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水水水水氷水水水水

鶴亀俳句で出した3句のうちの1句

水水水水氷水水水水 には実は元ネタがある。


皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿
  倦怠
   額に蚯蚓這ふ情熱
 白米色のエプロンで
 皿を拭くな
鼻の巣の黒い女
  其処にも諧謔が燻つてゐる
   人生を水に溶かせ
   冷めたシチユーの鍋に
  退屈が浮く
   皿を割れ
   皿を割れば
  倦怠の響が出る。

1923年発行、高橋新吉の第1詩集『ダダイスト新吉の詩』中の1篇『皿』。「皿皿皿皿・・・・・・」と崩しても崩しても積み重ねられる皿の山を立体的な視覚をもって表現している。当時、新吉は食堂の下働きをしていたという。これが元ネタだ。


水水水水氷水水水水

氷を中心に左右対称の文字列。音は676でやや字余だが、ちゃんと夏の季語(氷水)が入っているのがオシャレなのである。


さて、
高橋新吉が傾倒したダダイズムは、第一次大戦の頃、ヨーロッパやアメリカの都市に起こった芸術運動。文芸、絵画など分野横断的な運動で、伝統的な価値観の破壊を目的とした。便器にサインしただけの『泉』や、モナリザに髭を描いた『LHOOQ』(いずれもマルセル デュシャン)は、当時の人々の芸術観を大きく揺さぶった。

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破壊運動と言うときな臭い響きだが、もしダダがなければ、その後のダリもマグリットもウォーホールもバスキアもなかった。中原中也はダダイスト高橋新吉に傾倒したし、無名だった宮沢賢治をいち早く評価したのも同じくダダイスト辻潤である。さらに言えば、モンティパイソンやダウンタウンの不条理コントもおそらくはなかったものと思う。破壊=創造の源なのである。


水水水水氷水水水水 も、みんなの俳句大会では、それなりに破壊的な印象を残した(と思っている)。

コメント欄や勝手に賞記事より

とても衝撃を受けました。漢字の並びを見ても、まるで絵のようで、数学の公式みたいで。図形みたいで。見た目も大好きな句です。(しろくまさん)

私も自由律俳句かと思いました😳斬新✨(のんちゃさん)

頭から冷や水を浴びたごとく刺激的で。しばし、呆然といたしました。予想を軽々と飛び越える発想のゆたかさに驚きを禁じ得ません。(dekoさん)

あまりにも斬新で、度肝を抜かれましたが、俳句は自由で楽しくが一番だと改めて思いました。(香田ちりさん)

水の句、鮮烈‼(チズさん)

さらには、

抽象なのか、具象なのか、情緒を排した冷たさなのか。とても短く、とても短い詩。そして、シンプルで美しい。シンプルゆえに、読んだ(見た)側の想像・連想も、個人差が大きいのではなかろうか。知りたいの、みんなの頭の中の風景が知りたいの。(犬柴さん)

ここから、同句を起点にした二次創作企画「氷と水の芸術祭」を犬柴さんと共催する運びとなった。

本日24時締め切りだが、これまでに44もの作品(小説12 詩・定型詩11 イラスト•画像15 動画3 音声1 マンガ1 パズル1)が寄せられた。いずれも完成度が高い。

まさに破壊=創造の試みとなった。一方向に流れる水流に、異質な氷を投げ込むのも、たまになら悪くない。冷や水を浴びせないようにだけはしたいが。

水水水水氷水水水水


氷と水の芸術祭 8/18以降受付分

小説

詩/定型詩

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マンガ


8/17まで受付分33作品
詩/定型詩7 小説9 動画3 画像12 音声1 パズル1


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