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本のある日常

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書店員として働く私が、本のことについて書いたエッセイ集です。
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2024年5月の記事一覧

2週間後、文学フリマに初出店する

2024年5月19日(日)に文学フリマ東京38に出店する。 思えば、こういったイベントに憧れを持つようになったのは、5年ほど前にコミケに行ったときだった。 たくさんの人が自分でつくった同人誌を販売していて、「自分で作品を作っている大人がこんなにいるのか」と驚きと喜びで手のひらがジンジンしたのを覚えている。 自分で作品を作りたい、という思いはずいぶん長い間、漠然とした気持ちとして自分の中に横たわっていた。 その一方で、何かに手を付けてもすぐに投げ出してしまい、何かを成し遂げた

ああ、豊かな読書時間

よく、読書は豊かなものだと言われる。 それはもう言われすぎて、もはや紋切り型の常套句のようなものになってしまっており、私なんかはその言説に反発すら覚えるようになってしまったのだが、それでもやはり読書というものは豊かだなあ、と思うときがたびたびある。 最近、特にそれを感じた読書体験が2つ続いたので、この文章を書いている。 1冊目は『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』。 仕事がほとほと嫌になってしまった記者が、パリの有名書店「シェイクスピア&カンパニー書店」で過ごした