く、入場のストレスも無く、歓声がないのはちょっとだけ残念ではあったけれどその分舞台上のSexy Zoneそのものに集中できた感じもする。声を出さないからか、運動不足のオタクでも最後まで体力が持った感じもする。
まあ、今までのライブを知らないから出てくる感想ではあるんだろうけど……。

テーマ、構成、演出、パフォーマンス。どれをとっても最高だった。
本当に、初めてリアルで見るライブがSZ10THでよかった。
最初に行ったライブで至近距離でジュニアの水浴び見てたら最終的に情緒メチャクチャになってたと思うから……(POP×STEPも好きなんですが)。

ライブが終わってから帰る道中で、口を開けば「よかったなぁ……」しか言えない人間に成り下がったんですが、今思い出しても本当に良かった。夢のような時間だった。
これが毎年毎年あるんだとしたら、確かに来年のライブまで生きよう……と思ってしまうなぁ。

今回開催側としても色々な想いがあっただろうし、制限も多かったと思うんですが、一参加者としてはあまりにも楽しい時間すぎたなぁ。

来年、状況がどうなっているのかは分からない。去年からの一年で、エンタメもイベントも交通も、すべてのものが一気に変わってしまったし、多分本当の意味で元通りになることはない。
だからこそ、新しい「これから」の様式でもって、来年また、この美しい夢を見られることを祈っている。