見出し画像

折敷の上の小宇宙。

”食”は、人間の最も根源的な生存本能であり、艶めかしい”生”を成立させている欲望だと思う。

限りなく貪る。齧り付く。頬張る。吞み下す。

つぎの機会の保証は無い。これが最後かもしれないぞ、と遠い声。

追いかけるように、本当は、もっと美味いものがあるんだぞ、と。

玄米ご飯に豚汁。

鯛カマ塩焼きには鬼下ろし。

里芋、こんにゃく、ごぼうの煮物。

山東菜と炙った油揚げのお浸し。

少しの卯の花。

用意してあったきんぴら、炙った厚揚げは過剰と、

折敷にはねられた。

料理を美しく、足るを知り、滋養と旨みに昇華する小さな宇宙。

ご馳走様でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?