【マニュアルフォーカスのススメ】 Voigtländer標準レンズレビュー
今回は、指先でピントを合わせるマニュアルフォーカス(MF)レンズがテーマ。一眼レフやミラーレス用のレンズはオートフォーカスが主流ですが、マニュアルフォーカスレンズを使うと、一味も二味も違う写真体験を楽しめます。
そこで、マニュアルフォーカスレンズの開発・生産で世界的に知られる長野県のコシナ(Cosina)のフォクトレンダー(Voigtländer)レンズを取り上げます。と言っても、コシナやフォクトレンダーって聞いたことありますでしょうか?
カメラを始めた人に知ってほしい! Voigtländer(フォクトレンダー)
まずはじめに、フォクトレンダーというブラントとフォクトレンダーレンズを現在開発販売しているコシナについて少々説明させてください。 長野県中野市にコシナ(Cosina)という総合光学機器メーカーがあります。このコシナが持つレンズブランドのひとつがフォクトレンダー(Voigtländer)です。
カメラに関わるメーカーとしてみると、コシナの知名度は低いかもしれません。しかし、カメラ用レンズ以外にも工業用の光学レンズを製造し、その高い技術力で世界に名を轟かせるメーカーでもありますし、写真にドップリとハマっている人の間では高い光学性能を誇るレンズメーカーとして認知されています。
一方、フォクトレンダーは1756年にオーストリアで創業した歴史のある光学機器メーカー(この頃カメラは発明されていませんでした)で、1800年代後半にオペラグラスを開発したことは光学ファンの間ではよく知られています。
ちなみに、当時はオペラグラスの事をフォクトレンダーと呼んでいたようです。今で言えば、ホチキスやタッパーウェアのように、社名が特定の製品の名称であるかのように感じられるイメージですね。
時は流れて1999年、コシナがフォクトレンダーブランドの意思を引き継ぎます。コシナは撮影における利便性や効率性だけでなく、操作の心地良さと高品位な画質を追求するブランドとしてフォクトレンダー製品の開発・販売をはじめました。
筆者の記憶では、M型ライカがフルサイズセンサーを搭載することとなった2009年頃から徐々に写真やカメラ愛好家の間でフォクトレンダーの名前が浸透し始めます。というのも、コシナはこの頃までにライカMマウントの互換となるVM(Voigtlander・Mの略)マウントレンズを多数リリースしていました。VMレンズにはライカレンズ1本の予算で複数本を買えるメリットがあるうえ、ビルドクオリティはもちろん光学性能でも本家ライカと優劣を付けることができない仕上がりだったのです。
さらに、コシナの評価が高まるきっかけとなったのが、2014年に登場したカールツアイス(Carl Zeiss )のオータス(Otus) 1.4/55でしょう。
登場からしばらくの間はこのレンズが高性能レンズのベンチマークとして君臨しており「オータスと同等」などという評価基準があったほど。それほどのレンズを量産できるコシナの技術力もまた評価が高まったのです。
前置きが長くなりましたが、コシナとフォクトレンダーの歴史を簡単に紹介すると、こんな感じになります。
今回は「撮影における利便や効率だけでなく、操作する心地良さと高品位な画質を追求する製品」という部分に注目して、コシナのVoigtländerレンズによって写真の楽しさがどう変化するのか?を紹介します
AFレンズでは、レンズ側にAF用のモーターやそれらを制御するための電子部品、自動絞り用のユニットなどが必要となりますが、MFレンズではそれらの必要はありません。また、自動化のために必要なパーツ同士のクリアランス(いわゆる“遊び”)を少なく設計できます。そのため、MFレンズには少々乱暴な言えば、同じ価格であればより高品位なものを作れるというメリットがあるんです。
実際にVoigtländerをはじめとするコシナレンズは非常に高いビルドクオリティで出来ており、所有する喜びにあふれています。
今回紹介するのはいずれもフルサイズミラーレス用の
Voigtländer NOKTON 50mm F1.2 Aspherical(Eマウント)
Voigtländer NOKTON50mm F1 Aspherical(Zマウント)
Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical(Zマウント)
です。いずれも焦点距離50mmの標準レンズですが、描写の性格がそれぞれ異なるためチョイスしました。
