2021年春分の日の発酵ワーク、オホゲツヒメの五穀味噌仕込み
2021年3月20日は春分の日でした。
占星術では太陽が魚座から牡羊座にイングレス(入宮)する日です。
サビアンシンボル、牡羊座1度
女性が海から上がってきた、アザラシが彼女を抱きしめている
(A woman rises out of water, a seal rises and embraces her.)
牡羊座1度のサビアンから連想させて、春分の日の発酵ワークは、
海を人間のアーキタイプ(原型)に連想して、日本神話で語られる、
オオゲツヒメの五穀(米、麦、粟、小豆、大豆)を材料に五穀味噌を仕込んだ。小豆は皮が厚くて、麹にするのは断念。
1年前の春分では、前代未聞のロックダウンがちょうど始まり、私が予定を組んでた仕事やプロジェクトが全て白紙になった。あれから1年経って、今もスイス政府のコロナ対策については、現在でもイベントどころか、レストランも営業禁止の状態である。私は、これから2021年は創作活動に集中することを決意した。とりあえずは、飲食業界に今のところ戻る気はない。
魚座の季節はたくさん読書をして、神話とユング心理学の世界にも触れ、クラブハウスでは古事記や神道の学者さんに現役の神職の方、占星術師の方々のフラットな感じでのお話を聞ける機会が舞い降りたのもすごいご縁だったし、2021年の創作活動へのモチベーションの焚き火が絶えないように、私は春分の日に、どうしても、フィクション的な世界、神話の世界、人間のアーキタイプという大海原からアザラシに抱かれた彼女(味噌)を海の外へ上がらせたくなった。
私の得意技である、麹作り、味噌作り、五穀の材料を発酵熟成させて、半年後の秋分の日に収穫する。その時には、今創作してることが収穫として、形になっているように願をかけた。味噌玉を丸めながら、アザラシが五穀味噌の壺を抱いて、ぬうっと海から上がってくる様子を想像してみた。
現在、発酵ブームとか、世界で麹が注目されていて、Instagramを覗いても、世界中で味噌や麹を作りたいと、興味を持っている人々がこの数年で爆発的に増えた。味噌作りを外国人に教えたり広める人たちも増えて、発酵マイスターとか、発酵認定講師とか、発酵や味噌を資格としても習得できるらしいし、発酵や味噌を教えてるとか、狂的にハマってるとか、そんな方々にも、ぜひ、物語を吹き込む味噌、ミュートス(神話)が生きる味噌、そんなことも創造発酵してみるのも面白いですよー、なんて訴えてみたい気分にもなった。
発酵させるというのは、ある意味、命を宿らせて育む行為。その行為には、フィクションとしての物語も、星のリズムに合わせて仕込むことも、目に見えて触れることができる食材以上の見えない感性を吹き込むことができると私は思っている。発酵仕事をしてくれるのは見えない微生物たち。
人間は微生物の環境を整えて、視覚化はしない意図を味噌に吹き込むことができる。私がたまに唱えてる、錬金術と錬菌術だって、単に語呂合わせだけを込めているだけではない。
発酵食品を作る時、
●火で大豆を煮たり、米を蒸したり、温めたり
●食材は土がないと育たず、発酵の行為では食材を土とみなす
●どの発酵食品を扱うかによって、空気に触れさせる工夫や、逆に空気に触れないように工夫をするとか、airという元素について慎重に風としての工夫と知性も使う
●水にしても、発酵には水分調整という工夫も慎重にしないといけない
つまり、4つのエレメントを慎重に扱い、全ての環境とバランスが整った上で、
美味い!という賢者の石が出来上がるのである。4つのエレメントのうち、どれかが上手く整わなかったら、美味い!は成立しないのだ。発酵には、錬金術を錬菌術としてのストーリーを吹き込むことだってできる。
スサノヲが高天原から追放された後、オホケツヒメに食べ物をねだり、オホケツヒメという女神は、鼻や口や尻から食べ物を生み出し、スサノヲはその行為を汚いと怒り、女神を殺した。殺された女神の頭に蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、股の間から麦、尻から大豆が生まれ、この五穀をカムムスヒの神がこれらを拾い、五穀の種を誕生させたという神話である。
スサノヲが何で女神を殺すのか、なぜ女神は尻や鼻から食べ物を出すのか、腑にも落ちない不思議で奇妙な話だけど、食べるという行為には、犠牲が伴うということがキーワードではないのかとも感じた。今回のこの五穀味噌は、米はイタリア産だけど、麦、粟、大豆、小豆はスイス産の食材で仕込むことができた。
神話の五穀はこの土地でも聖なる五穀として広まりだしている。
欧州で味噌や日本食が注目され、日本の五穀もこの土地でも生産され、食材集めには全く困らなくなった。だから、人間のアーキタイプとしての神話は、遠い日本の昔話ではもはやなく、ここ欧州でも生きた神話として、人々の心に響き、更には腑(腹)に落としこむことができると私は思った。
神話の話の節々は、生活のあらゆるところで生きている。そしてその節々は、今回私がオホゲツヒオメと五穀味噌をもじったように、自分でつく入りあげることもできる。人間は、繋がりがないような事情から何かが繋がってることを発見したり、連想してキラーン!と頭が光った時を、その連想連動が思いつくときに、言葉では表せないような幸福感を感じ、コレをコレスポンダンス(Correspondances)とも呼ぶ。人生の中で、あなたはどれくらいの数だけのコレスポンダンスを体験するのか、「風の時代」新時代に乗りたい!とか、風の時代に何をしたらいいの?とか、思われてる方は、まずは、コレスポンダンスという言葉を理解し、生きてる間に何回のコレスポンダンスを体験できるのか?を考えてみるといいかと思います。まずは、神話を自分の心の中に育むのは、いい取っ掛かりになるかと思います。
そして私は実際に占いをする時も、霊感やスピリチュアルを扱う分野の占いではなく、星の動きやタロットカードの象徴と、相談者の心理や状況をいかにコレスポンダンスしてあげれるか、そしてコレスポンダンスした象徴やひらめきをその方にどれくらいわかりやすく物語として語れるか、ということに全集中します。
発酵も、料理も、神話も、占星術も、好きで好きでずっと積み重ねてきた、これらをどれくらいコレスポンダンスして、私は人々に伝えることができるのだろうか、表現することができるのだろうか、まだまだ大海原のど真ん中にいる気もし、春分の日に、大海原から五穀味噌を抱いたアザラシが上がってくるイメージワークをやってみた、という話。
参考文献
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