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他学部卒で心理系院試を受ける人が知っておくべき10のこと(ちょい改訂)

(2024/03/02 加筆修正)

はじめに

連日心理系院試に関する情報をうpしているが、今回はその番外編として、他学部卒の人が知っておくべき情報をまとめてみた。裏を返せば、私が心理系院及び試験について知らなかった事10、ということになる。

参考にして頂いたり、ないし(こんな事も知らなかったのかと)笑って頂ければ幸いだ。

以下のマガジンに私が今まで書いた、臨床心理士指定院入試系の記事をまとめているので、興味がある方は読んでいただければ幸いである。

1.臨床心理士指定院は臨床心理士の資格取得がメインである

(2024/03/02 改訂)
臨床心理士指定院に行こうと思う人の95%が"カウンセラー"になりたいと思っているのだろうから、この項目は不要である。だが私はその5%、つまり「研究をしたい」と思っていた側なので残しておく。

因みに現在修士一年を終えた現段階で思っている事は、臨床心理の修士課程に在籍し、研究をハイクオリティにさせるというのはかなりの自助努力を必要とするという所である。私の在籍している大学院は研究についてもとても応援してくれる、かなり稀有な大学院なのだが、それでも研究に余力を割くのは厳しい。

もしこれを読む貴方が他学部出身で、且つ(臨床心理に纏わる)研究がしたいというのなら、正直私は臨床心理指定院を勧めない。私の同期やパイセンに研究に熱意を燃やす値高く尊い方は存在するが、総じて並外れたバイタリティ(と体力)がある人ばかりだ。この文章を読んでも、「私は研究をやるんだ!!!」と息巻ける方のみ、研究目的で指定院に入る事を勧める。因みにこんな事を書いておきながら今なお私は実践より研究が好きである。

2.臨床心理士指定院は全入では無い

私のいた学科(哲科)にとって、大学院入試は全入だった。つまり、行きたいと指導教員に言えば何とかなる、そんな世界だった。事実自分の知り合いは、公務員試験に失敗した後に研究室の教授に拾われて院進していた。
で、その考えは臨床心理士指定院では全く通用しない。某有名私大院の秋入試に行った時、倍率は院側で非公表だったが、定員4名に対してその場の受験生が確か38人いた。
その院は内部生が4人中3人とかだったので、他学部卒にとっては、とんでもなく狭き門である。そして私はその時、臨床心理士指定院入試は何か自分が思ってるのとは違うぞ、と初めて気づいた。初めてw

3. 研究室訪問はやってない所も多い、申し込んでも断れる事もある

これはつまり早めに動いた方が良いよ、という事だ。心理系院がそうであるように、研究室訪問ですら全入ではない。事実、私はとある院で結構バッサリ断られた。

他にも色々書いてあった

それでも研究室訪問はやった方が良い。ツテ0の他学部卒が挑むって、まあまあ無謀な事なのだ。少なくとも、少ない椅子を奪い合う事になる。研究室訪問で相性を確かめるというのは、大事なことだ。

(2024/03/02 加筆)
研究室訪問にあたっては最低限、「研究で何をやろうと思っているのか」「教授(或いはゼミ生)に何を聞きたいのか」「訪問先の教授が何を研究しているか」を明らかにしてから行った方が良い。内部にいて思うのは、臨床心理の大学教員はあり得ない程忙しいという事である。そのアホ忙しい時間を何とか割いて、自分の所に本当に入るかも分からないイチゲンさんと話してくれるというのが研究室訪問なのである。よって、教授にビビる必要はないのだが、「信じられない程忙しい中時間を割いてくれる人」に対する最低限のマナーとして、以上三点はおさえておいた方が良い。

4.説明会シーズンは4,5月/10,11月

心理系院では嬉しい事に説明会が開かれている事がよくある。そのシーズンは案外早いので、情報は前もって入手しておこう。ボーッとしてると、もう説明会が無い、となる。

5.研究計画書の規格は各院で大きく異なる

つまり文字数の話なのだが、大学院によっては所定の用紙に手書きを求める事がある。そうなってくると研究計画書そのものの構成にも関わってくる。出願締め切りギリギリになってそれを知るとかなり焦る(私)ので、要項が院から発表されたらいち早く確認しよう。
ちなみに私が出願した中で一番文字数が多かった院は3000字、一番少なかったところで800字だった。

