見出し画像

【企業分析】ピンデュオデュオ(Pinduoduo)

PDPD (NYSE)
時価総額: 600億ドル
株価: 48ドル
売上高: 147億ドル
営業利益: 11億ドル
(2021年)

事業内容: 電子商取引プラットフォーム
設立年: 2015年、2018年上場
本社: 中国🇨🇳上海
代表者: Lei Chen (会長兼CEO)
従業員数:7,986人

概要

ピンドュオドュオは中国のEコマ―ス企業。同社のモバイル・プラットフォ―ムにより売り手と買い手がSNSを活用、ソ―シャルショッピング体験と割安な価格の商品を提供する。顧客の獲得において効果的かつ効率的なツ―ルとして利用される。同社はGMV(総商品価格)や注文数において、中国最大Eコマ―ス企業の一つである。本社所在地は上海市。  

ピンドュオドュオ 本社

プロダクト・ビジネスモデル

ピンドォドォ(Pinduoduo Inc.)は電子商取引プラットフォームオペレータである。同社はモバイル電子商取引プラットフォームであるPinduoduoを提供する。

同社のプラットフォームはバリュー・フォー・マネー商品とインタラクティブ・ショッピングオプションを提供する。そのプラットフォームは広範囲製品の仮想バザーに類似し、個人とチームの両方の購入オプションを提供する。同プラットフォームは衣類、靴、バッグ、育児用品、食料、飲料、新鮮な農産物、家電製品、家庭用品、化粧品、スポーツ用品、フィットネス用品、自動車用アクセサリなどの製品を提供する。

同プラットフォームはWeixin Pay、QQ Wallet、Alipay、Apple Payなどのオンライン支払いオプションを提供する。  

拼多多がユーザーの拡大に成功した理由は「共同購入」と「価格設定」にあります。

App版拼多多のスクリーンショット

最も売れている商品ジャンルは日用品で、中でも売れているのがトイレットペーパーです。1ロール4毛=6円という衝撃的な価格で販売されているのです。

拼多多(Pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)のビジネスモデルは共同購買

拼多多が得意としているのはソーシャルEC分野です。

簡単にいうとグルーポンに代表される「共同購入」を活用しているサイトになります。そのなかでオンラインショッピングとソーシャルメディアを融合させ、利便性やエンタメ性を訴求したことで他との差別化を図りました。

共同購買とは?

共同購入とは、簡単に言えば【一緒に買うことで双方がお得になる購買行為】です。

拼多多では、規定の販売個数をクリアするとかなり割安な価格で商品を購入することができます。

そこで、商品が欲しいユーザーは、より安い価格で購入するために目的の商品の共同購買を誘います。つまり、WeChatユーザーなどを無料のセールスマンとして巻き込んでしまうという斬新なビジネスモデルを構築しているのです。

拼多多の特徴|ユーザー数は6億人以上

拼多多の財務報告によると、2020年3月31日までに年間アクティブユーザー数は6億2,800万人に達し、前年より1億8,500万という最高の伸びを記録しました。

Wechatのユーザー数が2018年に10億を超え、ほぼ中国の大多数はWechatを使えるようになりました。スマホとSNSの普及、そこにテンセントとの共闘が加わったことで拼多多は急激なユーザー数の増加を成し遂げました。

この脅威の成長は、中国EC最大手のアリババの利用者数(7億4200万人)に迫る勢いです。

ここまでにアリババは20年かかりましたが、拼多多はサービスリリース後たった4年で中国EC1位の座に王手に手をかけており、このスピードだと年内にもユーザー数でアリババを超える可能性があると中国のメディアは予測しているようです。

拼多多の特徴|ユーザー属性は三・四級都市在住者や中所得者が多い

中国では所得層によって一級都市から五級都市に分類されます。淘宝や京東などは中国の一級~二級都市に住む高所得層をターゲットにマーケティングしてきました。

その一方で、地方都市など「三級都市」「四級都市」に住むユーザーはそういった高級ブランドに手の届かない人も多く、そうしたユーザーを狙ったのが拼多多でした。

年々所得は上昇しているものの、現在も中国14億人のうち10億人は3線都市以下に居住しており、手付かずの巨大な市場に拼多多がいち早く目をつけ、「とにかく低価格」をコンセプトに低~中所得者の支持を得ることに成功しました。

サービス開始当初、常識外れの安さと、あまりにも露骨な偽物販売に対してリテラシーの高い大都市の人々は反感を持ちました。しかし、その衝撃的な価格で注目を集めていたのも事実です。

「低品質」や「偽物」のレッテル貼りされたイメージを払拭し、一、二線都市の消費者を獲得するために拼多多は2019年に「百億補貼」という100億元(約1500億円)の補助金を出す政策を打ち出しました。

Apple製品、ダイソン、SK-Ⅱなど若者が好む効果なブランド品が安く買えることを宣伝し、人気商品の価格競争で優位に立つことで、タオバオや京東のユーザーの利用を促したのです。

