2015.5.13 「返すことを目標にしようね」

 骨密度が実年齢より若いことを自慢にしていた母が、ささいなことで骨折したのが1月。処方された薬を飲むとつわりを思い出すと言って、げっそり痩せた様子を見せたのが4月。低血糖で倒れた父を抱き起こして、首がむち打ちになったと訴えたゴールデンウィーク。

 いま思えば、すべてが異常で、すべてが病気の兆候を示していた。けれど私は、母が通っていた整形外科医の診断と母の自己分析を鵜呑みにした。疑問を感じることも、調べることもしなかった。ただ実家の生活を支えるため、訪ねる頻度を増やしだけだった。

 その後も首の痛みは続いた。布団から起きるのがしんどいと言う母のために、介護ベッドを手配した。早速機能を試す母が「もっと早く入れてればよかったわぁ」と喜んだ。

 帰宅した私は SNSにのんきにこう綴った。
「今は用具を生かして生活や気持ちを立て直して、でも将来は治して返すことを目標にしようねと、正直なところ思っています。」と。