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接客業 今までとこれから その1

なにやら大層なタイトルですが、接客の仕事を長くやっていて、多分今後もしばらくは続けていく予定なので、以前、今、この先はどうなるのかと、つらつら考えました。自分の考えを見える化するために書いてみます。

接客の仕事がしにくくなった

15年ぐらい前と今で、最も変わったことは、インターネットが圧倒的に普及したことで、よくも悪くも世界が広がったこと。

誰でも気軽にネットの世界に情報発信できることで、どんなお店も簡単に自店の紹介をできるようになりました。
同時に誰もが、気軽に誰かを評価できるようにもなりました。
どのお店もサービスも、例えばGoogleさんなどのポータルサイト、飲食店であればぐるなびさんなどで(お店側は依頼していなくても)「星をつけられて」しまいます。

「感染症対策として、会話は最小限で接客してほしい」
というお客様からのご意見があり、スタッフがそれを心掛けて、できるだけお客様との会話を控えていたところ、ある日Googleに
「店員がマニュアル的な声かけしかしないし、愛想が悪かったので星1つ」
と投稿されてしまう。
わたしの職場であったことです。

マニュアル的な声かけ、というのは要するに
「いらっしゃいませ。〇〇円でございます。お買い上げありがとうございます」
という内容の定型文句ではないか?スタッフで話し合って推測しました。
しかし、日用品を取り扱うような、お客様の滞在時間が短いお店で、それ以上の言葉を交わすタイミングがなくても不思議ではありません。

人によってそれぞれ、物事の評価基準が違うので、さまざまな意見があるのは当然ですが、それをネットで全世界に、評価者は匿名で発信できるのです。今のところ、店舗側や接客者は圧倒的に不利です。

上述のようなご批判も、直接店舗側に伝えていただければ、事情をご説明することもできますが、ネット上の匿名コメントでは、いったん評価が全世界に公開されてしまいます。店舗側、接客者側はそれを事前に防ぐことはできません。
コメント欄で丁寧に事情を返信するお店もありますが、そのための人員が必要になるし、そもそも匿名のクレームに謝罪や弁明すること自体、非常に繊細な作業で慎重にならなければいけません。対応を誤ると炎上騒動を招いてしまうからです。
また「言い訳がましい」弁明という印象を、読む人に与えてしまい、二重に評価を下げる可能性もあります。

常に「評価をネットで公開されるかもしれない」と考えると、接客の仕事をしにくくなったなと思います。どんなお客様にも画一的なサービスしかご提供出来なくなっていくからです。
それは「甘え」だというご意見もありますが、接客者が守られていない現状では仕方がない部分も多いです。

サービスの質が低下せざるを得ない可能性も

対応するスタッフによってサービスの質に差が出てはいけないので、極端な話、例えば新人さんに代表されるように、最も技能的に経験的に未熟だと思われるスタッフの質に、他のスタッフ全員が合わせる方が無難だと感じるときがあります。
サービスの全体的な質は下がっても、具体的な批判(※〇月〇日はこうしてくれたのに、☆月☆日はしてくれなかった、このお店は質が下がった、というような評価)に繋がりにくいからです。付け入る隙を見せられないというか。
あくまでわたしの体感的な考えですが、同僚と話した時に、激しく同意!と言っていました。

スタッフの特性や経験によって、店舗が提供するサービスの質に差が出てはいけない。
以前の職場では、よくこう言われました。
要するに今も昔も、余計なことはするな、ということです、多分(笑)
それが組織で仕事をするということなので、一理はあるのですが、それを乗り越えて個人の特性をどんどん活用できる組織が、結局強いことも事実です。

接客はロボットの仕事になるかも?

接客の仕事を希望する人は、今の状況では減ってくるだろうなと思います。
いつでも、匿名でネット上に評価を公開される可能性があるなんて、とても怖いことです。はっきり言って嫌です。

人口減少も相まって、セルフ会計システムや、無人店舗とはいかずとも、接客を担当するスタッフがうんと少ないお店が増えるのではないか。
ロボットが接客するのが当たり前になるかもしれません。

現在の「接客」の仕事には、会計業務以外に、お客様への商品説明や、簡単なご提案なども含まれています。
しかし今後は、会計部分はロボットが、臨機応変な対応が求められ、人間でなければできない業務は切り分けられ、有償化(サービス料のような形で)されていくかもしれない…と感じます。

その2に続きます!

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