夢の帳

言葉さえ伝えられぬる夢であり朝明暮れよ続かぬ思い

恋くれる月夜の街の赤髪は丸く束ねる日の手に見えて

終わりだと夢の帳に檻を得て囲われるなら飛び立てぬ鳥

眠りいて燃許す恋身も焦がし指の先まで炭へと変わる

沈み行け忘れる想い恋でありまた一人立つ静かなわたし

言葉さえ忘れて人を拒むからわたしはいまを生きてはおらず

明日さえ来ぬ川の辺に立ちおらば渡る冷華に目を瞑らわし

浸り手に流るる川の冷たさに目覚める冴えは孤独の血潮

月光の蒼き曲輪にわが顔は知らぬ涙を流して映る

この夢が覚める頃にはこの心春を待たずに凍りて眠る

#短歌 #こころのことば

風見office〜Since 2006〜©︎風見かおる

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