DISPLAY、余韻冷めやらぬうちに。

OCTPATH JAPAN TOUR 2023 -DISPLAY-
2023.02.11〜03.29

デビュー2年目の彼らが、数々の逆境の中で魂の限りをぶつけ合って昇華させたエンターテイメント。

会場に入ると、古代ギリシャを彷彿とさせるオブジェにレースのカーテン。そして、正面にはピアノの鍵盤を模した階段が目に飛び込んでくる。

「ここに何かがDISPLAYされる」

見てすぐ分かる、舞台というよりは「入れ物」「器」に近いものを感じた。

彼らが、彼らのエンターテイメントが、この場所に展示されるのだ。何公演入っても、毎度ワクワクが止まらない。

早く会いたい、まだかまだかと待ち侘びる観客に、語りかけてくるのはAI。

『この6つの作品を、どう感じ、どう楽しむかはあなた次第です。』

…なるほど。
冒頭にそのようなガイドがあったからには、個人的に感じたことを自由に綴らせてもらおうじゃないか。

DISPLAY、文章に落とし込んでいこう。

0. OP映像

不穏な音楽と共に映し出される映像。
敷かれたレールの行き止まりに、仮面を付けた真っ黒なマネキン。
そこは真っ白な無機質空間。

「自然」「足跡」といった、ある意味とても人間らしさを感じた『MY PATH』のそれとはまるで真逆である。

「敷かれたレール」は何を意味するのか。
個人的に考えついたのは2つ。

一つは、我々が何かアトラクションのようなものに乗ってこの世界、展示会に招待されている。だって、入口で受け取ったもの。招待状。
導かれた先に、彼らが展示されていたのだ。

もう一つは、彼らなりの世間に対する皮肉。

 MY PATH:自分たちの意志と歩み、そこには何か希望があった。
 DISPLAY:敷かれたレールに従った先で閉じ込められてしまった、ある種の絶望。

無我夢中でもがき歩み続けた1年目と、数々の苦しみの先に辿り着いた2年目。

見える世界がまるで違う、そしてきっと、彼らに見えている世界も。

こんなにも真逆な描写をたった半年でやってくるとは。脱帽。

ドゥーーーン(低音)

“OPEN YOUR EYES” (栗ちゃんのお目目、美。)

…黒いマネキンが目を覚ます。始動した6人。
そして彼らもまた、「仮面」を付けている。

半分に割れた仮面、カラフルに照らされている。「変幻自在に染まる仮面を被り、彼らもまた変幻自在となる」
とでも言いたかったのか。

それとも、
「アイドルとしての仮面と、本性の表裏一体」
を描きたかったのか?

…ん?表裏一体、どこかで聞いたような…?

RunのMVやん!!!!!!!

そして、彼らは仮面を外す。
鳴り響くサイレンと共に、彼らが展示場所を飛び出してしまう。

始まるのは、、、表題曲Run。

1. Show

Run→Showtime→Like
「等身大のOCTPATH」

表題曲「Run」から始まる。そりゃそうだ、アルバムの顔。変幻自在の象徴みたいな曲だもの。

初っ端から「頂点へ導くさ」「輝く玉座」…強い野心的な言葉と疾走感で一気にボルテージを上げてくれる、大変OCTPATHらしいスタートである。

続いて「Showtime」へ。Runを一曲目に置く以上、歌詞的にもこの曲を置ける位置はここしかない。だって「Showが始まる曲」なんだもの。
と、ここで「Showtime」の真の良さに初めて気付いた話。
「ステージの幕が上がる」「全部見せてあげる」「ついてきて」「始めようThis is our show」……Showが、ステージが、Displayが始まるための曲であることは間違いない。

それに加えて「その目に焼き付けて」「遊び尽くせ」「後悔しないように」と、THmeにもメンバー自身にもその「一度きりしかない瞬間を、公演を大切に楽しみ尽くせ、心に刻め」という強いメッセージ性。
メンバーも私も最終公演を惜しんでいたオーラスのShowtime は格別だった。真価を発揮していた。

そして、「Like」よ…神曲…
Showtime →Likeとかいう私の好き曲TOP2が並んで来てしまった。天才。

いやしかし、Likeの位置、ここが大正解なのよ。

・アルバム新曲が最初から2つ続いた
→そろそろシングル曲欲しい
・特別なデビュー曲はラストに残したい
・Perfectも別の役割で使いたい
・”Do what you like”という「等身大の自分」に対する強いメッセージ性

…Likeしかないやん。

「野心溢れる表題曲」→「ストレートなShow始まりの曲」→「最新シングル曲」

「等身大のOCTPATH」を表現するのに最適な3曲すぎて、本当に朝までセトリ考えてくれてありがとう…(結局そこ) 

