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「プロっぽい」という言葉の罠!

動画を扱った書籍とか、講座とか、YouTubeとか、よく見られるのが「プロっぽい」という言葉だ。プロっぽい表現、とか、プロっぽい効果、とか。
「プロっぽい」などという言葉に惑わされるべきではないと思います。

そもそも「プロ」とは何か?

この場合の「プロ」とは「プロフェッショナル」という言葉の略です。
Professional、とはそのまま直訳すれば「職業的」ということになる。

つまり、動画を作るのを職業にしている人が「動画制作のプロ」と呼ばれるわけですな。

職業というのは、どんな場合でもあてはまる。
たとえば、町の定食屋の板前であれ、高級料理店のシェフであれ、料理人は「料理のプロ」であります。

専業主婦のお母さんも、ある意味「料理のプロ」です。

そこに上手下手という基準はない。
普通の料理好きに劣る料理を出している料理人なんか、ざらにいます。
それでも、それを職業にしている、ということであればプロフェッショナルです。

スポーツにおけるプロとアマチュア

なぜか「プロ=上手」というイメージがつきまとうのには、スポーツが関係しているのではないか、というのが私の推測です。

スポーツの世界では最初からプロとして始める人はいません。

まずアマチュアでプレーを学び、成績を上げてプロに進みます。

野球で言えば、少年野球からはじめて、高校野球で成績を上げて注目される。そしてプロ志望届けを提出し、ドラフト会議で指名されることによって、はじめてプロ野球選手になれます。

アマチュアとしてもっとも優秀な選手のごく一部だけが、プロになれるわけです。

スポーツにおいては、「プロ>アマ」が自然と成立している。
しかし、他の分野ではそうではありません。

映像制作におけるプロとアマチュア

私がやってきたのは映像制作ですから、その世界のことを述べましょう。

映像制作においても、アマチュアで実績を上げてからプロになる人はいます。たとえば自主映画で注目されて、商業映画の監督になる人など。

しかし多くの映像人は、最初からプロの世界に入っていきます。
映像制作を教える専門学校や大学の芸術学部などから、映像制作会社に入社するとか。
私のように映像とは無縁の大学学部から、映像制作会社に入った者もいます。

私自身について言えば、アマチュアとしては、高校時代に文化祭で上映する映画を8mmフィルムで作った程度の経験しかありませんでした。それも部活ではなくクラスで制作したものです。

最近では、カメラや編集に使うPCなどが低価格になってきたので、映像制作業界を経ずに、いきなり映像制作分野で起業する人なども多いと思います。

プロとアマチュアは何が違う?

こういう世界においては、「プロ>アマ」という図式は成立しません。

職業としてやっている者のほうが、場数を踏んでいる、という違いはあるでしょう。場数を踏めば、技術やセンスは磨かれていきます。

しかし、根本的にちがうのは「金をもらって制作しているか」と「金を払って制作しているか」ということです。

プロは、誰かから金をもらって制作しています
いわば、誰かのために制作をしているわけで、自分の好きなものを作っているわけではありません。

アマチュアは、反対に自分で金を払って制作しています。
自分の好きなものを作っているわけです。
それが後でお金になる可能性もありますが、制作時点ではそんなことは考えていないかもしれません。

お金を得るためにやっているのか、自分の好きなものを作っているのか、という違いが、プロとアマチュアの大きな違いなわけです。

「プロっぽい」という言葉のあいまいさ

ここで冒頭に掲げた「プロっぽい」という言葉に戻りましょう。

この言葉には、プロ=立派、とか、プロ=すごい、というイメージが隠されています。プロがすごいと思っているからこそ、その「っぽい」部分ですら魅力になるのでしょう。

しかし「っぽい」という言葉がついている。
「プロっぽい」動画、とか写真というものは、絶対にプロが撮ったものと同じではありません

「一見プロが撮ったように見える」とか「プロのテクニックを盗んだ」というような感じでしょうか。

「プロを目指す」とか「プロのテクニックをイチから学ぶ」といった面倒くさいことはやりたくない
でも「プロっぽい」外見はほしい、ということでしょうか。

プロのやり方が正しいとは限らない

講師をしていると「先生のやり方を教えてください」と言われることがよくあります。初心者の方からです。

私は動画制作の分野ではプロでしたが、自分のやっていることが絶対的正解である、などとは思っていません。

私自身のやり方は、私自身の40年あまりにおよぶ映像制作の経験、および30年近いデジタル動画制作の蓄積があるから、できるようなことばかりです。

ときには裏技に裏技を重ねるようなやり方もすることがあります。

とても初心者の方に真似できるようなやり方ではありません。

私が初心者の方に伝えているのは、初心者でも理解しこなせるようにアレンジしたやり方なのです。

プロのやり方を真似ればうまく行く、みたいなイメージを持たれるのは仕方がないかもしれません。

しかしプロのやり方だけが正解であるとは限らないのです。

お金持ちで時間もたっぷりある方、または自分もプロになろうと思っている方は別として、初心者の方は「プロっぽい」やり方などという言葉に惑わされないことをオススメします。

オンラインスクール朱雀スタジオの先生ページです。



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