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先祖の供養をどうすんねん…という話 その2 骨さんたちとの邂逅

結論から書きますと、様々な理由から、実家のお墓を法要等無く自分たちで開け遺骨を入れたというお話です。本人たちにはやむにやまれぬ事情があるのですが、不謹慎だと思われる方はお読みにならないでいただけると助かります。

☆☆☆☆☆☆☆

前回(その1)の続きです!

わたしは事前の予測として、

・祖母 ・祖父・叔父

の3人分の遺骨だと思っていました。伯母が家に置いていたという祖母と、後はこの30年ぐらいで亡くなった祖父と叔父が戻ってきたんやろうな、ごめんなみんな。悪いのはあそこにいるばーさん二人です、私は悪くないです。

とか思っていたが。

敵はそんなに甘くない。

母の持ってきた、スーパーのカゴにすっぽり入るエコバッグ的な袋には!なんと

9人分!の遺骨

が詰まっておりました。

なにこれ…こんなにいっぱい、どちらさん?全員私の親類縁者?こんなにたくさん葬式あった?

母「これどうしよう?」 

私「どうって、どうしようもないわ!骨壺を開けるねん!開けて墓へ入れるんや」

母「えー」

私「えー、って。じゃあ私が開けたるから、アンタ墓に入れんねんで!」

母「えー。壺ごと入れればいい?あっでも結構深いから、壺ごと入れると割れちゃいそう。どうする?」

私「きいー!じゃあ、蓋開けたるから、骨だけじゃーって入れなよ!わたしかて合ってるかどうかなんてわからんわ」

突然乱入の伯母「あーこれ、昭和☆☆年○月○日没☆田A子って書いてるけど、火事でなくなったAおばさんかなー。おばさんはね、お父さんの伯母でね、なんかねー、うちは本家だからアレコレで、火事の理由は#☆♭♪÷×=%でなんたらかんたら、でねーそのときね、コレコレでねー…」

伯母は76%ぐらいボケていて、話はまとまりがなく信憑性も低いので、この場合作業に有益な情報をもたらす可能性は極めて低い。聞き手としてオットをあてがう。

以下、じーちゃんの骨

私「悪いのはあそこにいるアナタのムスメたちで、私は悪くないので、ご意見はあちらの二人までお願いします。ほれ!」

母 じゃー(お墓へ入れる)

母の顔には「私は次女で他家へ嫁いだ身なのになんで私がこんなことを」と書いてある。すげーいやそーでも放置してた自分が悪いのさ

次、叔父

私「悪いのはあそこにいるアナタの姉たちで以下同文」

母 じゃー

周りから見たら立派な盗掘である。お墓の中になんらかの財宝が収めてあり、それを目的に墓を漁っているようにしか見えない。実際は骨入れてんねんけど。

新しそう(昭和50年代以降の骨壺)なものはここまで。後はいきなり年代物となる。

次、昭和2☆年@月○日没☆田B子 多分曽祖母 以下同文

伯母、オットから逃げ出し乱入

「おばあちゃんだ!おばあちゃんはね、コレコレこういう感じで、&&が$2€!でなんたらかんたら」

話が長くなるので再びオット召喚。

次、昭和☆年B月T日没 ☆田C夫

もはや伯母も母も産まれる前である。

どちらさんでしょうか。

私 「死んでから80年以上も経って引っ越しとか、ほんまにごめんねー。悪いのはあそこにいる以下同文」

母 じゃー

中には、昭和初期没で無記名のものも入っていた。もはや親族なのかどうかもわからないが、放置も出来ないのでお墓にじゃーする。

わたしも初めは、骨壺を開けるなんてとか、遺骨に対する畏怖の思いとか、恐れのような気持ちとか、複雑な心境が入り交じり、気持ちは千々に乱れていたが。

4人目ぐらいから、だんだん麻痺してきたというか、落ち着いてきたというか、淡々とした気持ちに変わってきた。

今やらなければ、あのばーさん二人は納骨堂を放置したように、家に遺骨達を放置し、自分たちはそのまま死ぬ気満々である。二人が死に絶えたのちに遺品整理をする人が遺骨達を見つけて驚愕するのは目に見えている。そしてその場合、驚愕するのは多分自分であろう。

結局、いつかはやらねばならないので、これは避けられない事態というか、巡り合わせで自分がやることになっているのではないか。こういうことは、できる人がやるしかない(最近こればっかり)のだ←自分に言い聞かせている

しかし驚愕した未来の自分は恐れをなしてお坊さんを呼ぶであろうが。

私「ほれ!みんな入ったで!お水あげて、お墓拭いて!お参りして!皆さん、お引越しおつかれさんでした!ばたばたしてごめんねー。」

無意味に墓の周りに水を撒く母。おじいちゃんはねーうんたらかんたら…と、働かずにしゃべり続ける伯母、墓を閉めるオット、墓石を拭きまくるわたし。

墓を掃除しながら色々考える。80年以上も前に亡くなった親族に会えた。タイムトラベルのような、パラレルワールドのような、不思議な気持ちである。子どもの時に死んだ祖父にも、再び会えた。遠い昔に亡くなったという先祖が、骨と対面することにより、本当にいたんだという実感を得ることができて、貴重な経験だった。



そんでやね、全部入れ終わって残る一つの疑問。

一番最近骨になった祖母がいないんだけど…

そもそも祖母の供養については仏式でやりたくないと伯母が言い出したことが、こういう事態を引き起こしたのだ。そして祖母は家に置いていたとか言っていたが、どこいったん。

76%認知症の伯母「おばあちゃんはねー、うちのお父さん(伯母の夫)のD子お義姉さんが、家に遺骨置いとくなんて!おばあちゃんが気の毒でしょ!早くお墓に入れなさい!って怒って、無理矢理お坊さん呼んでお墓に入れちゃったのよー」

えー

えー

えー

ええーっ


何もしていない認知伯母「二人ともありがとう!よかったわあ!納骨できて安心したー。お昼でもごちそうするから、ごはん食べに行かない?」

もはや気力がない私「…いや、ちょっと予定あるから…いい…orz」

そうなの?じゃあ帰るわね、忙しいところありがとう〜よかったわーよかったよかった

と「私たち、心配ごとがなくなって、スッキリしました!」という表情で二人は帰っていった。

その後ろ姿に私は思った。

アンタたちこそ、2日ぐらいお墓へ入って反省した方がええんちゃう?









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