6.内部生が有利なのかそうじゃないのか等、聞きにくい事も全て院や教授に聞くべし

内部生が有利なのかそうじゃないのか、あるいは心理学科卒の方が望ましいのかそうじゃないのか、志望するにあたってそういう事は必ず説明会の場や、あるいは研究室訪問で聞くべきだ。入るかどうかも分からない院に遠慮している場合ではない。そしてそういう事をストレートに聞けば、教授の反応で大体察せられる。言いにくそうにモゴモゴしてるところは外部生には開かれていない可能性があるし、あるいは、うちは全くそういうのはないとキッパリ言いきられた場合、外部生にも開かれている可能性が高い。

7.院試において心理統計の勉強は避けられない

もしかしすると統計や研究法の知識が無くとも入れる院があるのかもしれないが、そうした院は、最早天然記念物クラスだ。全ての大学院で必要だと思って、他学部卒の方は時間をかけてじっくり学習して欲しい。ちなみに私は、三年分の過去問を閲覧して一回も統計の問題が出ていなかった院で、本番になって大問一個まるまま出題され、面接でも統計について詳しく聞かれた。

8.英語と専門科目の配点は5:5ではない

これは全大学院そう言えるかどうか、私は一受験生に過ぎないので何とも言えないが、おおむねそうだと考えて貰って良い。たとえば北大院は1:3だ。
言い換えると、英語だけ出来ていても受からないのだ(そりゃそうだが)。英語ができればadvantageにはなるかもしれないが、決定打にはならない。専門科目ができれば、決定打になりうる。何故なら配点が高いから(でも他学部卒が心理学科卒に専門の知識で勝てるとは考えにくいので、英語も出来ていた方が良いのはある)。

9.面接官は研究室訪問先の教授がメインとなる

これは当たり前と言えば当たり前なのだが、将来的にあなたの指導教官となる可能性が高い教授がメインで質問してくる、という事だ。研究計画書の中身にもよるが、粗の多い計画書だとそれなりに突っ込まれる事になるだろう。ちなみに、参考文献の中身まで言及されることは多分ない(私はなかった)。

10.良い先生に巡り会えるとサイコー

後期私は研究室訪問を3校したのだが、そのうちの2校とも合格した(残り一校は第一志望に受かったので受験しなかった)。研究室訪問先で何故か一時間話し込んだり、別の院では研究計画書もロクに固まってない段階で突撃したが丁寧に対応して頂けたり……。

論文を探しまくったり、院の説明会に行ったり、研究室訪問をしたりと縁を求めまくると、そういう先生にも巡り会うことができる。諦めず、粘り強く取り組んで欲しい。

まとめ

如何だっただろうか。心理系院に4校連続で落ちていた(秋入試三校+春入試の最初の私立院で不合格だった)時、ガチで私が受かる院ってあるのだろうかと思っていた。

振り返ってみると、秋入試の時は明らかに学力が足りていなかったし、春入試の最初の私立院には研究室訪問をしておらず、面接の時も明らかに歓迎されていない雰囲気があった。

蓋を開けてみれば、とても良い大学院、というより自分が心から行きたいと思うような院に合格を頂けたので、秋入試で全落ちした事も含めて、結果オーライであると感じている。

院試は自身のキャリアにおける通過点に過ぎないが、然し、他学部卒にとってはまあまあ大きな通過点である。私自身、調べども情報が足りなくてすごく不安だった。心理系院入試に関する情報はネットにあるが、

それでも不安だった。

私のこの記事が何かの参考になれば嬉しい。また他にも色々書いてるので、冒頭に載せたマガジンから見ていって欲しい。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

余談:心理的タフさは必要か

(2024/03/02 追加) 現在私は就職活動をする身なのだが、そういった説明会で、或いは学内で開かれる大学院進学説明会にて、結構な確率で飛び出す質問がある。それは、「心理専門職になるあたって心理的タフさは求められますか」というものである。人の辛い話を(業務上)延々と聞くのだから、支援者として心が疲弊してしまうのではないか、というものだ。

この質問に今の私が答えるなら「YES」である。と言うかこの質問にNOと答える支援者はいないのではないかと思う。確かに聞いてて胸が痛むような体験に触れる事も(修士課程在籍ながら!)あるのだが、それを聞いて辛いなと思う気持ちもあるかもしれないが、それ以上に色んな思いが出てくるはずだ。「何故そうなったんだろう?」「この人はその時どう感じたんだろう」「この人の行動にはこういう事情があったのかな」等。

自分の同期にもこういう事(人の辛い話を聞いてると自分も辛くなる)を言う人がいるのだが、結局その同期も、カンファ等でケースについて発表するとき表情がイキイキしているのだ。或いは、語り口に幾分熱が入っているというような。「心理的タフさ」は勿論いるが、それ以上に「対人支援に能動的になれるか」が大きいのかなと思う。