新NISAで成功するための成長投資枠の活用方法とつみたて投資枠との併用術!
新しいNISAの「成長投資枠」とは、現行の一般NISAの役割を引き継ぐ非課税枠のことです。一般NISAと同様に、上場株式や投資信託など幅広い金融商品に投資が可能です。
成長投資枠を利用するときは、制度内容やもう1つの非課税枠であるつみたて投資枠との違いをよく理解し、自分自身の運用方針に合っているかどうかを検討することが大切です。
本記事では、新NISAの成長投資枠の制度内容やつみたて投資枠との違い、向いている人の特徴などをわかりやすく解説します。
新NISAの成長投資枠とは?つみたて投資枠や一般NISAとの違い
新しいNISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの非課税枠があります。それぞれの非課税枠の制度内容や、現行制度(一般NISA・つみたてNISA)との違いは以下の通りです。
ここでは、新しいNISAの成長投資枠の特徴をつみたて投資枠や現行の一般NISAと比較しながら解説します。
新しいNISAについて詳しくは、以下の記事をご一読ください。
年間投資枠は240万円
新しいNISAの成長投資枠は、1年間で投資できる金額(年間投資枠)が240万円に設定されています。一方の、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円です。そのため、成長投資枠はつみたて投資枠の2倍の金額を1年間で新規投資することが可能です。
また、成長投資枠とつみたて投資枠は併用が認められており、年間で最大360万円まで投資できます。
一般NISAの年間投資枠は120万円であり、つみたてNISAとの併用もできませんでした。新しいNISAの年間投資枠は、現行NISAと比較して大幅に拡充したと言えます。
非課税保有期間は無期限
NISA口座で新規投資した商品を非課税で保有できる期間(非課税保有期間)は、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらも無期限となっています。
一般NISAの非課税保有期間は5年であり、ロールオーバーを利用することで最大10年となります。ロールオーバーとは、非課税保有期間が終了したとき、翌年の非課税枠に移管する制度のことです。
このため、成長投資枠の非課税保有期間は、一般NISAと比較して大幅に延長されたと言えます。また、非課税保有期間が無期限になったことで、ロールオーバーは廃止されました。
非課税保有限度額は1,200万円(制度全体で1,800万円)
新しいNISAの非課税保有限度額は、全体で1,800万円です。ただし、成長投資枠のみを利用する場合、非課税保有限度額は1,200万円となります。
一方で、一般NISAの非課税保有限度額は、5年間で最大600万円です。そのため、成長投資枠の非課税保有限度額は、現行制度と比較して2倍に拡充されました。
また新しいNISAでは、保有する商品を売却するとその商品の買付金額に相当する非課税枠を再利用できるという特徴があります。
たとえば、成長投資枠のみで1,000万円の非課税枠を利用しているとしましょう。成長投資枠で買い付けできる金額は残り200万円です。このとき、200万円で買い付けた商品を売却すると、翌年に成長投資枠で買い付けできる金額が残り400万円に増えます。
対象商品は上場株式や投資信託など幅広い
成長投資枠では、現行の一般NISAと同様に日本株式や外国株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など幅広い金融商品に投資が可能です。また、投資信託については「インデックスファンド」だけでなく「アクティブファンド」の選択肢も豊富です。
インデックスファンド:日経平均株価やNYダウなどの指数と連動するように運用される投資信託
アクティブファンド:指数を上回る、または指数にとらわれない運用成績を目指す投資信託
一方、つみたて投資枠の対象商品は、つみたてNISAと同様に長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託です。そのため、商品の選択肢は成長投資枠の方が幅広いといえます。
ただし、以下については成長投資枠の対象商品から除外されています。
整理・監理銘柄
信託期間20年未満の投資信託等
高レバレッジ型の投資信託等
毎月分配型の投資信託等
株式については、証券取引所の上場廃止が決まっている整理銘柄や、上場廃止の恐れがある監理銘柄は対象外です。投資信託やETFについては、信託期間(投資信託の運用期間)が20年未満の商品や高レバレッジ型の商品、毎月分配型の商品が対象外となりました。
買付方法は一括投資と積立
成長投資枠では、一括投資(スポット購入)と積立のどちらの方法でも商品を買い付けることが可能です。
一方のつみたて投資枠は、商品の買付方法が積立のみとなっています。つみたてNISAと同じく長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度ということもあり、スポット購入は選択できません。
成長投資枠とつみたて投資枠のどちらを選ぶ?
