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7days BOOK cover Challenge-③ ブルース・チャトウィン『The Songlines』

「songlines」は、オーストラリアの大地に張りめぐらされた目には見えない道のこと。アボリジニの人たちは、歩む道すがらに出会ったあらゆるものの名前を歌いあげることで、世界を作り上げてきたという。

1940年、英国に生まれた著者は、サザビーズの史上最年少ディレクターになりながら、旅への熱望から退社。常に旅にあり、1989年、やはり旅の途中で逝去する。

最初に手に取ったのは『パタゴニア』だった。

30年前、想像を超える世界の実在にこころを震わせた島国の田舎育ちは、懲りもせずこの分厚い書物にも手を出した。

ヘルシンキに降り立ち、北極圏までログハウスを見に車を走らせた。

上海から6時間、灯りのない夜に地方共産党委員と真珠の核の商談をした。

スペイン中をまわったのはワイン探しと食探しのためだった。

ロサンゼルスには一年間、毎月帳簿のチェックに通った。ANA路線が就航した年に。

どの「旅」でも、笑ったし、怒ったし、涙を落した。

「songlines」とはすこし違うが、それも僕の旅だった。



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