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けいおん!世代のオタクがエヴァの面白さを理解した時

私はアニメや漫画が大好きだ。
物心つく前からポケモンを毎週欠かさず観ていたし、デジモンやおジャ魔女どれみ、仮面ライダーなども好きだった。

そんな私は中3の夏に『けいおん!』を観たことで深夜アニメにハマる。90年代半ば生まれのオタクあるあるである。

しかし。
その後TSUTAYAで深夜アニメを借り漁った私には、1つだけ嫌いでたまらなかったアニメがあった。

それが新世紀エヴァンゲリオンだ。

このnoteは、”けいおん!世代のオタクがどうしても受け入れられなかった新世紀エヴァンゲリオンの真の魅力に気付くまで”を追ったドキュメンタリー記事である。



嘘。普通に雑記。

けいおん!にハマって変わったこと

私はけいおん!を観るまで、深夜アニメには”お色気もの””グロテスクなもの”しかないと思っていた。

けいおん!はどうだろう。

舞台は女子校。これといった特技も取り柄も無い女の子が、ある勘違いをきっかけに軽音楽部に入りギターを始める。
ギターの練習もそこそこに、軽音部の活動は「お茶とお菓子はおかわり自由!食っちゃ寝食っちゃ寝の軽音部!」といった形であった。※けいおん! 第8話 新歓! より抜粋

けいおん!を観たことない人。「こんなんゼッテーつまんねえだろ」と思うでしょ?

でもこれがめちゃくちゃ面白いのよ。ほんとに。


けいおん!の影響でアニメを観るようになった。
オタク歴の長い友達からオススメを聞き、TSUTAYAでDVDを借りて様々な深夜アニメを観た。
当時サブスク配信サービスなど無かったので、深夜アニメにハマってからというもの放送する深夜アニメは大体録画するようにしていた。
当然HDDの容量が足りなくなり、父が録画していた”宮廷女官 チャングムの誓い”という韓流ドラマを勝手に消して怒られたこともあった。

けいおん!の影響でギターを始めた。
当時アニメと並行してハマり始めていた9mm Parabellum Bulletというバンドでギターボーカルをやっている菅原卓郎さんのシグネチャーモデルを買って、まずけいおん!のOP、Cagayake! GIRLSを練習した。これがまあ難しくて、さっくり挫折したが。
ギターはその後大学3年時に部活の追いコン費を捻出するため売りに出す時まで、自室のインテリアとして埃をかぶることとなる。

けいおん!の影響でSphereにハマった。
Sphereとはけいおん!にも出演していた豊崎愛生さんと寿美菜子さんに、高垣彩陽さんと戸松遥さんを加えた4人組声優ユニットだ。
特にけいおん!で主役の平沢唯を演じていた豊崎愛生さんにはめちゃくちゃハマった。
私は当時世界史を履修し、文系大学の受験を目指していたにも関わらず、とある日本史の語呂合わせの参考書を買った。
そう、豊崎愛生さんが付属CDのナレーションを担当していたのである。
それほどまでにSphere、そして豊崎愛生さんにハマった。

けいおん!の影響でライブに行くようになった。
けいおん!のライブこそ行けなかったものの、前述のSphereは中高時代で5回ほどライブに行ったし、おかげで”好きなアーティストを生で見て応援する”という楽しみ方を覚えた。
Sphereだけでなく、当時好きだったワンオクや9mm Parabellum Bullet、ユニゾンスクエアガーデン、RIZE、Pay money To my Painなどなどロックバンドのライブにも行くようになった。

けいおん!に出会って人生が変わったのだ。

エヴァが嫌いだった3つの理由

けいおん!によって見事にアニオタになった私だったが、当時エヴァだけがどうしても無理だった。
オタクにオススメのアニメを5つくらい尋ねると、今でも2人に1人はエヴァを入れるだろう。エヴァはそのくらい大人気で、後の作家や創作活動にも大きな影響を与えた名作だ。

しかし、私は本当に無理だった。エヴァだけが本当に無理だった。

第一に、絵が古臭い。
今思えばエヴァは私が生まれて間もない時期に放送されたアニメなのだから当然のことなのだが、これが当時の私には受け入れられなかった。
綾波レイが大人気なのは知っていたし、”ツンデレ”といえば惣流・アスカ・ラングレーの名前が挙がることも知っていた。
しかし当時の私にとって好きなキャラはけいおん!平沢唯ちゃんだったし、ツンデレはとらドラ!逢坂大河ちゃんだったのだ。

