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クラシック批評こてんぱん 鈴木淳史著 洋泉社新書Y(2001年8月発行)

某全国チェーン古書店で出会いました。タイトル買いです。ネットで探す限り、新刊では手に入らなさそうです。

どんな本かと言いますと、一言で言えば「批評家を批評する」というものです。「揶揄」ともとれますが、ギリギリのところで踏みとどまっている感じですね。近いものとしては一時期はやった「新解さん」シリーズのような感じでしょうか。

自分でもアマチュアの音楽活動をしていて、批評ではないものの楽曲の紹介文を書いたりしますが、プロの批評家の文章をみるにつけ、「どうやったらこんなに書けるのか」と同時に「何言ってんのかわからんよなぁ」という感想を持ち続けていました。
本書ではそのあたりが「ずばっ」と一刀両断されています。構成はこんな感じ

第1章 クラシック批評、読めば読むほど…
第2章 音楽批評をとことん面白がる—音楽批評の仕組みの考察
第3章 音楽批評から時代の気配を読む—日本音楽批評史私観
第4章 サルだと書けない音楽批評—音楽批評実践講座
第5章 クラシック批評との付き合い方—美しい日本の批評

代表的な批評家の文章をとりあげて、言いたい放題ですね。ただ、「けなしている」というよりは「褒めながら皮肉を交える」という感じがいいですね。
それにしてもこの著者はどれだけ批評を読んでいるのだろう。批評文を集めるだけでなく、音楽にも精通していなければここまでは書けないですね。すごいなぁ。

本文では音楽用語はそれほど多くありませんが、名だたる指揮者や楽団名称が次々と登場します。それらにアレルギーのある方にはお勧めできませんが、クラシックに馴染みのある方には楽しめる一冊だと思います。

ちなみに本書は著者の名前が間違っていて「敦史」ではなく「淳史」が正しいです。本書の裏に「言い訳文」が貼ってありました。

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