なお、カメラボディはソニーα7 Ⅳとニコン Z6 Ⅱを使用しています。
Voigtländer NOKTON 50mm F1.2 Aspherical(Eマウント)
2019年4月に発売されたソニーEマウント用の大口径マニュアルフォーカスレンズ。ムービーとの親和性を高める為に絞りリングのクリック感を選択できる絞りクリック切替え機構を備えています。
同じ光学設計を採用しつつもデクリック機能を非搭載とし、コンパクトかつ少しお手頃なSE(Still Edition/スチルを重視したタイプ)シリーズもありましたが、そちらは残念ながら2023年1月に製造終了となっていました(まだ市場在庫はあります)。
ちなみに、レンズ名称のNOKTON(ノクトン)とは、大きなボケ味が楽しめる明るい大口径レンズ(F1.5よりも明るいレンズ)に冠されるものとなります。
NOKTONシリーズは、このクラスの明るさを持つレンズとしては、コンパクトに仕上がっていることも魅力です。
電子接点を搭載していますので、撮影情報のEXIF記録に対応していたり、ボディ内の5軸手ブレ補正対応、フォーカスリング操作による拡大表示などに対応していますし、ボディの処理によるレンズ光学補正を適用するか選択も可能です。
10万円を超えるレンズですので、一般的には高価ですが、触れてみればその理由が分かる非常に高い品質です。レンズガラスを眺めたり、ピントリングや絞りリングに触れているだけで気分が高揚します。またF1.2という開放口径が持つボケ味に注目してしまいがちですが、仮に忙しくて外出する暇が無い、という時であっても、F1.2の大口径ですのでお部屋の中で家具や生花にピントを合わせているだけでも楽しさを味わえます。こうした“道具としての存在感”もコシナレンズの魅力のひとつです。
インプレッション
他2本のフォクトレンダーレンズと同様に、操作感は非常に良好。ピントリングなどが大変滑らかで心地良く、いつまでも触っていたくなります。
描写の特性は、絞りと撮影距離によって写りが変化します。ザックリと説明すると、絞りを開けると柔らかく、絞り込めばシャープに写りますし、撮影距離が近くなれば柔らかくなります。
「柔らかい」という表現ですが、具体的には滲みが生じます。こうした滲みは悪者のように思われてしまいますが、実は美しいボケ味を表現するには必須ですし、黒白表現では得も言われぬツヤ感を表現してくれたりもします。
最新レンズではどんなシーンでも安定して高画質に描写してくれ、みたままが写る一方で、写真ならではの表現であったり撮影者の工夫によって描写をコントロールする余地が少ないのも事実です。NOKTON50mmF1.2のようなレンズは、絞りと撮影距離の組み合わせや光線状態の工夫によって描写をコントロールできますので、使いこなす楽しみやイメージ通りの描写を得られた時に大きな達成感を味わえます。
なお、α7シリーズなどのソニー機ではMF時に自動で拡大表示となりますので、高い精度でピント合わせができることもポイントです。
Voigtländer NOKTON50mm F1 Aspherical(Zマウント)
ニコンZマウント用の「NOKTON 50mm F1 Aspherical」です。こちらは2023年2月23日に発売の新製品。
写真愛好家の間では、フルサイズのイメージサークルをカバーする開放F1.0という超大口径でありながら、比較的お手頃で、かつコンパクトに纏められているということで注目を集めた1本です。
本レンズのサイズ感については、かなりの写真愛好家でもない限りはピンと来ないかも知れません。キヤノン EOS RFマウントにもこのレンズが参入予定ですので、ニコンとキヤノンの似たようなスペックのAFレンズと比べてみましょう。
コシナ Voigtländer NOKTON50mm F1 Aspherical(598g・全長67mm・21万円前後)
ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.2 S(1090g・全長150mm・28万円前後)
キヤノン RF50mm F1.2 L USM(950g・全長108mm・35万円前後)
こうしてみると、かなりコンパクトに仕上がっていますよね。本レンズはニコンとのライセンス契約の下で開発・製造され、電子接点も搭載しているため、フォーカスエイドやExif情報、ボディ内手ブレ補正などに対応しています。マニュアルフォーカスであることや、実絞りによる絞り優先オートお呼びMモードでの撮影となること以外は純正レンズのように扱えます。ライセンス契約がなされているということは、ニコン側もちゃんと動作をチェックしているよ、ということでもあるので安心ですね。