2. Wonder

Playboy(Bump)→Hot Thoughts
「OCTPATHになる前の、彼ら」

Wonderという言葉の意味は色々ある。
・不思議
・疑い
・驚き
・好奇心

すごく、不安定な言葉だ。
OCTPATHになる前の彼ら、不安定で行く先も分からぬ彼ら。

その世界は、「Playboy」からスタートする。

THme Domeで衝撃の大差を付けてファン投票でアンコールされるくらいの大人気曲、正直セトリ落ちかアンコールくらいだと思っていたので、4曲目に組み込んでくれたことに大変ありがたさを感じる。
最初の立ち位置だけで観客がざわつくほどの人気曲、”Wonder”の立ち位置らしい。何故だろう。

この曲のストーリーを考えてみよう。
「君のことを口説き落とそうとしていたら、僕の方が君に惚れてしまった」である。

さてWonderで表現されている、
「OCTPATHになる前の自分たち」

…それは紛れもなくプデュなのだと私は思う。

プデュって、最初は「国民プロデューサーを虜にしないと、惚れさせないと」って練習生は必死になるはずなんだよね。
でも、次第に国プのことが好きで大切でたまらなくなってる。
Playboyそのものじゃないか。
「国プ」は「THme」に置き換えられもするよね。

これだけTHmeのこと愛してくれるOCTPATHならではのPlayboyの使い方すぎて、ますます大好きになっちゃった。(個人的解釈です)

※BumpをWonderのストーリーに組み込もうとしたけど私には無理だったのでパス(Breakっぽいんだよなぁ)

そして、ファッションショーのランウェイのような時間。すごく無機質。スタイリッシュだけれど、なぜか無機質。まるでショーケースの中のマネキンのよう。プデュ中の彼らなの?
まるで、IT’S A BOP のMVみたいじゃないか……

プデュ中の自分たちを、やや冷めた目で傍観して表現するOCTPATHさん好きだなぁ…
しかも「Wonder」という言葉で…

さて、続いて「Hot Thoughts」だが、この曲は大変分かりやすい。
夢に敗れた人がまだ心の中で燃え残る気持ちを昇華させていく、再度立ち上がる曲だもの。
これはプデュ脱落後の彼らを表している。
それぞれのストーリーがあって、一人一人が別の場所で時空間で生きている。個々の葛藤は、次第に集まっていく。一つの拳が、みんなの拳になっていく…

そう思うと、「Playboy(プデュ中)」→「Hot Thoughts(脱落後)」というWonderのストーリーに完璧に沿ったセトリなのである。
本当に朝までセトリ話し合ってくれてありがとう(結局これに尽きる)

3. Break

Mind Blaster→Lip Service
「自分の殻を破る、壊す」

正直オーラスまで、どこまでが何の括りなのか分かってなかったけれど、答え合わせ後の今、ものすごく納得するセトリたちである。

まずは最初のストリングス演出。

前曲のHot Thoughtsで燃え残った心の炎を蘇らせたところから、まるでダークヒーローが再起するようなストリングス。

最初はここにストリングスが入る意味が分からなかったけれど、恐らくここがOCTPATH結成の瞬間なのだ。

そこから始まる「Mind Blaster」はカッコ良すぎるのですよ。だって下剋上の曲だもの。
「勝者の笑みもそこまで」「ほらどきなよGame is over」
この歌詞がここまで刺さるのはこのセトリだから。自分の殻とデビュー後の壁をぶち壊す、Break.

続く「Lip Service」は色んな意味でぶっ壊れそうになるブチ上がり方をいつもしていたからBreakそのものっぽいけど笑、意外とこの曲は歌詞が残酷。
派生グループとしてデビューした彼らに向けられる世間からの「ノイズ」や「ディス」を最高のパフォーマンスで正面からぶち壊す、BreakするOCTPATH、かっこいいんだよなぁ。

うん、全セトリに大納得である。大好きだ…

4. Expression

最初のAIが語る言葉、終わってみてから考えると色々と深そうである。
「個性を表現」するためには何かに対する「愛」がないと出来ないし、一度自分や自分の限界、世の中の固定概念などを全部「壊して再構築」しないといけない。(ごめん「不思議」は私の言葉では組み込めなかった)

そして、壊したものは再構築するときに必ず元通りにはならない、だから「再構築」という言葉だけ少しAIがぶっ壊れて言い始めるのだろうか。

全部取っ払って壊して、時を巻き戻すようなSEが流れて、始まるのは「人が発するリズムと音と動きだけ」の言わば原始的な表現のステージ。原点回帰からExpression を始めるOCTPATH、信頼しかない。

オリジナルダンス→海帆ビートボックス→オリジナルトラックでのラップ→全員登場でのダンス

それはMY PATHでのShowcaseを思い出させる、でもそれは確実に進化していて、だからこそ海帆の言葉は「We are OCTPATH haha」から「OCTPATH Next Level」に進化している。

いや〜〜〜〜好きですわ〜〜〜(唐突

とか思っているうちに、バラード帯が始まります。オラオラな雰囲気を一瞬に浄化できる古瀬様の素晴らしいソロダンス。EXPRESSION.

