直近の航空ニュースについて

 皆様こんにちは、世はクリスマスシーズンですね。

 さて、最近航空業界では大きなニュースが2件ありました。
 1件目はJALエンジニアリングの不適切な整備。

・出発前の一部の整備作業において航空法で定められた責任者による確認が行われてなかった
・メーカーのマニュアルで指定された機器を使用せず整備が繰り返されていた

というもので国土交通省から業務改善勧告が出されました。どちらも安全を脅かすものであり決して見過ごしていいものではありません。過去にアメリカン航空のDC10が離陸直後にエンジンが脱落、そして墜落した事故があり、これもメーカーが定めた方法でエンジンの取り付けを行っていなかった為金属に亀裂が入った事が原因でした。航空機事故は些細な事が原因でも、事故が起きると被害が大きくなる可能性が非常に高いため厳しいルールが定められています。

 今回のでき事の背景として考えられるのは
・人手不足による個人の処理能力のパンク
・タイムプレッシャー
・現場のコンプライアンス意識

大きくわけてこの3つだと考えられます。
上2つに関してはコロナ禍を経て人手不足が深刻化しているため誰でも予測できるでしょうが、1番怖いのは3つ目です。規定にある手順で整備作業がなされていない場合、『ルールとしてはこうだけど皆んなやっているから大丈夫』になっている可能性があるからです。
 経験ある人もいると思いますが、時間に追われると手順を省略したり、とりあえずできたように見せかけたり逃げ道を作るんですよ。それが個人だけでなく組織全体に広まった時止める人がいるのか、つまり組織風土に関わる問題です。航空業界は不規則な勤務で体力勝負、常にタイムプレッシャーに追われているため心身共に疲弊しやすい環境ですが、それにプラスしてハラスメントに悩む方も多いため、ある意味不正が起きやすい状況に置かれていると言っても過言ではありません。(実際精神科に通う人が多い業界でもある)
もし現場の方が普段溜めているストレスがトリガーになって今回の件に繋がったのであれば一刻も早く現場の現状を見直し、働きやすい環境になって欲しい思います。

 2件目はジェットスターのストライキ
以前から給与未払い、乗員繰りが原因の欠航などあまり良くない記事を見かけていましたが事態はかなり深刻な模様。

ジェットスタークルーアソシエーションのサイトに会社との交渉記録、音源がございます。
気になる方はこちらのURLをご覧ください

 団体交渉の様子の音源を聴いたのですが現場と経営陣との間に溝があるのは明らかです。交通費の減額であったりフライト前に労組の交渉をセッティングしても大丈夫かと訊ねたり。上部層が独断で動いているし現場の環境を全く理解できていない。エアラインオペレーションはどの職種も体力が必要です。これからフライトや勤務があるって把握しているのであればシフト直前に話し合いの場を設ける事を提案する事自体がズレているんですよ。(音源でも指摘されてます)
とにかくご自身の事しか考えていないんだなと会話を聴いて丸わかりなのがまた腹立たしい面でもあります。
 この交渉は長引きそうですが何とか解決できるよう上手く着地点が見つかればと思います。

 この2件偶然にもJAL系列の会社でのでき事なんですね。そこで私がふと感じたのは稲盛氏の考え方が徐々に時代に合わなくなってきているのではないかーーーーーー。
稲盛氏の哲学は人間として大事な物の要素はあるものの、どうしても抽象的な印象になるため長期的に社員個人での倫理観に任せっきりになるような言葉選びでは無理があるのではないかと考えています。
(私自身稲盛氏の考え方はあまり好きではないが批判的立場でもない)
私はマーケターの森岡毅氏の考え方に強く共感しており、JALグループのみならず航空業界全体が彼のような合理的で明確な考え方や価値観が求められているのではないか、と感じました。

 最後に
JALの整備の件も、ジェットスターの件も航空安全、人々の移動や物流に大きく関わってくる問題です。それを支えている現場の負担が少しでも軽くなるよう労働環境が良くなるように業界全体が変わっていく事を願っております。

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