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スマホごときに…⁉︎

友だちの写真を撮っていたら、突然スマホがうんともすんとも言わなくなった。
画面には、今撮ったばかりの友だちの笑顔が張りついたまま。
困った時の再起動、とばかりに電源を押す、押す、押す…
あれ?
電源が、切れない。
何か刺激を与えてみよう、と充電ケーブルに繋げてみる。
状況は変わらない。
貼りついたままの友だちの顔の奥で、スマホは時々ブルブルと震える。
メール?電話?何か着信しているようだ。

こんなことってあるのだろうか?
少し放置しておけば戻るかな?

そもそも私は、自分がそれほどスマホに依存しているとは思っていなかった。こんなことになって初めて、いかにスマホのある生活に慣れ親しんでいたかに気づく。

ああ…もっと大事にしていればよかった!
昨日落としたせいかな?雑に扱っていたからかな?
頭の中、ぐるぐるぐるぐる…

ショップに駆け込んだが、ショップの店員さんも「こんなのは初めて」だという。
困ったなぁ…
結局、充電が切れるのを待って、再起動できるかどうか確認する他ないとのこと。
そして、機種変更すれば、データを引き継げるかもしれないとの言葉に一縷の望みをかけてみた。

連絡先は引き継げた。とりあえずよかった!
問題は、LINE。
LINEなしでは、私はものすごく孤独な人になってしまう気がして、恐ろしくなった。

今時は、携帯番号を聞かなくてもLINE交換さえすればすぐに繋がれる。その代わり、今回のようなアクシデントがあると、LINEが復活しない限り永遠にサヨウナラ…となってしまうこともないとは言えない。
なんだか大海原に独り取り残されたような、不安と絶望に包まれていく…いや、決して大袈裟ではない。

ところが、思ったよりもすんなりと、LINEのアカウントは新しい機種へ引き継がれた。拍子抜けするほどあっさりと。

ただ、バックアップができなくて、トーク履歴は消えてしまった。それは残念だし、悔やまれるのであるが、とにかくLINEが消えずに戻ってくれたことが、ただただありがたかった。

それにしても、こんな小さな機械の中に、人生の決して小さくはない部分が収まっている…と考えると不思議であり、不気味なものだ。

件の旧スマホは、充電が切れてから再起動すると、ショップの人が言った通りに蘇った。
壁紙のように貼りついていた友だちの写真は、アルバムに収まっていた。
そして、まるで何事もなかったようにメールを受信し、目覚ましのアラームを鳴らす。

私は2台のスマホを見比べながら、この騒動はなんだったのだろう?と、首を傾げるばかりだ。

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