ピアノバージョンとハンドマイクほぼ被せなしの生歌、世界は「雨」に沈んでいく。
6人で「あなたの顔もあなたの声もどうやっても忘れられる訳ない」「もう戻れない想い出も全て一緒に今」……深い雨に沈みたい。沈んだ。

さて、降り出した雨が止まない。困った。
ここで、彼らは観客席に助けを求めるのだ。

MY PATHに引き続き、「観客と一体となって初めて完成する演目」をやってくれるOCTPATH、本当に優しい。

自分たちの歌で、表現で降らしてしまった雨を、パントマイム/コントという別の表現で客席と一緒になって虹へと変える、ちょっと寄り道してかわい子ちゃんが2人水溜りで遊んじゃうけど、晴れた先には「All Day All Night 君のことを思う」そんな曲を届けてくれちゃうのだ。

一度壊して再構築して、ゼロから自己表現したら雨が降ったけど、最後はTHmeと一緒に虹をかけて、幸せいっぱいの前向きな気持ちになって終わるExpression、すっごい好き。

最後に「THmeありがとう〜」って言ってくれるけれど、こちらがありがとうである。

最高のExpressionをありがとう。

5. Bond

Perfect→Best Shot→IT’S A BOP
「THmeとの絆を深める」

「絆を深める」「一緒に楽しむ」という意味で分かりやすいと言えばそうだけれど、PerfectとBest Shotの2曲には違う思い出と側面があるよなぁ。

すごく明るくて楽しくて声出しも出来たPerfectだけど、私はこの曲は最初に6人になっちゃった時の辛い時期と重なるから単純な気持ちでは聞けなくて。
でもだからこそ、満面の笑顔で彼らが歌って踊ってくれて、THmeも一緒に声を出せて、どんな状況でも前を向いていける気がする。そんな強い曲だと思ってる、そんな絆だと思う。
いつか幸せの笑顔を浮かべながらPerfectを全員で歌える日が来て欲しいな。

そして、「Best Shot」ですよ。この曲の歌詞って「今度はいつ会おう?」「会えなくても君のこと隅から隅まで知りたい」「いつだってgive it my best shot」って。
しばらく会えないTHmeが聞いてすごい元気をもらえる、むしろそんな人に向けた曲なんだよねきっと。そんな曲を観客一人一人のスマホにプレゼントしてくれるOCTPATHさん、本当に優しいんです。

声出し→撮影可能、とファンとの交流と絆を深めた先に最後待っているのはデビュー曲IT’S A BOP。
「いつも僕らはここで繋がっているよ」と言わんばかりの、8人の大切なデビュー曲。

Wonderで「夢を描き敗れ」
Breakで「自分と世間の壁をぶち壊し」
Expressionで「自己表現をゼロから構築し」
Bondで「ファンとの絆を深め」

たどり着いた先が、IT’S A BOPて。
泣くが……

オーラスの太田の涙を思い返すだけで、その裏にあるであろう様々なメンバーの葛藤に心が苦しくなる。お願い、みんな幸せになって……

6. Dear

「THmeに向けた感謝を伝える」最後のパート。

OurPATH、ここでは何も書きません。歌詞と彼らの歌が全てです、ありがとう。

Highway、この曲が最後だなんて予想もしなかった。でもね、持つパワーがすごいの。「もう今日は会えないけど、また一緒にどこか遠くへ行ける気がする」そんな気分にしてくれるの。笑顔で、一瞬のお別れを、最後の瞬間を楽しめる最高の曲なんだな、Highwayって。

そしてオーラスだけ、ダブルアンコール。
Be with you.

ずっと特別な曲だったこの曲。セトリ落ちした時、まぁ確かにOur PATHとちょっと役割被るしなぁ…とは思いながらも正直びっくりだったから、「そうかこのためのセトリ落ちだったのか」と。やっぱり、特別だった。

メンバーに対しても、THmeに対しても、「いつも君のことを思っているよ、これからもずっと一緒だよ」ってこんなに優しい言葉で伝えてくれる曲は、きっとこれからもずっとこの曲しかないもの。

優しい8人の曲、大切な曲。ほんま大好きやで。ありがとう。

ピアノの鍵盤を音楽と共に歩いて登場した彼らは、再び鍵盤を駆け上がり、元の世界へ戻っていく。

展示会は終わってしまった。もうこの作品は見ることが出来ないのだ。

あっという間の刹那だった。彼らもTHmeも一瞬で駆け抜けてしまった。でも、幸せだった。生き甲斐だった。参加して良かった。

11公演、本当にお疲れ様でした。
最高のDISPLAYをありがとう。

また会えますように。また、いつか。

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