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新国王の新しい英国に繁栄を

9月8日に歴代国王の在位最長記録を更新中のエリザベス女王が96歳で崩御した。 亡くなる直前にロンドンのバッキンガム宮殿の上空に二重の虹が現れたそうで、雨の中集まった国民から女王は虹の橋を渡って天国に召された、RIP(Rest in peace)your majesty と祝福されたという。
1975年に女王が一度だけ来日した。 歓迎午餐会を日英協会が帝国ホテルで開催し、僕も会員の一人として出席した。 若輩の僕は緊張の連続で式がどのように進行したか、どんなご馳走が出たか何も覚えていず、身近で耳にするクイーンズ・イングリッシュにただただ聞き惚れていた。 僕から二人目か三人目の席に冒険家の植村直己さんがいて家に帰ってから妻にそのことをしきりに自慢していたという。
手元に大事に保管してあるその時のメニューを見るとメイン・ディッシュは「ヒラメのポピエット レーンヌ・エリザベス」となっている。 女王は肉よりも魚介類、特にドーバー海峡で獲れる舌平目と海老が好きだと聞いた料理長の村上信夫氏が女王のために特別に考案した料理だそうで、エビをヒラメで巻いて白葡萄酒で蒸した一皿は女王のお気に召し一口も残さずお召し上がりになられたそうである。
ただドーバー・ソールは手に入らず津軽海峡のヒラメを使い、日本のヒラメもドーバー産に劣らず美味しいものであることを示すため、メニューにはわざわざ日本語で「ヒラメ」と書き入れたのだそうだ。 お陰で「ヒラメ」と言う言葉が女王の記憶に刻まれたと聞く。
エリザベス二世の崩御により長男のチャールス皇太子がチャールス三世として即位することになった。 73歳の新国王とはダイアナ姫と共に来日した1986年に同じく日英協会がホテル・オークラの平安の間で開催したレセプションの席でこれまた一度だけお会いした。 亡き女王に今一度「God Save the Queen」を捧げ、新しい国王を「God Save the King」と称えよう。 新しい国王の下での英国の繁栄を願って止まない。

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