「キャスティング」

WEDNESDAY PRESS 061

12月4・5日と2夜連続スペッシャル(テレビ朝日系)で放映された山崎豊子原作「女系家族」を観た。女系が続く老舗問屋の養子婿が死んだことで起こる娘たちの遺産相続をめぐる物語。それは3人の娘と叔母や大番頭、そして身重の愛人などが繰り広げる壮絶な闘いを描く。
3人の娘役には長女から寺島しのぶ、水川あさみ、山本美月、叔母は渡辺えり、大番頭は奥田瑛二、愛人は宮沢りえというキャスティング。寺島しのぶ、渡辺えり、奥田瑛二、宮沢りえたちの演技のうまさ。まさにキャスティングの妙を感じていた。
2005年にTBS系で放送された時は長女から高島礼子、瀬戸朝香、香椎由宇、浅田美代子、橋爪功、米倉涼子となっていた。
長女は出戻りで、気位は高く、遺産相続では不利な立場でありながら存在感を示す。次女は婿養子が常務という立場である。三女は自由気儘に育ったが味方の叔母のペースにはまり次第に戦いに参入する。大番頭は専務であり、表向きは実直な姿を通すが、裏では売り上げのピンハネなどを企む人物。愛人は芯はしっかりもの、だがひたむきな様子が見える。

どちらも観たのだが、キャスティングのうまさを感じた。
長女は寺島しのぶの凄み、三女は香椎由宇の自由奔放さ、大番頭は橋爪功の情けなさ、愛人は宮沢りえの凛とした表情に惹かれた。
つくづくキャスティングという仕事の難しさ、そして重要性を強く感じる作品であった。人気のある原作は、何度も映像化されるので、なおさらという印象を持った。同じ山崎豊子原作の「白い巨塔」では主役の財前五郎役は歴代、田宮二郎、唐沢寿明、岡田准一となる。思い出しても、そのことがわかる。

そんなことを考えると編集者は、まさにキャスティングのプロフェッショナルではないといい仕事ができないと感じている。

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