高額な商品でも、購入すれば拼多多からの補助金が付くため、オフィシャルサイトや他ECサイトよりも安く買うことが可能です。定価は変えずに実質値引きを実現させたのがこの「百億補貼」でした。

このような政策や、偽物品への補償によって、2019年には高所得層ユーザー割合も淘宝や京东に並びました。

拼多多の特徴|共同購買で安く買うことができる

共同購買では、一つの商品について「〇時間以内に購入者が〇人集まったら成立」という方式で販売が行われます。もし目標の人数に到達しなければ値下げは不成立となります。

一般の購入希望者は、すでに共同購入者を募っているグループに参加をする「参団」という方法で購入しますが、SNSフォロワーが多いインフルエンサーや、自分で共同購入者を集められる人は、「開団」という方法で購入グループを立ち上げています。

目標人数以上の購入者が集められれば、その人数に応じて開団した人の割引率は上がり、最大で無料になることもあります。

拼多多の特徴|共同購買のためSNSで拡散される

ユーザーが共同購買を開始すると、WeChatやQQなどのSNSを通じて積極的に参加者を募るようになります。拼多多では出店者が広告を出さずとも、ユーザーが勝手に宣伝・拡散してくれる仕組みができあがっているのです。

また、上記で説明した通りインフルエンサーなど影響力のあるユーザーが「開団」して購入者を募れば、自動的にそのインフルエンサーのフォロワーである趣味・思考が似通ったユーザーにたちまち拡散されます。

「開団」したアカウントが粗悪品ばかりを共同購入させようとすれば、信頼を失い共同購入者が集まらなくなります。それによって粗悪品は自然淘汰されていくという仕組みまで出来上がっているのです。

拼多多の特徴|ミニプログラムもある

拼多多の成長の背景には、テンセントとの連携が大きく関係しています。

上記で紹介したようなWeChatやQQでの「共同購入」呼びかけの他に、WeChatには拼多多のミニプログラムが組み込まれています。

「WeChatミニプログラム」とは、「WeChat」アプリの内で起動できるインストール不要の軽量アプリです。インストール不要にも関わらず、機能面はアプリに劣りません。

ミニプログラムの利用者は年々増加しており、実際に拼多多ではアプリ版よりミニプログラム版を利用しているユーザーの方が多いというデータもあります。

市場動向

急激な成長を遂げる中国のオンライン市場、2020年7月に経済産業省から発表されたレポートを見ると2019年度の中国の市場規模は約208兆円(1.93兆ドル※1ドルを108円で計算)と推定されている。

ネット小売り市場において中国で1番シェアを獲得しているECサイトはアリババグループはで、B2Cネット通販の市場シェアの55,9%と過半数を占めている。2位の「京東(JD.com)」の16.7%を大きく離している。さらに3位の「拼多多(Pinduoduo)」が7.3%と急激にシェアを高めており、この3社で中国のECサイト市場のシェア争いを激しく行っている。

しかも、世界一のアマゾンも2019年に中国市場からの撤退を表明し、他の中国ECサイトもこの3社には及ばず、3社によるシェア争いはしばらく続きうである。

2020年7月に経済産業省から発表されたレポートをもとに中国のECサイトの取引額のベスト5を取り上げた。

天猫(Tmall)アリババグループの1強で55.9%のシェアを独占

2019年度には同国で越境ECサイト「網易考拉海購(Kaola.com)」を買収したことから、さらにシェアが高まっている。

中国ECのシェアNo1のアリババは、出店者に対して競合他社への出店を禁止する「二者択一」の強要行為を行ったとして、中国の国家市場監督管理総局は2021年4月10日に、罰金182億2800万元(2916億4800万円)の行政処罰を課すと発表した。

また、アリババだけではなく、中国ではプラットフォーム企業が次々と処罰や行政指導を受けており、プラットフォーム事業者による、市場支配的地位の乱用など公正な市場競争を阻害する独占行為を厳しくする動きが、中国当局によって強化されている。

元々中国でのネット取引はCtoCがメインだった。しかし、2015年にはBtoCの取引額がCtoCを上回り52.1%となり、2016年度には55.3%となった。

この背景には、中国ネット通販市場の成熟化及び、偽物が多く出回っている市場において「天猫(Tmaill)」や「京東(JD.com)」のようなECサイトがユーザーから信頼されていることがある。そして中国人ユーザーは、商品を検索するときは、検索エンジンではなくモール内で検索することから、2大モールのシェアがますます伸び、BtoC市場を牽引している。

さらに、中国で急激にスマートフォンが普及。スマートフォンでカンタンに決済できる支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat Pay)によるキャッシュレス化がBtoCのECサイトを成長を押し上げており、中国人ユーザーにECサイトでの買い物をいっそう身近にさせている。

中国の2020年のEC小売額は前年比10.6%増の11兆7,601億元(約188兆1,616億円、1元=約16円)に達し、小売総額に占めるEC小売額のシェアは30%まで拡大するなど、魅力的な市場となっている。

