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【企業分析】Cintas

CTAS(Nasdaq)
時価総額:390億ドル
株価: 381ドル
売上高: 70億ドル
営業利益:12億ドル
(2021年)

事業内容: ユニフォームレンタル
設立年:1929年、上場
本社: 米国🇺🇸オハイオ州
代表者: Todd Schneider (CEO)
従業員数: 4万人
主要株主: Scott D. Farmer (13.9%)

概要

シンタス(Cintas Corporation)は1929年創業の業界で圧倒的No.1の北米最大シェアのユニフォームレンタル会社。

サービス業や製造業で従業員が着る制服の管理(洗濯・クリーニングと配送)を中心に、制服レンタルで長期的関係を築いた顧客に付加的なサービス(エントランスマットのクリーニングと交換、タオルやトイレ用品の交換など)を提供し(ご一緒にポテトはいかがですか商法)長期継続契約によって収益の見通しが良い、地味だが安定的な事業を展開している。

ユニフォームレンタルのメリットは「制服の洗濯・クリーニングや管理は顧客企業でも従業員でもなくシンタスが行う」というもの。

Cintasのデリバリートラック

日本だとほとんどのスーパーや飲食店などの従業員は自分の制服1着を大事に自分で持ち帰って自分で洗濯するところが少なくないが、従業員に任せると多少汚くても気にしないタイプがいたりするものだが、シンタスに任せれば衛生面で確実かつ在庫管理不要ということで解約率の低い安定ビジネスとなっている。

シンタスは業界最大のシェアでスケールメリットを享受

競合他社はシンタスの制服回収拠点密度に対抗する規模もなくコスト面でシンタスの規模が拡大するほど劣勢となる。

シンタスのビジネスは主力のユニフォームレンタル事業とそれ以外の2つの柱で構成される。

・制服レンタル・施設関連サービス部門
Uniform Rental and Facility Services
売上比率79%
オーガニック成長率は8.1%

・AED(自動体外式除細動器)などの応急手当て製品と安全用品関連部門
First Aid and Safety Services
売上比率10%
オーガニック成長率は11.9%

・その他部門(消火器、ユニフォーム直販)
Fire Protection Services and Uniform Direct Sale
売上比率11%
オーガニック成長率は6.3%

プロダクト・ビジネスモデル

制服レンタル・施設関連サービス部門

ユニフォームのレンタルとクリーニング等の管理、エントランスマットやタオルのレンタルと清掃管理、トイレ用品やその他施設関連製品及びサービスの提供。ルート・リピートビジネス。

ユニフォームレンタルのビジネスモデルについては前述の通り、同じ制服を週ごとに入れ替え洗濯・クリーニングし定期的に配送納品するわけだ。

また、ユニフォームレンタル会社の定番のオプション的クロスセルビジネスであるエントランスマットのレンタルや清掃サービスも提供している。

特に米国では店舗の入り口付近で(雨の日で)すべって怪我して訴訟なんてのも少なくないのでエントランスマットは非常に重要。

制服のついでにエントランスマットもクリーニングをまとめて任せてしまった方が効率が良い、というようなオプションで”ついで需要”を取り込む。

競合のユニフォームレンタル業者を買収しシェアが30%に

2016年08月、シンタスは競合である市場シェア4位のG&K Servicesを22億ドルで買収することに合意。

1902年創業のライバル企業であるG&K Servicesは従業員数8000人(買収当時のシンタスの従業員数は30000人)

G&Kの買収により、17万人の新規顧客が加わり、Cintasのサービス能力と地理的密度を拡大。

買収当時シンタスは160億ドルの北米ユニフォームレンタル市場の25%のシェアを占め、G&K買収によって市場シェアが30%を超えた。

特筆すべきは、G&Kの買収シナジーの創出面で経営陣の能力の高さが垣間見えたことだろうか。

具体的には、買収完了前時点でのG&K粗利益率は40.2%だったにも関わらず、買収完了後でもユニフォームレンタル部門の粗利益率が、第1四半期の46.1%で、前年同期の46.0%から0.1%増加している点。

全体でも前年度の粗利益率45.5%から45.9%に0.4%改善しており、16四半期連続の前年比粗利益率改善という素晴らしさも合わせて良い傾向。

この買収シナジーの特徴はシンタスのルート密度(拠点と顧客との距離)よりもG&Kの密度は劣っていたのが相乗効果で密度を向上することができたこと(燃料費も削減)

また、オールドタイプなG&Kシステムを業務統合パッケージであるSAPを導入し置き換えて効率化していることもある。

AED(自動体外式除細動器)などの応急手当て製品と安全用品関連部門

AEDなどの応急処置製品や安全製品と、応急処置や従業員または顧客の安全性を維持するためのトレーニングサービスの提供など。

AEDや安全製品はコンプライアンス面で不可避な領域であり、クロスセルにも適しており、こういった製品の販売とそのトレーニングのセットというものは収益の予測性が高い。

