【企業分析】Datadog
概要
Datadogはクラウド・アプリ・ユーザーなどのモニタリング、ログ解析、可視化といったプラットフォームをSaaSで提供する企業です。
2010年に設立された新しい企業でアメリカ、ニューヨークに本社を置き2019年にNasdaq市場にIPOを果たしています。2021年12月にはNasdaq100に採用されることが決まりました。
Datadogが展開する市場では強力な追い風が吹いています。例えばパブリッククラウドの売上は21年は$364billion(40兆円)に達し、9年で13倍超となっています。
さらにソフト開発も複雑になり、サーバー・アプリなどのモニタリング重要が高まっており、これまで堅調な成長を続けていますし、今後も成長が見込まれる企業だと思います。
プロダクト・ビジネスモデル
プロダクト
プロダクトはサーバー・アプリ・ユーザー・ネットワーク・パフォーマンスの監視、ログ解析、セキュリティ管理などを1つのプラットフォームで提供しています。
以下の項目に分けて紹介をしていきます。
・製品
・ログ管理
・APM
・Digital experience
・Security
・Platform
製品
まずは、データドッグの製品を紹介していきます。データドッグは、SaaSベースでモニタリング機能を持つ製品を提供しています。
例を出すと、インフラストラクチャー(どの国で使用されているか、予想トラフィック数など)からネットワークパフォーマンス、ネットワークデバイスのモニタリングを持つ製品を多岐に渡り展開しています。
これらの製品は、導入が簡単で専門的なサービスや広範なトレーニングは必要としません。クエリ言語などの知識も必要とせず、直感的なユーザーインターフェーズを使用し、組織全体で利用することを目指します。
何万ものインフラストラクチャ要素を可視化することができ、設定なしに追跡することが可能です。
また、ネットワークパフォーマンスモニタリングの製品では、アプリでのネットワークのトラフィックをリアルタイムで可視化し、問題の根本原因を調べることが可能です。
ログ管理
ログを素早く検索、分析し、トラブルシューティングやデータ調査のために使用します。全てのサービス、アプリ、プラットフォームからログを収集し調査を行います。
APM
APMとは…アプリケーションやシステムの機能を精密に分析し、機能低下を防ぐために管理すること。これにより、ユーザー離れを防止したり、障害に対し迅速に解決することを可能とする。
データドッグのAPMでは、サンプリング・不可能領域・特別な制限なしでエンドツーエンド(二者間の通信経路)の分散型トレーシングを提供します。分散型トレーシングを利用することで、遅延時間を減らし、エラーをなくすことが可能です。
Digital experience
Webおよびアプリケーションでのユーザー体験を可視化し、ビジネスを与える影響を把握します。ユーザの製品の使用方法を把握した上でユーザーが直面する問題を迅速に解決することができます。
Security
データドッグのセキュリティプラットフォームは、リアルタイムな脅威検知機能および継続的な監視機能を有し、セキュリティ機能にスピードとスケールのメリットをもたらします。
Platform
データドッグが2020年に入って、力を入れて取り組んでいることです。
今まで紹介してきたインフラ、ログ、セキュリティ、ネットパフォーマンスなどのデータを1枚でまとめて見ることができます。ワンクリックでパフォーマンスの概要やビジネスの指標をまとめて表示することできます。
すぐに使うことができるテンプレート化したダッシュボードを編集ショートカットによりすぐに使用可能です。
また、データドッグに搭載されているコラボレーション機能を使用することで、組織内および外部のチームとも共有することができます。
ビジネスモデル
Datadogのビジネスモデルはプロダクトによりサブスクリプションと従量課金が異なるビジネスモデルを採用しています。
例えばサーバー監視は1host毎のサブスク、ログ解析・セキュリティモニターなどは1GB毎の従量課金となっています。
単なるサブスクではなくデータ×従量課金なのが強みです。
データ社会は今後の進化を続けていく見込みで、データ量は今後も増えるでしょうからネットワーク効果により従量課金制のプロダクト売上はどんどん伸びることが期待されます。
決算部分で触れますが、実際21年3Qは2Qよりも売上成長が加速しています!
2021年にIPOしたConfluentも同じようにデータ×(サブスク+従量課金)の会社です。
顧客数はトータル16,400社でARR$100k以上の顧客が1,570社、$1million以上の顧客が145社で右肩上がりで順調に伸びていっています。
75%の顧客が2つ以上のプロダクトを利用し、28%の顧客が4つ以上のプロダクトを利用しています。顧客がDatadogのプロダクトに満足し、利用するプロダクトの数を増やしていることがわかります。
NRR(Net Revenue Retention:売上継続率)は16期連続で130%超で、解約率は5%ほどとなっており、NRRはかなり高水準と言えます。(SaaS企業では120%が一つのベンチマークとされることが多いです。)
Datadog(データドッグ)の顧客
データドッグのサービスを利用している顧客は多くいます。有名企業で例をあげると、アマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureなどで利用されています。
下記は、データドッグを利用している企業の一例です。
馴染みのある企業で言うと、サムスンやSONY、ロイヤルダッチシェルなどで利用されていることがわかります。
ここで、実際にプラットフォームで導入されている例を紹介します。
このように、ビッグハイテク企業から新興企業まで、幅広くデータドッグのサービスが利用されていることがわかります。
市場動向
続いてDatadogが事業を展開する市場について見てみたいと思います。
Datadogのコアビジネスモニタリングの市場は21年$38billion→25年$53billionに成長見込みとなっています。
モニタリング以外のプロダクトも合わせると恐らく現状で$50billionほどの市場となっています。( 競合であるDynatraceのPPTより)
Datadogの売上は約$1billionほどのため浸透率は2%ほどとなります。
業績
売上高・売上高成長率
続いて、売上高(単位は百万ドル)と売上高成長率を見ていきます。
売上高は右肩上がりです。売上高成長率は70%台に減速しました。今後成長率が鈍化するかどうか注目です。
EPS
EPSも右肩上がりで成長しています。直近決算では、前期のEPSと数字が一致してます。
顧客数・顧客増加率
続いて、顧客数および顧客増加率のグラフです。
顧客数は徐々に増加しているものの、顧客増加率は鈍化しています。SaaSモデルにおいて、 NRR(売上維持率のことを指し、来年同時期に確実な売上見込みのこと)が大切な中で、顧客を確保できないと、将来的に発生する利益減少が懸念されます。
営業キャッシュフロー
最後に、営業キャッシュフローをみていきます。
今期は鈍化しています。
経営者
Olivier Pomel氏は、2010年に同社の最高技術責任者であるアレクシス・レコック氏と共同設立したクラウド監視企業DatadogのCEOである。
データドッグは2019年9月にナスダックに上場し、約6億5000万ドルを調達し、取引初日に109億円の時価総額を手に入れた。
ポメルとLê-Quôcは2020年5月、超大型の業績発表で株価が急騰し、億万長者となり、ポメルはDatadog株式の4%を保有している。
フランス出身の2人は、エコールセントラルパリの学部生時代に出会い、ともにコンピューターサイエンスの修士号を取得した。
Datadogを設立する以前は、ニューヨークのWireless Generation社で共に働き、同社は2010年にNews Corpに買収された。
株価推移
記事をお読みいただきありがとうございます!^ ^もしよろしければご支援いただけると幸いです✨いただいたサポートはクリエイターの活動費に使わせていただきます!🙇♂️