業績

売上高の推移

2021Q1(2021年1−3月期)の売上高は222億人民元(33.8億ドル)と、前年同期比+239%となり、コンセンサス(32.0億ドル)を上回りました。

売上高の内訳は、以下の通りです。

・オンライン広告収入等:129億人民元、前年同期比+92%

・販売手数料:13億人民元、前年同期比+66%

売上高の内訳構成比は、オンライン広告収入等が91%を占めます。

(参考)過去5年間の売上高

売上高は、過去3年間で年率+224%となりました。

GMVとテイクレート、注文者アカウント数/消費額、月次アクティブユーザー数の推移

FY2020のGMV(取扱高)は1.67兆人民元(前年同期比+65.7%)、テイクレートは3.2%です。

注文者アカウント数(過去12ヶ月)は8.24億(前年同期比+31%)となりました。

月次アクティブユーザー数は7.25億(前年同期比+49%)となりました。

利益の推移

2021Q1の粗利益は114億人民元(前年同期比+142%)、粗利益率は51.5%と、前年同期の56.6%から悪化しました。

2021Q1のEPSは▲0.16人民元(ADS:▲0.36ドル)と、コンセンサス(ADS:▲0.48ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは0.08人民元(ADS:▲0.23ドル)となり、コンセンサス(ADS:▲0.38ドル)を上回りました。

(参考)過去5年間のEPS

キャッシュフローの推移

2021Q1の営業キャッシュフローは83億人民元(前年同期比+218%)となりました。

(参考)過去5年間の営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、過去3年間で年率+42.8%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は47.4%と、前年度の49.2%から悪化しました。

(参考)過去5年間のフリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、過去3年間で年率+42.8%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は47.3%と、前年度の49.1%から悪化しました。

経営者 

創業者の黄崢・董事長(日本の会長にあたる)が2021年に退任すると発表した。黄氏の後任の董事長は陳磊・最高経営責任者(CEO)が兼務する。

黄氏は米国留学を経て、米グーグル中国法人の設立に携わった。2015年にピンドゥオドゥオを設立し、わずか5年でネット通販の利用者数でアリババを超える企業に育て上げた。

米グーグルでキャリアをスタート

中国人起業家のエリートコースとは、米シリコンバレーでキャリアをスタートさせたのち、中国に戻り、起業し成功するという道。コリン・ホアンは、まさに、“王道”を歩んでいる人物といえる。

コリン・ホワンは1980年、浙江省杭州市で生まれた。この町はアリババの本拠地として知られる。両親は地元の工場で働く工員だったという。幼い頃から成績優秀で、12歳のときに名門の杭州外国語学校に入学した。地元のエリートの子どもたちと机を並べることになる。後に、コリン・ホワンは同校での経験が人生を変え、「この学校が私の世界を開いてくれた」と語っている。

浙江大学に進み、2002年に卒業後、米国に留学した。ウィスコンシン大学マディソン校でコンピューターサイエンスの修士号を取得した。米留学中、北京にあるマイクロソフトの中国オフィスと米本社の両方でインターンシップを経験している。

2004年、コリン・ホワンは卒業を控え、就職先を決める時期になった。周囲の人は、当時、市場を支配し、利益を上げていたマイクロソフトに就職するものと思っていたが、当時まだ成長途上の企業で、株式公開もしていなかったグーグルに入社した。

2006年、コリン・ホワンはグーグルの中国事業立ち上げのため、母国に派遣された。しかし、翌2007年にグーグルを退職する。

黄氏はピンドゥオドゥオの株式を約3割保有する筆頭株主でもある。同日公表した株主に向けた黄氏の書簡では「保有する株式は今後3年間は手放さない」としている。董事長を退任するものの、筆頭株主として経営に一定の影響力を持ち続けるとみられる。

注目されるのは、黄氏の退任が拼多多の経営権に及ぼす影響だ。同社は1株当たりの議決権に差をつけた「種類株」を発行しており、A種株式には1株に1票、B種株式には1株に10票の議決権が付与されている。

黄氏は筆頭株主であると同時に、保有状況が開示されている大株主のなかで唯一のB種株式の保有者だ。2020年7月時点の開示情報では、黄氏は拼多多の発行済株式の29.4%、議決権の80.7%を握っていた。

しかし株主宛のレターによれば、黄氏の退任とともにB種株式の10倍の議決権は失効し、黄氏の保有株の議決権は取締役会に委任されるという。

黄氏の退任そのものは既定路線だった。2020年7月1日、黄氏は創業メンバーの1人で当時はCTO(最高技術責任者)だった陳氏にCEO職を禅譲し、自身は董事長に就任。黄氏は董事長職についても丸1年かけて陳氏に引き継ぐ計画を公にしていたが、それを4カ月前倒しした格好だ。

「拼多多が10年後も高速かつ高品質の発展を続ける企業であるため、模索を始めるなら今がその時だ。自分は創業者として、10年後に向けたさまざまな試行錯誤をする役割を担いたい」。黄氏はそう語り、退任後は食品科学や生命科学の研究に取り組むとしている。

株価推移

記事をお読みいただきありがとうございます!^ ^もしよろしければご支援いただけると幸いです✨いただいたサポートはクリエイターの活動費に使わせていただきます!🙇‍♂️