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世界一になった話①

時は2018年6月10日。第31回カロム日本選手権大会。
平成最後の大会となりました。

この前年までの最高記録はダブルスがベスト8、シングルスが4位。
他は日本カロム協会定例トーナメントで中3の時に1回優勝したぐらいで、人からはカロムの名門と呼ばれるような家系にいながら特に目立った結果は出していませんでした。なんなら自分自身ずっとそんなに真剣にはやってなかった。
ただ、前年にダブルスでベスト8(自己最高記録更新)、シングルスベスト8というそれまでの中ではいい方の成績を残せてからこの日までの1年間は変にモチベーションが上がっていたのか、なんかほぼ毎日父と対戦してました。
音楽活動を休止してただの暇なフリーターになったからやることがカロムぐらいしかなかった説も若干あるか。
この年のダブルスはその父と組みました。
(父が前年もその前も別でダブルス4強入りを果たしていたので強制指名です🤔)

開会式

例年通り、暇だったので来賓を撮影して遊んでました。
決勝トーナメント表や上位常連のゼッケン番号をチェックして、予選を何位で通過してどの山に入れば3連覇中の絶対王者と決勝まで当たらないなぁと思ったり、それ以前に今年も最初のほうで負けるやろうなぁと思ったり。

予選リーグ

激戦区。親戚の親子ペア、優勝経験者のいるペア、東京多摩勢のペアが集結してました。
初戦がその中の、優勝経験者のいるペアとの対戦。試合の中で優勝経験者の相方のショットの甘さを察し、勝ちに持って行きました。
そこからの流れで勝利を重ねるも、途中で父が決まった時のカッコよさを優先したショットに失敗し逆転負け、次の親戚ペアにも敗北し2連敗。
その後は再度勝利するも、予選敗退の危機がある状態で迎えた予選最終試合。相手は前述の多摩勢、しかもお見事なことにここまで全勝。
ここまで全勝という事実を知らなかったから自然に戦えたのか最終戦にして黒星を1つ与えるも、得失点によっては敗退も有り得る状況でした。
幸い同リーグ内に同星のペアはおらず、予選リーグ3位通過。なんとか敗退は免れました。

決勝トーナメント1回戦、2回戦

1回戦。相手の1人は前年のシングルス決勝トーナメントで当たり、その時は自分が勝利してました。しかし心はギリギリの予選結果を引きずったまま。なんとなく試合中ずっと押されていたような気分で戦ってました。
結局時間切れとなり、最後が父のターン。奇しくも簡単な位置のパックのみを片付ければ残りパックの数の差で勝てる局面となったため初戦はなんとか突破。
2回戦。序中終盤敗勢のまま、残酷にも制限時間の終わりがやってきました。その瞬間の得点差により辛くも勝利となりましたが、これが時間無制限ならここで敗退だったとしてもおかしくありません。
そして崩壊寸前の精神を抱えたまま準々決勝へ。

準々決勝

相手は3連覇中のチャンピオン。
予選を3位で通過したからここで当たったけど(1位か2位で通過していたら反対の山でした)、最初の方で負けずにひとまずここまではこれました。
反対の山の準々決勝では同じ予選リーグを1位・2位で通過した多摩勢と親戚が再戦してました。
例年通りならここで終わる流れやなと思いつつ、我々も相手に比べれば努力・才能共に圧倒的な大差とは言えど弱いなりにこの1年珍しくも研究に研究を重ねてきた身です。まあ一応ここまでの全てをぶつけてみようという気持ちでした。

後攻で挑む緊張の一戦は感覚的に僅差で劣勢と思わしき盤面が続いて終盤に入り、父がセンターのパックを失敗。力が足りず、ポケットの直前でストップ。おい‼️‼️‼️‼️
まあそれが入ったとて次が難しいシーンではあったけども。しかし後にこのパックが奇跡を起こすこととなる。
そのまま相手のターン。残っている簡単なパックを入れ、相方側のやや難解なパックを入れて前述のパックを自分のエリア内に入れられたらほぼほぼ完敗。ただ実際はやや難解なパックが入らずに自分に出番が回ってきました。
自エリア内左側に青色が1つ。右側には絶対に勝たせてやらないとでも言っているかのようにポケット側から見て並ぶ赤色とジャック。そしてさっき父が入れ損なって自エリア右側の線上でかろうじて引っかかっている青色。
こんな状態で回ってきても感はあったけど、ここから勝てる方法がないか考えるだけ考えてみてたらカロムの神が舞い降りてきました。

"前のターンにポケット直前で止まったパックを入れながらジャックを自エリアから出し、そのジャックを次の相手エリアへ入れる"

ありがとう神。そう思いながらその手を実行しました。緊張感に支配された大事な試合の中でその手が浮かんだだけでも奇跡ではあったけど、それを超える奇跡が起こる。
ジャックが左側の青を入れるのにちょうどいい位置まで出てきました。
おかげで盤上の全ての入れるべき玉が入る状態になり、全部入れて勝利。

マジか。
多分あの場にいた全員が予想していなかったほうの結果に……ww
とりあえずここまではあんまり足引っ張らなくて済んだとか、練習も含めて人生で初めてあの組み合わせに勝ったとか、前人未到の4連覇止めたとか、こうなったら優勝しないといけないなとか、みんな4連覇が見たかったかもしれんのに自分みたいなもんが止めてしまって申し訳ないとか、色んな感情が交錯してしばらく頭がぽかーんとしてました。

伯母「うちの子らに勝ったん?これ!w」

そんな状態のまま臨んだシングルスは決勝トーナメントで初戦敗退しました。
続く。

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