ウエハースの椅子/江國香織
どうも。Kabaddiです。
9月は毎日更新。
どんなことがあっても言葉を書いていきます。
好きな作家さんがインタビューで語ったなかで好きだった言葉に
「言葉で書くと真実になるんです。僕らにとってはそれがすべてです。」
みたいなのがあったんですが、まさに言葉にはそれだけの力があるよなぁと最近は思っています。
今日は最近読んだ本から気に入った言葉をご紹介。
ウエハースの椅子/江國香織
過去の記事を読んでもらえると分かりますが、2018年に1年間で100冊の本を読む、と決めて100冊読みきった1年間を過ごしました。
その中で出会った作家が江國香織でした。
精緻というか、温度で言えば冷たいような文章ですっと心の中に入ってきて、ところどころをぼうっと暖かくしてくれるような、そんな作品にたくさん触れてファンになりました。
今回は「ウエハースの椅子」。
30代を過ぎた女性が画家として暮らしながら、自分の過去にあったことを振り返りつつ、「自らはどうしてこのように構成されたか」という視点から人生を考える、そんな小説だと思います。
恋人や妹や妹の恋人、近所の猫や亡くなってしまった両親など、身の回りのものすべてが自分を構成していて、特に恋人が構成してしまっているこの世界からはもう逃げられない、そんな考えが湧いてきてしまう女性の頭の中に入った気分で読みきりました。
気に入った言葉は
死はやすらかなものだ、と、私と妹は考えている。(中略)それはいつか私たちを迎えにきてくれるベビーシッターのようなものだ。私たちはみんな、神様の我儘な赤んぼうなのだ。
のように示される死生観の安定したような、悟ったような部分だったり、
恋人がすべてであると感じるのではなくて、恋人といるときの私がすべてだと感じる。
のような哲学的でありながら恋に溺れる思想を描いた部分だったり。
十分に「日常である」ということが示されながら、普段では気にしていないと通り過ぎてしまうような感覚を言葉にして本にしてある、そんな本です。
気になったら書店で手にとってみてください。
それではまた明日。
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