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顚跌《てんてつ》の背《そびら》

此処では終わらないと、まだまだだ、という強さは、心を啄む絶望を噛みくだそうとする極限の力。
どうか、どうか、その咀嚼音を聞かせて欲しい。その響きを敏感に拾い上げて、希望を灯す。

不都合とか不具合とか自分の身の回りで、起こることへの苛立ち。思う通りに行かないのは取り巻く世界のせいにしてしまえる。
アスリートの怪我とか調子の悪さというのは自分の中、自分の身体で起こること。周囲も他人もない。
 膚の下で、自分を成す身体の悲鳴は、痛みは容赦なく安穏を食い散らかす。

なんで、どうして。
自分の身体なのに。
なんで、どうして。
 放てない冒疾。

 普通の生活なら良いのでしょう。
アスリート、に固執しなければ良いでしょう。
それでも、天性の能力は溢れだす。
怠惰に垂れ流すには、眩しく、有り触れない稀有が。
それは、そう貴種のような。人々が欲し、崇める才能が。

まだまだ、闘わなくてはならない。
自分と、もっと。

なんて苦しい道筋だ。
幾度、顚跌の背を目にしただろう。

祝福を
喝采を
勝利を
喜びを

皆の望む意志が、魂のように
その身体から脱け出さぬよう。

言葉を 呪詞のように こぼし続ける


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