実は、本レンズには同じレンズ構成図を持つ、ライカM互換となるVMレンズが、発売済みです。
さらに、キヤノンRFマウント版も今後発売される予定。
コシナのコダワリのスゴイところは、レンズ構成が同じに見えても実際にはマウント毎に設計を最適化させているところです。
マウントシステムに光学設計を最適化させるというのはどういうことでしょうか。少々マニアックな話になりますが、カメラのセンサーやエンジンの性能が向上した現代ではレンズ構成図では表現できない非常に僅かなチューニングの差であっても写真に結果として表れるようになっています。裏を返せば最新のカメラはレンズ性能を余すところなく表現できるということ。そのため、レンズ側でも設計思想の理想形を追求した、ということになります。
本レンズもニコンZマウントシステムが持つ光学的な特性に最適化されていますので、例えばVMマウント版とは全体的な性格の印象は似ていても、細部の表現や印象が異なる場合があります。そのため、いわゆる“レンズ沼”にコシナでハマってしまった場合、同じ焦点距離のレンズを何本も買い揃えるという、およそ一般人には理解できない行動に及ぶ危険性(?)すらあります。それはそれでカメラ趣味として楽しそうですが。
さらに、絞りリングとフォーカスリングの回転方向を純正レンズと同一にする、RFマウント版ではキヤノンのボディとの組み合わせを意識して外装デザインに手を入れるなどのこだわりようです。こうしたこだわりは当然高コストに結びつくため妥協するレンズメーカーもありますが、コシナにはユーザーファーストの精神が息づいていると言えるでしょう。
本レンズは開放絞りでも十分な光学性能を得るため、非球面レンズの中でも特別な研削非球面レンズを使用しています。この研削非球面レンズをコシナではGA(Ground Asphericalの略)レンズと呼んでいます。
ここで、ちょっとレンズ形状の説明をさせてください。非球面(Aspherical)レンズはキットレンズなどにも採用されるほど普及しています。かつて非球面レンズは高価な高級ばものでした。しかし、昨今ではモールド成形という、変形可能な温度まで加熱したプラスチックやガラスなどの光学材を金型によって圧力を加えて高い精度の非球面形状を作り上げる製造方法をはじめ、精度を保ちつつより少ない時間で量産化する技術が確立されています。こうして、非球面レンズは普及価格帯のレンズにも多く採用されるようになりました。そうしたメリットの一方で、モールド成形では、対応する光学素材がある程度限定される、というデメリットもあります。
ところが、NOKTON50mm F1 Asphericalにはガラスを1枚1枚精密に研削・研磨して製造する研削非球面レンズが採用されています。当然コストは掛かりますが、高屈折ガラスなどの最適な特性を持ったガラスを選択できるメリットがあり、コシナ以外でも特別なレンズに研削非球面レンズを採用する事例が増えて今ます。
非球面レンズにはついてはキヤノンの解説がわかりやすいので、興味のある読者は目を通してみることをお勧めします。
フルサイズのイメージサークルに対応する開放F1.0のレンズとしては、かなりコンパクトなサイズを実現できた理由が、高精度な研削非球面レンズの採用にあるのです。またスペックや内容に対して比較的安価に仕上がっており、高い描写性能を実現しているというアピールにも興味をそそられます。
インプレッション
触れてみて、まず感じられることが質感の高さです。スムースかつ精緻な操作感に高い工作精度であることが肌で感じられ、フードの装着感ひとつとってみても大変に素晴らしく、バヨネットでありながら正に「カチリ」と遊びを感じさせない精度ではまります。こうした機械としての精度の高さが、操作時の官能的な心地良さに繋がっているのだと、体験として学べるレンズです。
特にピントリングの操作感が素晴らしく、指先の微妙な力加減で繊細にコントロールできます。上述のNOKTON 50mm F1.2 Asphericalも素晴らしいビルドクオリティでしたが、本レンズはさらに上の印象です。
またニコンZシリーズはEVF光学系のつくりが良く、ピントの見え具合も申し分ありません。ピントをあわせるという行為の心地良さは、ソニー α7 Ⅳ(イメージセンサー3300万画素・33万円前後)より、ニコン Z6 Ⅱ(2400万画素・27万円前後)のほうが明らかにワンランク上質でした。