この部門での買収の動きとしては2015年7月にZEE Medical Incを1億3000万ドルで買収(CintasのFirst Aid事業の約3分の1の規模)。

この買収に関しても買収後もシナジーを発揮して利益率が高まったのが良い点。

その他部門(消火器、ユニフォーム直販)

消火器等の防火サービスとユニフォームの直販事業は消耗リピートビジネスというわけではないので業績は変動が激しい。

セグメント別の売上高

市場動向

ユニフォームレンタル市場

ワークウェア/ユニフォームの世界市場は、2020から2026年には5.2%の健全なCAGRで成長すると推定されます。

競合他社

Aramark
UniFirst
Elis
Watakyu Linen
Domesticuniform
Budget Uniform Rental
Alsco
Prudential Overall Supply Company
Clean Rental Uniforms
Mission Linen Supply
American Wear
Service Uniform

マーケットシェア

応急処置キット市場

アナリストは、世界の応急処置キット市場が 2021 年から 2029 年の間に 3.12% の CAGR で成長すると予測しています。

応急処置キット市場の競合:
Acme United、3M、Safety First Aid、St John、Johnson & Johnson、First Aid Holdings、Lifeline、Honeywell、Certified Safety、Lifesystems、Bluesail、Firstar、Yunnan Baiyao、KANGLIDI、Cror、Unitde Wah Lee、Jiangsu Nanfang Medical、レッドキューブ

業績

■売上高&売上高成長率

■営業利益&営業利益成長率

■純利益&純利益成長率

最近の決算を確認すると、「ユニフォームのレンタルとファシリティのサービス」が売上の80%を占めており、前年同期比と比較して15%増加している。

また、右側のグラフで、グロスマージンを見ると「ユニフォームのレンタルとファシリティのサービス」は26%増加しており、主力のサービスが好調に見える。

EPSの推移をみると、コロナの落ち込みから強く回復している。顧客には、ホテルやレストラン等の落ち込みが大きかった顧客が含まれるが、逆にヘルスケアも顧客もおり、需要があったようだ。更に、全体的にコロナ対策として衛生管理の需要があったように見受けられる。

コロナ後の経済再開でホテル・レストランが復調してきた時には、好業績が期待できるかもしれない。更に、全体的な衛生管理の意識は高くなっているため、需要はコロナ前よりも需要が増加する可能性もある様に思う。

■キャッシュフロー

■配当、配当性向、配当成長率

同社は同業他社に対するM&Aを繰り返すことで成長を続けており、一方で37年連続(2021年)の増配を続けています。

経営者 

CEOのTodd M. Schneider j

トッド・M・シュナイダーは1989年にシンタスに入社。シンタス社内で様々な役職を歴任し、その中には管理職も含まれています。

中西部/南中部地区レンタル部門営業担当副社長、旧ドキュメントマネジメント部門社長兼最高執行責任者を歴任。2013年6月にレンタル部門の社長兼最高執行責任者に任命されるまで、レンタル部門の営業担当上級副社長を務めました。

2018年7月、シュナイダー氏は取締役副社長兼最高執行責任者に任命されました。2021年6月、シュナイダー氏は、社長兼最高経営責任者兼取締役に就任。

創業者はRichard T. "Dick" Farmer (1934 or 1935 – August 4, 2021)

1968年から2003年までシンタスの最高経営責任者として在任した。

1956年にオハイオ州オックスフォードのマイアミ大学でビジネス学士号を取得。

卒業後はアメリカ海兵隊に所属し、名誉除隊した後、1957年に家業に専念することになった。

1959年、ファーマーの父親がリチャードに経営を移した。1962年、ユニフォームレンタルの成長セグメントを反映し、社名をAcme Uniform & Towel Supplyに変更しました。1966年には、Acmeの年間売上は180万ドルにまで成長しました。

1968年、Farmerは新会社Satellite Corp.を設立し、集中的な販売システムを提供し、米国の主要都市に小規模なユニフォーム工場を展開するようになりました。1973年、SatelliteはAcmeを買収し、Cintasとして知られるようになりました。1983年にNASDAQ証券取引所で株式公開された。

オハイオ州メイソンを拠点とするシンタスを、純資産34,000ドルのマイナスから、年間売上38億ドルのフォーチュン500社に成長させた。現在、シンタスは80万人以上の他の顧客と取引をしている。

ファーマーは1968年から1995年8月1日まで、シンタス・コーポレーションのCEOを務めた。1968年から2009年10月20日に引退するまで会長を務め、その後名誉会長に就任し、取締役会にも留まった。

財務状況

■バランスシート 総資産(%)

■バランスシート 負債及び株主資本(%)

株価推移

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