第二に、とにかく難しい。
今でも初見でエヴァのストーリーを完全に理解することができる人は極々一部だろう。私がTSUTAYAで借りたDVDはヱヴァンゲリヲンではなくエヴァンゲリオン (分かる人には分かる違い)だったので、どんどん生まれる謎を解決できないまま30分を26話観ることはただただ苦痛でしかなかった。

そして最後に、エヴァオタクがめんどくさい。
先ほど申し上げた通り、エヴァはとにかく難しい。だから私はエヴァを観ている時、勧めてきた友達にメールで質問をした。

「エバンゲリオンって初号機とプロトタイプはどう違うの?」
「エバじゃねえから!エヴァだから!」

こういった具合である。
これは一番印象的だったところを切り抜いた紹介なので年がら年中こういった形ではないのだが、エヴァを愛する人たちはとにかくエヴァンゲリオンの誤用に厳しい。エバンゲリオンエヴァンゲリヲンヱヴァンゲリオンには非常に厳しい指摘が飛んでくる。ヴァって打つのめんどくさかっただけなのに……。
もちろん全員がそうではないし、好きなものの名前を間違われると正したくなるのも当然のことだろう。が、それが行き過ぎた人もいる。お前ごときがエヴァを語るな!といった具合に。


だから私はエヴァが嫌いだった。

エヴァを好きになった今年のGW

そんなこんなでエヴァを10年くらい避けて生きてきた私だったが、今年のGWに食わず嫌いを克服すべく、新劇場版(いわゆる”ヱヴァンゲリヲン”の方)を観ることにした。
きっかけはとても簡単で、YouTube上で無料公開されていたからだ。
無料なら観るか、という軽いノリである。

YouTube上で観るため、分からない点があれば再生を止めすぐに有志の方々によって作られたまとめサイトを確認できる。

都度調べながらエヴァを観て、一番初めに理解したのは”綾波とシンジが命をかけてエヴァに乗る理由”だった。

健全な男子中学生として、そして父親に認められたい1人の子供としてエヴァに乗る碇シンジ。
自分が自分であるための拠り所、そして他者との”絆”としてエヴァに乗る綾波レイ。

泣ける……。

そして彼らの心情を引き立たせ、戦闘シーンを盛り上げる音楽の数々。

特にエヴァ破。あの場面であの曲チョイスは反則だろ。あんなメッセージ性の強い翼をくださいは初めて聴いたわ。

結果私は見事にエヴァにハマった。
無料公開が終わるまで、何度も何度もエヴァを観た。

”名作”の”名作”たる由縁

歴史に残る名作といえば、私の中でパッと思い浮かぶのは”スターウォーズ”だ。

エピソード1の終盤、暗い建物の中で鮮やかに光るライトセイバーを片手に、強力なシスの暗黒卿ダース・モールと戦うオビワン・ケノービとクワイ=ガン・ジンの姿は、初めて観た時から忘れられない。

しかしスターウォーズの真の魅力はライトセイバーではなく、”スカイウォーカー家の愛と喪失”にあると言われる。

母親への愛から原住民を虐殺したアナキン・スカイウォーカー。
母を守れなかった彼は、護衛対象でありながらも危険を顧みず自身を献身的に支えてくれたパドメ・アミダラと恋に落ちる。
そして、彼女を失いたくないがためにシスの暗黒卿”ダース・ベイダー”へと堕ちてしまう。

ダース・ベイダーとなったアナキンが今際の際で善の心を取り戻したのも、実の息子であるルークへの愛あってのことだろう。

もちろんフォースすげえ!ライトセイバーかっけえ!だけでもスターウォーズは十二分に楽しめる。しかし、ストーリーに隠された”スカイウォーカー家の愛と喪失”を読み解くことで、スターウォーズの面白さはさらに増す。

エヴァにも同じことが言えて、私はまとめサイトを駆使することでエヴァの魅力である”碇シンジの葛藤と苦悩”を理解することができた。

私がオタクになるきっかけをくれたけいおん!と並んで一生忘れられない作品になったと同時に、劇場版の完結編が楽しみでならない。


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