コスパで考える学歴攻略法 藤沢数希
子供の教育には多大な費用と時間を割かねばならない。家庭の限られたリソースを使って、いかに効果的に果実を得るか。中学受験と高校受験ではどちらがコストパフォーマンスがいいのか。身も蓋もないが、子供にはできれば一流大学を卒業し、高い年収を得られるやりがいのある仕事に就いてほしい。そんな親心に応えるべく、膨大なリサーチと実体験をもとに、子供が現代の学歴獲得競争で勝ち抜くための戦略を論じる。
第1章 たかが学歴 されど学歴
第2章 日本の高校までの教育レベルは高い
第3章 学校のカリキュラムは何を目的に作られているのか
第4章 中学受験はダービースタリオンだ
第5章 格安の公立中学からの高校受験ルートで学歴獲得競争に勝つ
第6章 日本の教育に足りないものを家庭で補う
藤沢数希の受験についての考察です。相変わらずの理系頭なので受験も「コスパ」で考えてしまおうという筆者の姿勢がとても好きです。原発もコスパ。恋愛もコスパ(恋愛工学)。結婚もコスパ。
なんでもコスパで考える姿勢は文系女子から大いに嫌われそうですが、私はこの考え方が好きです。藤沢数希の本はすべて読んでいます。
受験をコスパの切り口で語るのは実に爽快でした。参考になったところを引用します。
この「名門大学を卒業」という肩書を得るために受験をすると言っても過言ではないと筆者は言います。もちろん勉強するために大学受験をするのですが、結局は就職活動のときに「○○大学卒」の人から採用される現実をみると、出身大学がその人間の生涯年収と密接にかかわることは否定できません。とにかくいい大学を出ることが大切なのです。
筆者は、名門大学卒になれば成金趣味のブランド品は買わなくても良くなるから、これもコスパが良いと断言します。
私達医者は大学に進学するのが当たり前の世界でしか生きたことがないから、世の中の皆が大学を卒業していると勘違いしがちですが、2020年でも大学進学率は54%なので日本人の半分は大学に行ったことがないことになります。我々は自分の実力だけで医学部受験を突破して医者になったから高給をもらうのが当たり前だと考えますが、初めから大学受験をさせてもらえる環境に生まれた時点で親ガチャに当たっただけだと考えてよさそうです。
これは東大、京大、旧帝大、早稲田慶応、上智、関関同立、MARCH、神戸、筑波などをあわせた一学年の人数が10万人以下というデータを提示して、この人たちが成績上位10%に入っていることを示したものです。逆に9割の日本人はこのレベルの大学にも合格できないような頭しかないと考えてよさそうです。9割の人は馬鹿ばっかりと考えて日々の生活を暮らしたほうがうまくいきそうです(小声)
日本の大学を教育は非常にコスパが良いと論じています。海外で大学に通おうと思えば、奨学金(借金ではなく本当の奨学金)を得て年間数百万円を払って、授業を真面目に聞いてレポートを書いてすごい努力をしないと卒業できないのですが、日本の大学は卒業がかんたんですので、まずは日本の大学を卒業してからキャリアを作ればいいというのが筆者の考えです。
なまじ受験戦争を突破したことのあるお父さんが子供に中学受験のノウハウを説こうとする場面がありますが、これはまったくのムダでコスパが悪いと切り捨てます。親はバックオフィスに徹するのが重要で、勉強はすべて塾に任せたほうが効率が良いのです。
すべてをコスパで考える筆者ですので、当然にこの結論になります。
サラリーマンだって仕事を辞めて自由に暮らす権利がありますが、その自由と引き換えに今より貧乏になることは確定しています。サラリーマンにとって、自由を得ることとは貧乏になることなのです。しかし、医師免許があれば高収入のまま自由に生きるという権利が与えられるのです。
物価が高いアメリカで大学に行くのはコスパが悪く、円安のいまこそ日本の大学に行って学歴をやすく買って、学歴を利用して海外でカネを稼ぐというのが一番コスパが良さそうです。
このようにコスパコスパでゴリ押しで論じる受験に関する考察です。
理系の人や、受験戦争の勝者には刺さる内容です。
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