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05.夏の飼育ケースの扉

夏といえば、と問われて答えることの1つにカブトムシがある。イメージはそうなのだが、青い空と入道雲をバックにうるさく鳴くセミとは違って、カブトムシは基本的に夜に動き出す。そういう意味では、単純な夏好きとは違って、ちょっとだけミステリアスなイメージがあった。

僕は社会人になってからもカブトムシが好きで、今年はオス、メス一匹づつのカブトムシをケースに入れて飼っている。平日夜遅くに帰ってきて、照明を暗くし、カブトムシを見ながら酒を飲むっていうことが日課になっている。

ただ、土の中にいることも多く、いつも見れる訳ではない。ある日、いつものようにTVをつけながらカブトムシを見ていたのだが、飼育ケースから目を離した数分のうちに見えなくなった。

「また土の中にもぐったか…」と思っていた。
あまり気にはしていなかったのだが、TVの横に黒い影がいるのに気がついた。何だ?そう、カブトムシはいつの間にかTVの横にいたのだ。ケースのフタはしっかり閉まっていたはずだ。何かの拍子に空いてしまったのか。改めて閉まっていることを確認した上でケースに返した。

しかし次の日の朝もまたケース内に見えなくなり、腐葉土の中をさぐってみたのだが、見当たらない。飼育ケースから外側へのワームホールでもあるのだろうか。

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