新しいNISAを始めるときは、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらを選べばよいのでしょうか。ここでは、成長投資枠とつみたて投資枠が向いている人の特徴を解説します。
成長投資枠が向いている人の特徴
成長投資枠が向いている人の例は、以下の通りです。
幅広い金融商品に投資をしたい人
まとまった資金を投資する人
成長投資枠であれば、国内株式や外国株式、投資信託、ETF、REITなど幅広い種類の金融商品から投資先を選べます。つみたて投資枠の対象外である商品にも投資できるため、幅広い金融商品で運用をしてみたいと考えている方に向いているといえます。
また、成長投資枠は年間投資枠が240万円とつみたて投資枠よりも高いだけでなく、一括投資をすることも可能です。数十万円や百万円程度の資金をまとめて投資する人は、成長投資枠を選ぶことになるでしょう。
つみたて投資枠が向いている人の特徴
つみたて投資枠が向いている人の特徴は、以下の通りです。
投資の経験が浅い人
長期にわたる積立投資をしたい人
成長投資枠は対象商品が多いものの、投資経験があまりない人からするとかえって投資先を選びにくいかもしれません。
その点、つみたて投資枠の対象商品は金融庁の定める一定の要件を満たした投資信託に限られています。成長投資枠よりも対象商品数が少ない分、投資の初心者でも投資先を比較的選びやすいでしょう。
また、つみたて投資枠では長期投資に適しているとされている、運用コストの低い商品が厳選されています。短期的な売買を繰り返すのではなく、長期にわたる積立投資でじっくりと資産を積み上げたいと考えている人は、つみたて投資枠を利用するとよいでしょう。
成長投資枠とつみたて投資枠を併用するのも方法
現行のNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方しか選択できませんでしたが、新しいNISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が認められています。
たとえば、つみたて投資枠で積立投資をしながら、将来的に成長が見込める企業を見つけたときは、成長投資枠でその企業の株式をスポット購入することも可能です。
そのため、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらか一方に絞るのではなく、状況に応じて柔軟に使い分けるのも方法です。
新NISAの成長投資枠で投資する商品(銘柄)の選び方
続いて、成長投資枠で上場株式や投資信託に投資をするとき、投資先をどのように選べばよいのかを解説します。
投資信託の選び方
投資信託を選ぶときは、以下の点を比較するとよいでしょう。
投資対象
手数料・信託報酬
純資産総額
【投資対象】
投資信託の投資対象は、国内外の株式や債券などさまざまです。投資対象によって、リスクとリターンが異なります。リスクとリターンは表裏一体の関係であるため、片方が大きくなるともう片方も大きくなります。
投資信託を選ぶときは、受け入れられるリスクや目指したいリターンをもとに、自分自身に合った投資対象を考えることが重要です。
たとえば、ある程度に損失は覚悟のうえで積極的にリターンを狙いたいのであれば、投資先に株式が含まれた投資信託を選ぶとよいでしょう。より安定的に運用したいのであれば、比較的リスクの低い債券に投資をする商品を選んだ方がよいと考えられます。
【手数料・信託報酬】
購入時に支払う手数料や、商品の運用中にかかる信託報酬も、投資信託を選ぶうえで重要な要素です。
運用成果が同じであれば、手数料や信託報酬が少ない方が手元に残る金額は多くなります。
投資対象や運用方法などが似たような商品であっても、手数料や信託報酬は異なります。期待できるリターンが同じである場合、よりコストが低い商品を選ぶのも1つの方法です。
【純資産総額】
純資産総額は、投資信託の規模のことです。商品(ファンド)に投資をする人が増えたときや、投資家から集めた資金の運用先の評価額が上がったときに、純資産総額は増加します。
一方で、純資産総額があまりにも小さくなると、運用の継続が困難になって繰上償還(運用期間の満了前に運用が終わること)となる可能性があります。
投資対象や運用方法などの商品内容が似ている投資信託があるときは、純資産総額の推移を比較してみるとよいでしょう。
株式(個別銘柄)の選び方
株式の個別銘柄に投資をすると、将来的に投資先の企業が成長して株価が上昇したときに売却して、大きな売却益を得られる可能性があります。また、投資先の企業の業績が好調なときは、利益の一部を配当金として分配してもらうことも可能です。
ここでは、成長投資枠を利用して初めて株式投資をする方に向けて、銘柄を選ぶときのポイントをご紹介します。
【まずは身近な企業に投資をする】
株式の個別銘柄に投資をするときは、業績や事業内容、財務状況などをよく調べて分析し、将来的に成長が期待できる企業を選ぶことが重要です。
とはいえ、世の中には膨大な数の企業があるため、その中から将来が有望な企業を選ぶのは困難でしょう。そこで、初めて株式投資をする人は、日ごろから利用する機会の多い商品やサービスを提供する企業を選ぶのも1つの方法です。
自身にとって身近な企業であれば、まったく知らない企業よりも事業内容や経営方針などを理解しやすいでしょう。また、企業が提供する商品やサービスの良し悪しを、ユーザー視点で判断できるため、今後の成長性を分析しやすいと言えます。
【株主優待の内容】
日本国内の企業が発行する株式に投資をするのであれば、株主優待の有無や内容をもとに、投資先を選んでみるのも手段です。
株主優待の内容は、自社商品の詰め合わせや飲食店の割引券、レジャー施設の優待券などさまざまです。日用品や食料品、自宅の近くにある飲食店の割引券など、日ごろの生活に役立つものを優待品として受け取ることができれば、家計を楽にできるでしょう。
株主優待は、売却益や配当金と並ぶ、現物の株式投資のメリットの一つです。成長投資枠で国内株式の個別銘柄に投資をするときは、株主優待の有無や優待の内容も比較してみるとよいでしょう。
成長投資枠の対象商品・銘柄を確認する方法
成長投資枠の対象商品のうち、投資信託やETF、REITについては投資信託協会のホームページで公開されています。
投資信託協会のホームページ内にある「対象商品リスト」から、エクセルファイルをダウンロードすると、成長投資枠の対象商品を確認することができます。対象商品のリストは、2023年6月〜12月までのあいだ、毎月1回(12月のみ2回)更新される予定です。
また、証券会社によっては、成長投資枠の取り扱い商品をホームページに掲載しています。各社のホームページに掲載された取り扱い商品も比較して、新しいNISAの口座を開く金融機関を検討するのも1つの方法です。
まとめ
新しいNISAの成長投資枠では、国内株式や外国株式、投資信託、ETFなどに投資が可能です。年間投資枠は240万円とつみたて投資枠よりも高く設定されているだけでなく、スポット購入と積立のどちらにも対応しています。
幅広い金融商品に投資をしたい人や、まとまった資金を投資する人は、成長投資枠を利用するとよいでしょう。成長投資枠とつみたて投資枠のどちらを優先して利用すべきか判断に迷うときは、金融機関やFPなどの専門家に相談するのも方法です。
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