ウーヴリエット

目の前の霞める正しい美しさに吐き気を催すばっかり。
暗闇の端で、世界は此処だけだと嘯き、二人で終らない永遠の押し問答。
願わくば、なんの値打ちもない熟れ果てたわたしの切り裂いて、濁った表情を繰り返す虚ろな眼の張り付いた顏が血液に塗れれば至上の。息も絶え絶え、痩けた頬の汚れをわたしが拭おう。
与えられた痛みなど狂った感度にはしあわせを匂わせて、その濃厚な色は何にも変えがたく。闇のように深く。
沈むばかりで踠く腕は天を望むか、底をまさぐるのか。そんな手付きで必死にわたしの何を探す。
醜い切り口から、好きなだけわたしを引き摺り出せ。
重力から解き放たれた生首をその腕に抱いて。
漏れる溜め息の腐臭。それすらも可哀相だと愛しさの塊をこれでもかと捩じ込んでくる。
歪んだものに真っ直ぐなものが綺麗に重なりあう訳がない。
そんなにお互い柔らかさはない。
調律が壊れた火加減で、鋼鐵の正直を曲げてみせよう。
どろどろに溶かして融かして融かして融かして融かして融かして融かして融かして融かして融かして融かして
わたしにしか触れられない極限の熱さの中で形を失せて消えるまで。
優しさと正直と常識に倫理の飾りを纏った美しさが枷になるまで。
わたしの内側溢れていたはずの煌めきは共に叩き割った筈でしょう。飛び散った破片は美しかったでしょう。
憐れみも愛も嫉妬もその口が二度と零さぬよう、爛れてしまえ。

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