さて、Z6 Ⅱで撮影したNOKTON50mm F1 Asphericalの写りは開放F1.0のレンズと思えないほどシャープな解像感で、球面収差や色収差などをそれほど感じさせません。
実は、撮影前にはこれまでの経験からNOKTON 50mm F1.2 Aspherical(Eマウント)のように「開放絞りでは少し柔らかいのだろう」と予想していました。
読者の皆様の中には、大口径レンズと言えば高性能な印象があるかも知れませんが、大口径と高い結像性能を両立するのは本来大変難しいものなのです。実際にZ NIKKOR 50mm f/1.2 S(全長150mm)やNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct(全長153mm)などはこの難しい問題に対処するために、標準レンズとは思えないほど巨大な体躯となっていることからも、察せられるでしょう。
ピント面以外を溶かすようなのに、ピント面は十分高いシャープネスがある描写は少し独特です。望遠レンズのように被写体だけが浮き上がるようでありながら、50mmなので周囲を適度に写り込ませられることに、魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、良いことばかりではありません。ピントは非常に薄いので、ピーキングなどのカメラ側のMF補助機能はあまり役に立ちません。特にニコンZではデフォルトの拡大ボタンの位置が悪く扱い難いので、ファンクションボタンに機能の割当をカスタマイズしたいところですが、AFレンズ使用時には別の機能を割り当てて置きたいので、その采配には難しさがあります。
注意点は、日中の晴天下など光量の潤沢なシーンでZ6 IIとの組み合わせると、高速側のシャッター速度の上限が1/8000秒に止まるため開放絞りで遊べる場面が限定的であることと、ハイライト側が滲んでしまう場合があることです。照度が落ち着いている室内や日陰、夕方シーンなどではキリリとしたピント面を楽しむことができますます。大口径レンズを楽しみ尽くすなら1/32000秒などの高速電子シャッターが切れるZ9かZ8といったハイエンドモデル、もしくは今後の新型機が1/8000秒よりも高速なシャッター速度に対応していることを期待するしかない、というのが残念です。なお、これはEマウント機でも同様です。画質に少し妥協してNDフィルターを装着する手もありますが……。
なお、シャッター方式によって写真の明るさにムラがでることも……。下の動画はEマウントのNOKTON 50mm F1.2で露出を固定し、シャッター方式だけ変えてみたものです。純正レンズの場合は自動で補正される場合もありますが、筆者の経験では大口径レンズを用いてF2.0よりも絞りを開けて撮影する場合に、こうしたことが生じます。
Voigtländer APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical(Zマウント)
本レンズは2019年末に発売されたソニーEマウント用の同レンズをベースに、ニコンZシステムに最適化したレンズとなっています。具体的には撮像センサーの前面に配置されているカバーガラスやセンサーの特性に合わせて再設計し、ニコンとのライセンス契約の下で、開発・製造されています。
ちなみに、Eマウント版はこちらです。
NOKTON 50mm F1.0と重複になりますので詳しい説明は省きますが、純正レンズと同じ操作方向であることと、電気通信対応というのはとても安心感があります。
コシナレンズでは本レンズのようにピントリングと絞りリングの回転方向が純正レンズと同じに揃えられていますので、ユーザーとしては嬉しい一方で、開発・製造側からするとそれだけコストが掛かるということでもあり、ユーザーファーストの姿勢が貫かれていることに感銘を受けます。また、マウントシステム毎に光学設計も最適化し理想を追求するというコダワリは正に狂気的です。
レンズ名称の「APO-LANTHAR」銘は、コシナが設ける厳格な基準をクリアした特別なレンズにのみ、これを冠することが許されています。その前半部分のAPOというのはアポクロマート設計を意味しており、光の三原色である赤・緑・青(R・G・B)についての軸上色収差を徹底的に補正していることを表しています。また本レンズの場合はさらに、解像性能とコントラスト再現性についても究極の性能を追求したものになります。
