1億円の低カロリー
「これは、富裕者であるあなただけへのプランです。」
僕は半分呆れていた。
低カロリーのこんにゃくゼリーが1億円って。本当だろうか。
「何か特別なものが入っているんですか?」
「いえ、こんにゃくベースなんでほぼ水です。」男は平然として答えた。
「じゃあ、買いません。」
「人間はそんな単純な感性の生き物でしょうか?」男は切り出した。
「それぞれ持っている感性が違う各個人の消費という行為を、世間一般の基準に合わせてしまうのは間違っています。1億円をこれに使うのはシュールだと思いませんか。」
「シュール?いや、1億円は無いでしょう。」
男はあっさりと諦めるように立ち上がってから話し始めた。
「あなたは選ばれた人だったのですが…。これを1億円で買うっていう体験をした人間は、恐らくこの地球ができてから今日まで唯の一人もいないはずです。この体験が1億円で買えるって高いでしょうか?」
僕は言ってしまった。「あ、ちょっと待って下さい」
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