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マンガみたいにすらすら読める哲学入門 蔭山克秀著 だいわ文庫(2017年1月発行)

ラジオやPodcastなどで歴史とか宗教とか人類学とかの番組を聞くのが好きなのですが、そんな中でよく聞くのが「哲学がすべての基礎」という言葉です。

哲学と言えば暗い部屋で「自分は何のために生きているのか」をぐじぐじと考えるという偏見たっぷりのイメージしかなかったのですが、そこまで言うなら読んでみようと思い立ちました。

とはいえ、何も知らない中であまり難しいものは読めないなぁと思っていたときに出会ったのがこの本です。

読んでみて哲学に対する偏見が吹き飛んでいくのを感じました。ここで扱われているのはギリシアに始まる西洋哲学なのですが、素人ながらの感想で言えば、哲学は世界・人間はどのようにできているのか、あるいはどうあるべきかを考える(捉える)ものなんですね。そう考えると物理学や生物学などに通じるものがあると感じました。

そして、その考えが世界に確実に影響を与えて、世の中の常識(思想)が変わっていくのですね。だから本書では主だった哲学者の思想に加えて当時の世相やその後の歴史的推移にも触れられています。これが面白かった。

同時にそれぞれの哲学者が、どのような家族・成長環境からそれぞれの思想を導き出したのかにも触れられています。あくまでも事実中心に書かれているため、著者の評価は(明確には)述べられていませんが、文中から「それはいくらなんでも・・・」というニュアンスが読み取れてそれもまた面白かったですね。

取り上げられている哲学者の中ではハイデガーの思想に興味がわきましたが、それ以外は全体に難しそうなのでこれ以上深入りはしないと思います。

この本は「歴史はそこそこ知っているけど」「西洋哲学は聞いたことあるけど」「なんか新しい発見はないかな」と思っている方にお勧めです。一方で歴史に詳しい・西洋哲学に詳しいという方には「いまさら」という感じになるでしょう。

またこの本はあくまでも「マンガみたいに」であって、「マンガ」ではありません。ちょっと笑えるイラストはついていますが、内容は文章(平易でわかりやすいですが)ばかりなので念のため。

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