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本のある日常

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書店員として働く私が、本のことについて書いたエッセイ集です。
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2024年2月の記事一覧

一箱古本市で本を売る

一箱古本市を知っているだろうか。 本屋さんじゃない人でも、気軽に自分の本を売ることができるイベントだ。 本のフリーマーケットと言えば、想像しやすいかもしれない。 そんな一箱古本市に、私は今までで4回ほど参加している。 一箱古本市はとにかくお客さんとの距離が近い。 本棚を挟んで、すぐ目の前のお客さんが本を眺める。 おずおずと手を伸ばし、気になった本をパラパラとめくる。 そして、気に入れば、小銭を手渡しして本を買ってもらえる。 戸惑ったのは、お客さんに「この本おもしろかった?

ふだんは読まない本を読むという冒険

読書歴が長くなってくると、「自分が好きそうな本」というのが大体わかってくる。 そして、そうした本ばかり買って読むようになる。 たとえば私だったら、ちょっと暗めのエッセイや哲学、人文学などの人文書ばかり読んでいる。 だけど書店員をやっていると、ふだんは読まないような本を読む機会に恵まれる。 お店で売れている本はどうしても気になってしまうし、「これは売りたい」と思った本はできるだけ自分でも読むようにしている。 そんな自分の興味から少し外れたような本を読むと、毎回驚くのだが、わか

電車で本を読むという抵抗

通勤電車の中ではできるだけ本を読むようにしている。 もちろん読書がしたいからであるが、最近は私が本を読む姿を見てもらうことによって読書に興味を持ってもらおうという草の根活動も意識している。 読書に興味をもってもらうには、面白そうに本を読んでいる姿を見せるのが一番だろう。 それを電車の中で実践しているのだ。 電車の中で読書している人は本当に少ない。 たまに車両内を見渡してみるが、本を読んでいる人は一人もいないことが多い。 乗客のほとんどがスマホをいじっている姿を目にすると、書

本の帯どうするか問題

長年私を悩ませている問題がある。 そう、本の帯をどうするか問題である。 もともと几帳面な性格もあり、本の帯が捨てられない。 ただ、その几帳面な性格ゆえに読んでいるときは帯が手に当たって気になる。 かといって、本から外して取っておくと、本棚の上に謎の本の帯がワシャワシャしているコーナーが出来上がる。 本の帯はけっきょくどうするのが正解なのか、いいかげんこの問題に結論を出したい。 まず、どうして本の帯を捨てられないのか。 それは、なにかもったいない感じがするからである。 本の帯