「鰻」

WEDNESDAY PRESS 032

鰻といえば、関東風か関西風という議論になる。
関東風は背開きで蒸しをかける。
関西風は腹開きでさいたまま焼く。
どちらがいいかは好みの問題。
焼きたての関西焼は、皮目がパリッと香ばしく、身がふんわりして筆舌に尽くしがたい味わいだと思っている。

日本料理で天ぷら、そば、鰻はなかなか変化に乏しいジャンルであった。
あまりにも型が決まりすぎていて、そこから新たな世界を構築するのが困難という感じがした。
しかし、数年前から天ぷらの世界は概念を変える料理人が登場した。
その一人が静岡の「成生」の志村剛生さんである。
揚げる、蒸す、焼くという行為を考え、そこに余熱の火入れを加えた。
衝撃であり、今や予約の取れない一軒となった。

次は鰻である。
これも革命児が現れた。
なんと静岡の「瞬」の岡田健一さん。
無論、白焼き、蒲焼きという料理は登場する。
だが、そこへ向かう道筋がすごい。
尾びれの揚げ焼き
えり焼
こ鰻を使ったうざくなどなど
これまで出会ったことがない部位や料理
驚きだけでなく、しっかりその部位を使う意味合いも含めて着地が鋭いのである。料理をするということは、考えることだと感じる。
炭の扱い、つまり火入れの技術も卓越したものがある。
牛肉を焼いたりするのだが、その凄み。
まだまだ引き出しは多そうだ。
また「瞬」に向かう楽しみが増えた。

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