ラジオドラマ脚本:星の国の王子様
登場人物
ニーナ・アルベルト 女
この物語の主人公。童話「星の国の王子様」が好き
エル・シーザ 女
ニーナの親友
ジーク・ヴァンドルド 男
ニーナ、エルと一緒に住んでいるルームメイト
フライト 男
「星の国の王子様」に登場する王子
王様 男
「星の国の王子様」に登場する星の国の王様で、フライトの父
女王 女
「星の国の王子様」に登場する星の国の女王で、フライトの母
少年 男
「星の国の王子様」に登場する少年。童話の中の名前はヨハン
少女 女
「星の国の王子様」に登場する少女。童話の中の名前はアンネ
家来 女
「星の国の王子様」に登場する王様と女王に仕える家人。
本編
ニーナ:うーん・・・(背伸びする時の声)、嘘、もう夜の1時かぁ・・・いつの間に寝ちゃったんだろう・・・?
(扉を叩く音)
エル:ニーナ(呼びかけるように)、ニーナ、起きてる?
ニーナ:エル?どうしたの?
(扉が開く音)
エル:ねぇ、ちょっと散歩しない?勉強疲れちゃってさ
ニーナ:今から?うーん・・・さっきまでうとうとしていたからなぁ・・・
エル:それに外ね、星がすっごくきれいなの!一緒に行こうよ!
ニーナ:もうエルったら。しょうがないなぁ
エル:やった!じゃあちょっと待ってて。コート持ってくる
ジーク:ふあぁ・・・(あくびをする)、二人とも何してんだ?こんな時間に
ニーナ:あ、ジーク。起きてたの?
ジーク:まぁな
エル:お待たせ!あ、ジーク、私たちこれからちょっと出かけてくるね
ジーク:今から夜遊びか?
エル:違うの!これから星を見てくるの
ジーク:星?
ニーナ:ちょっとした息抜きだよ、ね?
エル:うん。ジークも一緒にどう?
ジーク:寒いからパス・・・と言いたいところだけど、どうせ暇だし俺も行く
エル:やった!
(玄関のドアが開く音)
(北風が吹き抜ける)
ジーク:うぅ・・・寒い!
ニーナ:思った以上に冷えてるね・・・
エル:―――くしゅんっ!
ニーナ:エル、大丈夫?
エル:うー・・・多分。あ、あそこの丘まで行こうよ
ニーナ:うん
ジーク:おい、待ってくれよ!
エル:はぁはぁ・・・(夜空を見上げて)うわぁ・・・綺麗・・・!
ニーナ:わぁ・・・本当だ・・・!
ジーク:・・・・・・(夜空に見とれている)
ニーナ:こうやって星を眺めるの初めて・・・
ジーク:俺も・・・
エル:たまには天体観測ってのも悪くないでしょ?
ジーク:そうだな
ニーナ:王子様・・・
エル:え?
ニーナ:小さい頃、ママがよく絵本を読んでくれたの。「星の国の王子様」ってタイトルの絵本。アレを思い出してさ
ジーク:へぇ・・・
エル:ねぇ、それってどういうお話?
ニーナ:えぇっとねぇ・・・
ニーナ:むかしむかし、雲よりも高い空の上に、星たちが住む王国がありました。星たちは地上に暮らす人たちの願いを叶えるのがお仕事だったので、毎日忙しく働いていました。
ある日、星の国に新しい王子様が生まれました。王子様はフライトと名付けられました。星の国の王様はフライトにこう言いました。
王様:フライト、お前はこの国の王子だ。大きくなったら、お前の立派な王様になるのだぞ
フライト:僕が王様になったら、どんなことをするの?
王様:人々の願いを叶えるのだ。みんなと一緒にな
フライト:願い?
女王:人はこうなりたいっていつも思っているの。それを私たちがお手伝いするのよ
フライト:ヒトは何処に住んでいるの?
王様:私たちの国の、うんと下さ
フライト:僕もその人に会ってみたいなぁ
女王:もう少し大きくなったら、ね
ニーナ:フライトは喜びました。ヒトがどんな生き物なのか、どんなところに住んでいるのか、わくわくしていたからです。フライトは家来に言いました。
フライト:ねぇ、僕をヒトが住んでいるところへ連れていって
ニーナ:家来はこう言いました
家来:王子様、下の世界は危ないところですよ。怪我をされたは大変
ニーナ:フライトは断られてしまいました。王子様には、まだ地上に降りることも、願いを叶える力もありません
フライト:ヒトが住むところはどんなところなんだろう?
ニーナ:フライトはすっかり興味を持ってしまいました。フライトはやがて大きくなり、願いを叶えるお手伝いが出来るようになりました
王様:フライト、お手伝いで疲れたろう。少し休んでおいで
フライト:はーい
ニーナ:フライトは星の海を泳ぐのが大好きです。今日も星の海な中を泳いでいました。しかし、その時。
(風の音)
ニーナ:強い風が吹きました。風はフライトの身体をさらってしまいます。
フライト:うわあぁぁ!
ニーナ:なんということでしょう。フライトは地上へ落っこちてしまいました。
エル:それで、その王子様はどうなちゃったの?
ジーク:なんか・・・いろいろと大変なんだな・・・
ニーナ:待って、まだ続きがあるから
ニーナ:一方、地上では1人の少年と1人の少女がおりました。少年の名前をヨハン、少女の名前をアンネといいました。
ヨハン:ねぇ、木の根元に何か落ちているよ
アンネ:本当ね。一体何かしら?
ニーナ:2人が見つけたのは、フライトでした
ヨハン:こんばんは。君はお星様?
フライト:そうだよ、星の国からやってきたんだ
アンネ:星の国?
フライト:うん、空の上のうんと高いところにあるんだ。でも・・・
ヨハン:でも?
フライト:僕は落っこちてしまったんだ。だから、星の国まで帰れる力がまだないんだよ
アンネ:困ったわ。どうすれば星空へ帰れるのかしら?
ヨハン:うーん・・・お祈りすればいいのかな?フライトが星の国へ帰れますようにって
フライト:・・・あ
アンネ:どうしたの?
フライト:なんだか力がわいてきたよ!
アンネ:そうなの!よかったわ。私もお祈りする
ニーナ:2人は星空にお祈りしました。どうか、フライトを星の国へ帰してあげてください、と。すると、どうでしょう。フライトの身体は二人の頭よりも高く浮き上がったのです
フライト:ありがとう。2人の願いのおかげで、帰れそうだよ
ヨハン:ねぇ、また、こっちに来てくれるかい?
フライト:うん、お礼に2人の願いも叶えてあげるね。約束だよ
アンネ:フライト、私たち、もう友達だよね?
フライト:もちろん、2人は僕の友達さ。ありがとう!
ニーナ:そして、フライトは無事に星の国に帰ることが出来ました。星の国では王様たちが待っていました
家来:王様、フライト王子が戻られました
ニーナ:フライトは王様にこれまでに起こったことを話しました。そして、フライトはやがて王様になり、人々の願いを叶える心優しい星になりました。・・・終わり
エル:へぇ・・・そんなお話なんだ
ニーナ:うん
ジーク:すー・・・すー・・・(寝息)
エル:あ、ジークってば寝ちゃってる
ニーナ:風邪引かないうちに帰っちゃおう
エル:ジーク!ほら、起きて!
ジーク:・・・んー・・・?(寝言に近い声で)
ニーナ:散歩は終わり。帰るよ
ジーク:うー・・・分かったよ・・・
ニーナ:あ
エル:どうしたの?
ニーナ:ううん、なんでもない
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