![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88611156/rectangle_large_type_2_cdf2ade890a4171ca9e2afa49e059a51.png?width=1200)
【企業分析】Qualtrics(クアルトリクス)
XM (Nasdaq)
時価総額: 62億ドル
株価:126ドル
売上高: 11億ドル
営業利益:▲11億ドル
(2021年)
事業内容: エクスペリエンス・データの収集・管理・分析プラットフォームの提供
設立年:2002年、2018年上場
本社: 米国🇺🇸ワシントン州シアトル
代表者: Ryan Smith (会長)、Zig Serafin (CEO)
従業員数: 4,800人
主要株主: SAP (72.7%)
概要
米国のワシントン州シアトルとユタ州プロボに共同本社を置き、エクスペリエンス マネジメント プラットフォームを提供する企業です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614094/picture_pc_d51cec4a4f675b8d5c543c35fc44d73b.png?width=1200)
様々な業界向けにエクスペリエンス(体験)を管理するソフトウェアシステムをSaaSで提供しています。
設立は2002年と比較的古い会社で、2017年から エクスペリエンス(体験)マネジメントデータを分析するクラウドベースのソフトウェア プラットフォームをサブスクリプション形式で提供し始めています。
18年に一旦ドイツのSAPに$8billionほどで買収されましたが、 21年1月スピンオフされNasdaqに上場しました。
体験を管理といわれてもイメージがつきにくいかもしれませんが、顧客、従業員、製品、ブランドに対しての感想や意見をアンケートなどで収集しフィードバックし、分析を行うことがエクスペリエンスマネジメントです。
具体的にはサービスを利用した顧客や商品を購入した顧客からのアンケートを通じたフィードバックを収集、分析し顧客本位の改善活動を継続的にを支援したり、会社従業員からの意見を収集分析し、社内の全管理職・リーダーに対して推奨アクションを提示するといった感じです。
エクスペリエンスマネジメントを行うことで顧客維持率の向上やブランドの認知度の拡大を狙えたり、顧客のニーズを正しく理解することで提供コストを削減し効率よく会社運営を行うことが見込めます。
Qualtricsのプラットフォームmissionは「to help turn customers into fanatics,employees into ambassador,products into obsessions,brands into religions」で日本語にすると「顧客を熱狂的なファンに、従業員をアンバサダー(大使)に、製品を執着させるものに、ブランドを信念に変える手助けをする」といったところでしょうか。
こういった理念をもとに 様々な業界向けにエクスペリエンス(体験)を管理するソフトウェアシステムをプラットフォーム化し様々な業界の顧客を抱え4,100社以上に採用されています。
プロダクト・ビジネスモデル
プロダクト
①Design ②Customer ③Product ④Employee ⑤Brand の5つのプラットフォームをプロダクトとして提供しています。⑥Servicesはコンサル的なもので、SaaS形式で提供されているプラットフォームではないようです。
簡単にそれぞれのプロダクトの内容を見てみたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614437/picture_pc_9c9f376d274be18b96fa33a8e70506ed.png?width=1200)
①Design
:変化する市場のダイナミクスと消費者行動を理解し、単一のシステムでデータと市場調査ツールを利用することで、市場のトレンド、変化する行動、満たされていないニーズを明らかにし、人々が次に望む体験を設計することが可能となるプロダクトです。
②Customer
:顧客関係のプロダクトでこちらがQualtricsのメインプロダクトです。
顧客のコメントやアンケートをダイナミックにデータ収集し、顧客にとって重要な問題を素早く提案してくれたり、地域における顧客の特性や様々な情報を可視化する機能が備わっています。
こういったアンケートは見たことある方も多いのではないでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614475/picture_pc_55da32356c170a1851b25736c275cfa2.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614518/picture_pc_dc628910280fee435ca3eb59617013da.png?width=1200)
③Product
:製品に関するプロダクトで、 製品ライフサイクルのあらゆる段階で顧客の意見を収集しデータ化、分析することが可能です。顧客からの意見を取り入れた製品を開発したり、製品のアップデートをすることで収益や使用頻度、ロイヤルティを向上 させることが可能です。
④Employee
:自社従業員に関するプロダクトで、従業員の研修などの体験に関して、フィードバックを求めることにより、従業員の満足度向上させると共に、社内の管理職・リーダーに対して推奨アクションを提示することが可能です。
最近は従業員の働き方や、会社に対する満足度も重視されているため、需要は大きいのではないかなと思います。
⑤Brand
:自身のブランドが市場においてどういった立ち位置にいるのか、競合他社と比較してどうなのかを可視化、分析することが出来るプロダクトとなっています。
プロダクト詳細は以下参照
https://www.qualtrics.com/jp/(日本語HP)
https://www.qualtrics.com/design-xm/(英語HP)
ビジネスモデル
収益モデルは売上の殆ど(8割)はサブスクリプション料となっています。
残り2割はコンサル的なサービス収入となっています。
NRR(Net Revenue Retention:売上継続率) は125%ということでなかなかの高水準となっています。
様々な業界の顧客を抱えフォーチュン100の85%以上が採用、ARR$100K以上の顧客は1,650社超となっています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614646/picture_pc_31f23571fa2d1563f8c13e6081b977e1.png?width=1200)
ARR$100K以上の顧客は21年3Qには前年同期比で38%で成長しており、20年3Qの29%や21年1Qの35%から成長しているのが素晴らしいと思います。NRRも上昇傾向となっています。
ARRとはAnnual Recurring Revenueの略で、毎年決まって得られる1年間分の収益のことです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614728/picture_pc_ac59042f0a42dbc24cc40da9b2154e57.png?width=1200)