少し難しい内容ですので、「凄い性能を持ったレンズなんだ」という認識でOKではありますが、撮影に少々難しさがある一面もあります。これについては後述します。
インプレッション
他のコシナレンズと同様に非常に上質な質感を持っています特にピントリングの操作感が素晴らしく、大変に滑らかな動作で、もはや官能的ですらあります。
組み合わせたカメラはZ6 II。EVFを覗いた瞬間から「これは!!」という驚きがあります。NOKTON50mm F1も高性能でしたが、精細感で言えば本レンズの方が明らかに勝っています。
撮影し終えると、EVF表示から感じた期待をさらに超えてきます。開放絞りから素晴らしくシャープでキレが良く、とても立体的。言葉にするとこれほど陳腐になってしまうレンズも珍しいですが、筆者の語彙力ではこれが限界です。
NOKTONがボケ量と豊かなトーンで立体的な描写を表現していたとすれば、こちらはトコトンまで繊細かつ正確に光を結んで表現するという結像性能で立体感を正確に描写しています。それでいてボケ味も柔らかくとても美しい表現が出来るので、気がつけば影や窓の反射などの、そこに在りながらも触れられる実態としては存在しないものばかりに撮影していました。肉眼よりも美しくその存在を捉えることができるからです。これは高い結像精度が関係しているように思いました。
高い結像精度があることは、扱いやすさという観点ではネガティブな面もあります。簡単に言えばピント面が非常に薄く、僅かなピント誤差がボケとして見えてしまうという難しさがあります。
ピントの山がカミソリのように尖っている、と言えばイメージしやすいでしょうか?通常のレンズは山が丸まっておりピントが合って見えるゾーン(エリア)がありますが、本レンズは点(面)であり、ピントが合って見える範囲は限られています。また絞り込んでもこのカミソリの鋭利さは変わりませんので、背景のボケ量は小さく見えますがピンボケはピンボケとして正しく描写され、ガックリ……と苦笑するほどシビアなピント精度が要求されます。上述している難しさとはコレになります。一般的な開放F2のレンズとして扱ってはいけません。
その一方で、ちゃんと狙い通りにMFできた場合には圧倒的な写りで応えてくれます。自身の撮影技術を試されるようなレンズですので、扱いは難しいですが、撮影時の工夫や技術の向上によって乗り越えたその先には大きな喜びのあるレンズです。
まとめ:とにかく実際に体感してみてほしい
カメラの自動化・高性能化によって誰でもカンタンキレイにハイレベルな写真が撮れるようになりました。特に、最近のカメラは機械学習による被写体認識が普及しつつあり、ピントを合わせという工程はどんどん簡単化・自動化されています。
これはとても喜ばしいことですが、趣味目線で言えば駆け足で通り抜けることが必ずしも面白いわけではありません。昨今の自動化された写真撮影の対極と言えるのがマニュアルフォーカスレンズです。
これは実際に体験してみないと分からないことになりますので、担当する編集氏にレンズと特性を解説しながらお散歩撮影に出かけてみました。
絞りと撮影距離の関係や光の向きによってどの様に写りが変わるのか、そういったことの違いを掴むと編集氏の歩みはドンドン遅くなり、5分程度で歩き抜けられる小道を30分以上掛けてもなお撮影し足りないくらいに熱中し、撮影を通して発見を重ねていく様子は、見ていて微笑ましくあります。
そうした熱中をフォローしてくれるのが、指先の僅かな動作に反応するピントリングやコリコリと心地良い操作感の絞りリングといった道具としての質感の高さです。コシナの写真を楽しんで欲しいという想いが、Voigtländerレンズには込められているように感じられます。マニュアルフォーカスならではの写真体験をぜひ味わってみてください。
Staff
執筆・検証:豊田慶記 https://twitter.com/PhotoYoshiki
編集:家電批評編集部 阿部 https://twitter.com/kazemachi
製品写真:fort Studio https://fortstudio.co.jp/company/
家電批評のカメラ系記事
家電批評のコンテンツをはじめ、家電・生活雑貨・美容などさまざまなジャンルの商品テストから生まれた記事を掲載している360LIFEのカメラ関係記事も併せてお楽しみください!
検証に使用した機材
家電批評のアフィリエイトを含みます。無広告の月刊誌ですので、Amazonアソシエイトはお許しくださいませ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?