メタバースに未来はない。その本質的な理由。

メタバースは低迷し、すでに世間ではオワコンとの声も聞こえてくる。
しかし、未だにメタバースの可能性を語る人をちらほらみかける。

だが、はっきりいって、メタバースに将来はない。

なぜなら、メタバースには、そのサービスにおいて、根本的に、根源的に、本質的に、普及する要素がないからだ。

まず、メタバースの先を行っていた、セカンドライフについて考えよう。
メタバースを語る時、何かと比較される先行者であり、そして失敗した(運営は失敗とは認めようとはしないが)仮想空間サービスである。

ここではっきり言っておきたいのは、セカンドライフは別に何か新しいこと、革新的なことに挑戦し、そして失敗したのではない、ということだ。「今さら」なことをやって、そして、予定通り失敗したにすぎない。

そもそも、仮想空間に入ってアバターで行動する、なんてものはセカンドライ以前に大昔からある、既存のサービス、技術である。
自分が把握してるものだけでも、20年以上前にプレイしたウルティマオンラインがある。
もちろん、グラフィックも今と比べれば激ショボだ。また、セカンドライフとちがって描かれる世界は2Dだ。しかし、セカンドライフの根幹である、仮想空間、多人数参加、アバター、他人とのコミュニケーション、といった要素はすべて揃っている。更に言うなら、ゲーム内でのビジネスも可能だった。
そして描写が3Dになった仮想空間ゲームも、すでに大量に出ている。私も20年ほど前にプレイしたマビノギだのMOEだの、大量のMMORPGがそれだ。最近ならFFやドラクエなどもこれだ。

メタバースは、セカンドライフの二番煎じだ、いやそうじゃない、なんて議論している人がいるが、根本部分である「仮想空間にアバター」という基本システム自体は大昔からある、手垢の付きまくったものなのだ。

さて、そういった既存の仮想空間ゲームは大なり小なり、それなりに成功した。
だが、それらはあくまでゲーム(多くは、モンスターと戦い自キャラを育成する)部分が主体であり、仮想空間で生活し、コミュニケーションすることをメインにはしていない。
ここで、思い出されるのが2006年に鳴り物入りで登場した、ときメモオンラインである。
これは、ゲーム部分はかなり削ぎ落とし、学園での生活やコミュニケーションをメインにすえたものだった。しかし、このゲームは見事に失敗した。
接続人数は減り続け、ユーザーの評判も悪く、1年と少しであっという間にサービス終了となった。
ときメモが失敗した理由は色々あるのだが、やはり、最大の原因は「ただ、生活するだけではつまらない」にあったと思う。学園内を自由に動き回れるが、別にすることはなく、ほとんどの人はただ知り合いとチャットをしていたように思う。

その後も仮想空間のゲームは続々とでてきたが、全てまずはゲーム部分ありきで、仮想空間で生活やコミュニケーションだけをしてろというものは、私の把握してる限り出てきていない。

そう、結局、仮想空間でアバターを出して、生活するというのは一見すごく面白そうに見えて、実はさほど「面白くない」のだ。

これは、仮想空間ものが始まって数十年が経過して、世間が出した結論だと私は思っている。

ところが、この、「仮想空間生活は面白くない」という本質を理解しないまま、メタバースは突っ走ってしまった。
セカンドライフも同じ理由で失敗したのだが、結局メタ社はこの失敗の本質的理由を理解していないのだ。そうであるのに、メタバースはセカンドライフとは違って、これがある、あれもある、絵もきれいになった、と些末な違いを列挙してドヤっている
哀れである。彼らの主張するセカンドライフとの違いなど、理解する気も起きないほど鼻くそレベルのどうでもいい内容ばかりだ。メタにはビジネスチャンスが転がっているというが、そこでどんなビジネスをしようが、根本的にその空間に行く気になれない(行くような楽しさがない)ところには、そもそも人が集まらず、ビジネスは成立し得ない。
そう、「根本」が駄目なのだから、そこに何を上乗せてして行っても、成立しないのだ。
根本が駄目なまま、メタバースが今後どれだけ金を投入しようが、もはやこの先逆転の目はない。

最後にメタバース復活の最大の可能性を書いておく。
それは、要は根本部分を面白くすればいいということだ。ここまで書いたとおりのことなのだが、開き直って、ゲームにすればいいということだ。
メタバースにはすでにそういう要素はある程度入ってるのかもしれないが、もう最初からゲーム部分がメイン、生活やコミュニケーションは二の次くらいにしないと、どうにもならないだろう。
名前もメタバースなんかやめて、メタゲームにでもするといいんじゃない?
まあ、私は遊ばないけどね(笑)

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