海外展開も行っており、アメリカ外からの収入は28%となっています。日本にも拠点があります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614735/picture_pc_943681965bf54861a85821ac42729f61.png?width=1200)
業界別の顧客は以下の通りです。
上位3つの業界は、教育(685)、リサーチ(521)、マーケティング(332)となっています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88616253/picture_pc_591dc75ea3da4a8ab19054308d3ab8b4.png?width=1200)
地域別顧客数は以下の通りです。
米国が16941(72.18%)、英国が1349(5.75%)、カナダが952(4.06%)で、それぞれ上位3位を占めています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88616420/picture_pc_5292b0723b451cce7aee4f3d7f458ed5.png?width=1200)
市場動向
カスタマーエクスペリエンス管理市場は2020年に102億3000万米ドルと評価され、2026年までに271.3億米ドルに達し、予測期間(2021-2026)にわたって17.9%のCAGRで成長すると予想されています。
デジタル化の採用の増加、クラウドおよび人工知能ソリューションの技術的進歩、マルチチャネルタッチポイントの単一プラットフォームへの迅速な統合、および収益を増やすためのビジネス洞察を引き出すための顧客データの分析の必要性の増加は、顧客体験管理を後押しする主な要因の一部です。
ある調査によると、ブランドロイヤルティは、企業が5%から10%の収益を上げ、2、3年以内に15%から25%のコストを削減するのに役立ちます。これは、新規顧客の獲得に現在の顧客を維持するための5倍のコストがかかるためです。
Qualtricsのマーケットシェアは3.75%であり、主な競合はGoogle Forms(41.14%)、JotForm with(15.88%)、123FormBuilder(9.96% )などです。
業績
続いての業績内容について見ていきたいと思います。
2021年3Qの売上は$272million(約299億円)で成長率は前年同期比で+41%となっています。
粗利率は79%です。(サブスクのみだと90%)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614845/picture_pc_ff31d16c7104453168f2b2b1abc5fc31.png?width=1200)
21年の通年売上ガイダンスは$1,057millionでYoY+38%となっています。
3Qの営業キャッシュフローはギリギリプラスです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614919/picture_pc_e3e30c293b837ffdc2e99c4c80d6fa7e.png?width=1200)
21年3Qの成長率は前年同期比+41%で以前より加速しています。サブスクの売上も21年3Qの成長率は前年同期比+51%でこちらも加速しています。
懸念としては売上に対する営業費用が高く、営業効率があまり高くない点かなと思います。MagicNumerは0.5ほどと高くありません。(0.75以上で優秀、超優秀とされているCrowd Strikeは1超え)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88614958/picture_pc_6e0fc1f1ee96d1f6e290767bf2da1c15.png?width=1200)
経営者
会長
Ryan Smithは、クオルトリクスの創業者であり、エグゼクティブ・チェアマンです。設立当初は地味なスタートアップだった同社を、世界で最も急成長しているテクノロジー企業のひとつに育て上げ、世界25カ所にオフィスを構え、Fortune 100の85%以上、トップ100ビジネススクールの99校を含む1万3000以上の顧客を持つまでに成長させました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88621080/picture_pc_f982dd06ee2b9b7419d6c83d84c787d5.png?width=1200)
非公開市場において、クアルトリクスはアクセル、セコイア、インサイト・ベンチャー・パートナーズから4億ドルの資金を調達しました。当初上場予定だった3日前に、SAPがQualtricsを80億ドルで買収する意向を表明し、これは民間の企業ソフトウェア買収としては史上最大規模となった。2020年、QualtricsとSAPはQualtricsを独立運営企業として上場させる計画を発表しました。
ライアンは、画期的ながん研究を支援することでがん撲滅を目指すクラウドファンディング「5 For The Fight」を共同設立し、みんなに5ドルを寄付するよう呼びかけました。ライアンと妻のアシュリーは、2020年にNBAのユタ・ジャズを購入している。
CEO
Zig SerafinはQualtricsの最高経営責任者です。Zigは2016年に最高執行責任者としてQualtricsに入社し、Qualtrics Experience Management Platformの開発および立ち上げに尽力しました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88616533/picture_pc_434e1b2feb80975fff76f97685ddb072.png?width=1200)
彼はQualtricsを13,000以上の顧客へと急成長させ、2019年のSAPによるQualtricsの$8Bでの買収(当時、民間企業ソフトウェア史上最大の買収)を主導した人物である。
Zigは以前、Microsoftのコーポレート・バイスプレジデントを務め、Microsoft Teamsとなった数十億ドル規模のエンタープライズ・コラボレーション・サービス事業を主導しました。
マイクロソフトでの17年間のキャリアの中で、Zigは、マイクロソフトの先読みコンピューティング、音声/音声/視覚処理、位置/言語理解、地理空間データなどのサービスに関するプログラム管理および設計のコーポレートバイスプレジデントとして、マイクロソフトの人工知能プラットフォーム、Cortanaを開発したチームを率いた。それ以前は、マイクロソフトのTellme Networksの社長兼ジェネラルマネージャーを務めていました。
株価推移
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88621413/picture_pc_4007e6111dcd02d957036abccbcda197.png?width=1200)
記事をお読みいただきありがとうございます!^ ^もしよろしければご支援いただけると幸いです✨いただいたサポートはクリエイターの活動費に使わせていただきます!🙇♂️