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カメラ紀行「世界の絶景」2.巨岩奇岩③




7.太魯閣 (台湾)

台湾屈指の景勝地

 台湾の国立公園「太魯閣(たろこ)国家公園」の中核をなす太魯閣渓谷。
かつては人を寄せ付けない秘境だったが、花蓮~台中を結ぶ東西横貫道路が開通したおかげで人気に火が付き、多くの観光客が訪れる台湾屈指の景勝地となった。
 因みに「タロコ」の地名は流域の台湾原住民タロコ族の言葉で「連なる山の峰」を指すといわれている。

大理石が切り立つ太魯閣渓谷

 高さ1,000メートル以上にも切り立つ太魯閣渓谷は、台湾東部の花蓮県を流れる河川「立霧渓」が大理石の岩盤を侵食して形作られた大渓谷で、自然の力によって作られた奇岩怪石と水の美しさゆえ、台湾の中でも特に人気のある景勝地として知られている。

険しい渓谷が続く遊歩道を歩く

 かつて使われていた細い古道が遊歩道として整備されている。
 谷の深さが最大600mにもなる断崖絶壁のそばを歩いた。
 むき出しになった大理石の岩肌を、立霧渓の水流が何万年もの歳月をかけて削ってできた峡谷美が20kmにも渡って続く。
 太魯閣渓谷で最も険しい渓谷が続く『九曲洞』、文字通り渓谷が大きく曲折している。

九曲洞

血のにじむ努力で生まれたトンネル

 小さな尖峰や奇岩、むき出しの岩肌を見上げると、ここに道をつける事がどれほど困難であったかが窺われる。
 手作業で掘って開いた道として知られているこの道路は、1956年に着工、連日数千人もの建設労働者が動員され、4年の歳月をかけて完成した。 
 建設の途中には台風や地震、豪雨などの自然の猛威にさらされ、まさに命がけの建設だったという。
 絶壁を、巨岩を、ノミと金槌でくり貫いて出来たトンネルは低く、一方が開いていて、今にも崩れ落ちそうに天井がぶら下がっている。見下ろすと、その高度感は半端ではない。

 歩きながら自然が生み出す美味しい空気をたっぷり吸い、大理石の絶壁、エメラルドグリーンに輝く渓流など素晴らしい自然を楽しみ、足元遥か下に流れる渓流をのぞくと、ぞくぞくっとするスリルを味わう。
 日頃の慌ただしさを忘れてリラックスしたひと時だった。

8.野柳 (台湾)

世界奇岩の一つ

 台北と基隆のほぼ中間地点にある野柳岬。
 大屯山系の分脈が海中に約1700メートル伸びてできた岬で、金山から眺めると巨大なカメのように見えるため[野柳亀]とも呼ばれている。
 この地区は亜熱帯にあって、気候はおだやかで湿度が高く、一年のうちおよそ半分は強烈な北東からの季節風が吹く。そのため、強い波の侵食作用と、風化作用により、岩石の色が様々に変化し、更に地下岩層の特殊な構造が、数百万年の間に海底より盛り上がり、岩盤が侵食されてこのような奇景が作り出された。

必見の「キノコ岩」と「女王頭」

 草一本もない荒涼とした岩地は、無数の小さな穴が開き、まるで海綿スポンジのようだ。
 その上には、とても自然にでき上がったとは思えない形の、奇妙な岩がそびえ立ち、まるで月世界に来たような不思議な光景が広がっている。
 中でも有名な「キノコ岩」と「女王頭」は必見だ。
〈キノコ岩〉
 上が太い球状で、下が細い石柱のような岩石が無数にあった。これらの岩はキノコの形をしているのでキノコ岩と呼ばれている。
 キノコ岩は園内に約180個あり、自然が創り出したものなので、各岩様々な大きさや形、個性があって、じっくり観察するとなかなか面白い。

<女王頭〉
 一番有名なのが「女王頭」。その名の通り、見れば見るほど、女王様の頭に見えてくるから不思議だ。 
 どことなく高貴な気品が感じられる。現在も少しずつ風化が進行していて、細った根本はあと数年で折れてしまうとも言われている。


 
 
 

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