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煉獄さんと猗窩座のなかのひと

「え、煉獄さん…?ほんとに?」

鬼滅ブームにしっかりと乗っていたわたしは、当時はまだ恋人だった夫と一緒に、『鬼滅の刃-無限列車編-』を映画館に観に行っていた。

世間話のなかで、なんとなくの展開は予想していたのだが、「まさかここで?」とは思っておらず、かなり衝撃を受けた。

ほんとうに、煉獄さんが死んでしまった。

まだ、ハリーポッターにも進撃の巨人にもハマっていなかったわたしは、「主要キャラが死ぬわけがない」といった、どこか楽観的なところがあり、煉獄さんの死を信じきれていない部分があった。

そうか、そうなのか…。

展開をある程度予想していたのにも関わらず、想像以上に驚いてしまったのは、無限列車編は、下弦の壱・魘夢との戦いで終わり、だと思っていたから。

この映画を観に行く前、ほんとうに出掛ける直前まで、わたしは原作漫画を読んでいたのだ。彼が漫画を持っていて、どうせなら予習していこうと、手に取ったような気がする。しかし、時間がきたので、途中で読むのをやめた。ちょうど、魘夢との戦いの真っ只中だった。

映画は、すごかった。

漫画の世界に色が加わって、型の演出や効果音などが合わさって、ものすごい迫力を生み出していた。途中まで読んでいた漫画の続きが、映像の中で描かれていく。魘夢に勝った。良かった。

ホッと安心したのも束の間。そう。猗窩座が現れたのだ。

魘夢を倒して終わりだと思っていたわたしは、「えっ!?ここからまだ続くの?」と、戸惑いながらも、煉獄さんを信じて祈り続けた。

煉獄さん!
煉獄さん……。
煉獄さあああああああああん!!!!!!!!!

猗窩座との死闘の末、煉獄さんは死んでしまった。かっこよくて、熱いひと。炭治郎たちと一緒に笑い合ったり、助け合ったりする姿を、もっと見ていたかった。ちなみに、わたしがこの映画でいちばん胸が苦しくなるシーンは、森の闇に逃げていく猗窩座に向かって、炭治郎が叫びながら言葉をぶつけるところ。そしてそのあと、号泣する炭治郎。この泣き声には、怒りや悲しみ、悔しさ、やるせなさ、そういったいろんな感情が詰め込まれているように感じられて、改めて、声だけで表現する声優さんのすごさにも感動した。

映画館が明るくなる。隣にいる彼に発したわたしの第一声は、




「石田彰さんやったな!!!!!!」


もちろん、煉獄さんの衝撃も大きかったのだが、猗窩座が喋った瞬間「い、石田彰や!!!!!!!!」と、テンションが上がってしまったことも、また事実である。

なぜこんなに石田さんに反応したかというと、ちょうどその時期に、恋人が愛してやまないガンダムseedを見させられていたからである。キラとアスランの関係性に惹きつけられ、物語の行方を追っていたところだった。

彼も同じ反応だった。見ながら、「あ、アスラン・・・!」となっていたよう。

猗窩座が喋った瞬間、声優が石田さんであることを、彼と共有したかった。盛り上がりたかった。きっと、同じことを考えているはずだ、と。まったくその通りで笑った。

ちなみに、漫画は全巻読み終えているが、鬼の中でも猗窩座がダントツで好きだ。はやく猗窩座のエピソードが映像として描かれているところを観たい。骨の髄まで響いてくる石田彰さんの声が聞きたい。その前に、柱稽古編。楽しみだ。

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