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明日をなんと呼べばいい

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三十二歳と呼ばれる男の、人生三十年目。 風見かおる
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#小説

スーパーライヤー

「おーい、まだ起きてる? ねぇ、返事してよ」
 真夏の夜。大学の研究室。
 寝たふりは得意だが、死んだふりって言うのは今まで試みがなかった。
レポート提出まで6時間を切った28時頃、「ちょっとトイレ」くらいの勢いの死んだフリが始まった。
「……起きないなぁ」
起きない発言、すなわち今回の宿敵は、マイガールフレンド、彼女、つまり俺の充実の権化たるお方である。
マイ彼女なので世間一般論で

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